2009年10月15日木曜日

連載コラム130 from 台湾

10月9日、本年度ノーベル平和賞受賞者の発表が行われ世界がわいた。

なんと今年1月に就任したばかりの米オバマ大統領が受賞したのである。

世界中のメディアは最初このニュースを好意的に報道。
祝福ムードが流れたのだが、ここに来てアメリカをはじめ世界各国から本音的リアクションが出てきている。

よく受賞している米大統領
実は、アメリカの大統領はノーベル賞と縁がかなり深い。

日露戦争をめぐり両国の講和を仲介したとして
セオドア・ルーズベルト元大統領が受賞したのをはじめ、

世界平和に尽くしたとしてウッドロウ・ウィルソン元大統領、
ジミー・カーター元大統領が平和賞を獲得。

元副大統領のアル・ゴアも受賞している。

平和賞は、特別「政治色が強い」という印象を受ける人は
多いだろう。

「アメリカは世界一強い国で抵抗できない」と、
卑屈にとらえることもできる。

アメリカは世界一強い国
アメリカが世界一強い国であるというのは
経済的ではなく、もちろん軍事的に最強という意味である。

最先端の武器を開発、生産し続け「勝てない」という印象を植え、
その上で、これらの武器を日本を含む各国に高額で輸出。

「軍事的に強いから守ってあげましょう」と、世界各地に基地をもうけ
世界中をアメリカ支配下においているといっても過言ではない。

抵抗した国は、こてんぱんにやられ、秩序も何もかも滅茶苦茶にされ
見捨てられる。

アメリカに唯一勝った(引き分けのような状態であるが)ベトナムでさえ、
今なお安定しておらず、いまだにボートピープルが存在するほどだ。

もちろん世界平和のため、と志を高くもった米軍兵士もいるし、
莫大な数の兵士が戦死しているという事実もある。

しかし、軍や政治家などトップの人たちが、そんな純粋に
「世界平和」を考えているわけはないだろう。

911後、テロとの戦いを掲げたアメリカにあの国連でさえ反対できず
しぶしぶ認めるしかなかった。

もし、日本が皆が反対する声を聞かず、自国でテロがあり大勢の人が
死んだからといって、戦争をふっかけようとしたら国連で多いに叩かれ
世界からつまはじきにされるだろう。

そう、強いアメリカには全世界が従うしかないのである。

ノーベル平和賞の意味
ノーベル賞とは、ダイナマイトを発明し莫大な財産を手にいれた
アルフレッド・ノーベルが、自分の発明したダイナマイトにより
大勢の人が命をおとしたことに心を痛め、

「毎年、その前の年に人類のため最大に貢献をした人々に
遺産を分けたい(正確には基金の利子となる)」

と遺言したのを実現したもの。

科学の分野での受賞ばかりが目立つ日本人の中にも
平和賞の受賞者がいる。

非核三原則を唱えた元内閣総理大臣の佐藤栄作である。

受賞するには、基本的に「平和のために命をかけてつくした」というのが
キーワードになっているように感じる。

無言のプレッシャーなのか
なぜ、今年ノーベル平和賞受賞がオバマ大統領におくられたのか。

確かにカリスマ的人物であるし、心をうつスピーチも行う。
核を世界からなくそう!と公言もしている。

しかし、彼はまだ何一つ実現していないのである。
アメリカには核はまだ沢山の存在するし、
核兵器の開発だってまだ停止していないはずだ。

「オバマ大統領の今後に期待して」
という見方が強いが、期待などどそんな漠然とした理由で
栄誉ある賞をおくるわけはない。

きっとこれは、世界の権威者たち、億万長者たちが
世界を統一するといいながら混乱し続けてばかりいる、
アメリカへ出した大きな警告なのではないだろうか。

無言のプレッシャーにオバマ大統領が耐え
果たして核のないアメリカを、世界を実現へと導くことができるのか。

これからがショーの始まりといったところだろう。



▼▼▼ from TAIWAN Pics ▼▼▼
写真は台北中心部を流れる川。可能な限り自然のままで、というコンセプトがいかにも台湾らしいです。

コラムニスト●プロフィール
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岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

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