2009年11月1日日曜日

連載コラム131 from 台湾

アメリカ現地時間10月15日、全米を騒がす事件が起こった。

コロラド州のフォートコリンズという田舎町で、
「息子がUFOそっくりなヘリウムガス気球で遊んでいたところ、
地面に留めてあったヒモが取れてしまい、飛んでいってしまった」
という通報が警察(911)にあったのだ。

確かに気球は大空を飛んでおり、
「気球から何かが落ちたのを見た」という証言も出たため
男児が落ちた、いや、まだ乗っていると
騒然となった。

気球は長時間にわたり飛んでいたためTV局がかけつけ
カーチェイスのように実況中継された。

あまりにも「予想通り」の展開
全米で実況中継された「バルーン・ボーイは大丈夫か!?」事件。

中継を見ながら誰もが、
「ひょっとして男の子は屋根裏とかに隠れてるんじゃないか」
という考えを抱いていた。

しかし、軍のヘリまでもが出動し地上でも警察が追いかけるなど
本格的に捜索をした。

約2時間後。気球は地面に着陸したのだが、男の子いない。
捜索は引き続き行われた。

ところが、しばらくして両親が「家に隠れていた」と報告。
隠れていた理由は「お父さんに怒られると思ったから」だという。

あまりにもベタな「予想通り」の展開に皆が「はぁ?」と思ったものの、
よかった、よかったと胸をなでおろした。

全ては金のために「やらせ」
バルーン・ボーイの両親はメディアに大注目され、
彼らもメディアに「これまでか」というほど出演。

全米だけでなく世界中で流れる人気トーク番組にも出演し
子どもが嘔吐するほど体調が悪いにもかかわらず
家族揃ってインタビューに答えた。

しかし、そのインタビューの内容は激しく違和感を覚えるものであり
少しでもつっこまれると、アタフタしたり、答えになってない発言をしたり
とにかく「??」が多いものであった。

挙句の果てには「みなが君を探していたんだよ、聞こえなかったの?」
と問われたバルーンボーイが「聞こえた」と答え、促されるように父親が
「何で出てこなかったんだい?」と聞いた時
「だってショーのためだって言ったじゃん」と発言。

両親は「混乱している」とクビをふったが、怪しさ満点であった。

親の役目を果たさぬ両親
実はこの家族は、以前にも「妻を1週間交換する」という
リアリティ番組に出演していた。

エロイ意味での交換ではなく「家事などをする妻」としての母を
交換するというもので、バルーン・ボーイの母マユミが別の家庭へ行った。

カメラは、バルーン・ボーイの家族の日常を追ったのだが、
三兄弟は多動症を疑うほどジッとしておらず
しつけも全くされていない状態。

交換されやってきた女性が「家事は一切しない」という占い師であり
何でもかんでもやるマユミと異なるため、父親のリチャード・ヒーニーは
怒鳴ったり、キレたりとすごかった。

また、父親であるものの子どもと同じレベルで騒ぎ、
短期なためアメリカではタブーとされる「叩く育児」もしてるようであった。

マユミもマユミで、日本語のアクセントのある英語でスラングを連発。
普通の大人ならば決して使わないような酷い言葉で相手を卑下しまくる。

子供にとってお手本となる両親ではなく、リアリティ番組では
「面白いけど、彼が(彼女が)伴侶でなくてよかった」
と見られていたのである。

リアリティ番組が生む犯罪
実はこのリアリティ番組。普通の人が出演でき、
有名になると共に、大金を稼げるため出演希望者がとても多い。

普通の生活を送っている人ならば24時間カメラを追いかけさせることなど
不可能なため、出演する人々は一癖も二癖もある人ばかり。

今年に入り、彼らによる犯罪が多発しており殺人事件まで起こった。

今回もバルーン・ボーイの母が「リアリティ番組」のための「やらせ」だった事を
認めている。

マユミという女性は、夫のDVを受け、産後数日で働きに出るなどしていたという
証言も出るなど、父親の「だめんず」ぶりも暴露されており
全米で恥をさらす結果となった。

やりすぎたアメリカのリアリティ番組。一番悪いのは視聴するアメリカ人である。
こんなところにもアメリカの毒を感じられずにいられない。

▼▼▼ from TAIWAN Pics ▼▼▼
















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コラムニスト●プロフィール
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岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

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