2009年11月15日日曜日

連載コラム132 from 台湾

台湾のプロ野球は日本のものとは大きく異なり
ある意味「アットホーム」、悪く言うと「いい加減」
な雰囲気が漂っている。

別に台湾のプロ野球を貶しているわけではない。
筆者は実は台湾のプロ野球ファンであり
近くの球場にも何度か足を運んでいるほどなのだ。

選手がミスをしてもファンは寛大。
台湾語で野次をとばしたりする「いなかのイベント的」な
独特な雰囲気が台湾プロ野球の醍醐味だと思い
応援しているのである。

今年は統一ライオンズが優勝し、
統一グループが経営する7-11では特別セールが行われた。

しかし、そんな盛り上がりを潰す事件が起こった。
日本でも報道された「八百長」疑惑である。

初めてではない八百長報道
今回発覚した八百長により
10月27日、元選手と賭博関係者ら6人が逮捕された。

その後、現役選手が続々と検察当局に聴取され
選手を追い掛け回すニュースが連日報道されている。

実は台湾のプロ野球八百長疑惑は、今回が初めてはない。
プロ野球がスタートした20年前から八百長疑惑はあった。
昨年も賭博事件が明らかになっており2チームが解散している。

今回も解散するチームが出るのではないかといわれているが
そうなると、2、3チームしか残らなくなり
プロ野球そのものが無くなる可能性も出てきているのだ。

八百長の何が許せないのか
人間だから賭け事は好き、勝負をやってるなら賭ける。
それに便乗して台湾やくざが勝負をコントロールする。
どこにでもありそうなシナリオ通りなのである。

10年ほど前には選手がやくざに監禁され
銃を突きつけられるという物騒な事件もおこったが
正直誰もが、
「メジャーリーグだって多少なんかあるんじゃない?」と
許してきたふしがあった。

とはいえ、応援してきたチームや選手が
トレーニングもそこそこ八百長で稼いでいたと知ると
しらけるのは当然のこと。

よく見ると体型も台北市内いたるところで行われている
道路の土木作業員の方が「よっぽど鍛えられた」体をしていると
思ってしまうほど、野球選手のくせにダレているように見えてくる。

ある意味夢を売る仕事なのに「あまりにもガッカリ」させられる。
この点が一番、台湾人は許せないのであろう。

野球への憧れ
実は台湾人の子供たちはあまり野球をしない。
そもそも運動をあまりしないのである。

国民小学校で行われる体育の授業は1年生でたったの1時間だけ。
3年生になって、やっと週2時間に増える程度である。
プールのない学校も多いため泳げない人も少なくない。

基本的に運動よりも勉強が大事であり、スポーツはポピュラーではないのだ。
スポーツをするのなら少しでも評判のよい安親班へ投資した方が
子供の将来のためと考えるのである。

そのため、野球のルールを知らない人が多い。
球場で観戦している人の中にも「実はルールなんて知りません」という人がいる。

台湾において、そもそも野球とは「才能のある人だけがやればよい」という程度。
そんなものなのである。

日本のプロ野球やアメリカのメジャーリーグで活躍する台湾の野球選手も
年々増えているが、
誰もが、野球って「お金儲けになるんだ」ということに繋げて考えているように
思われる。

野球=お金。
その考えがなくならない限り、八百長はなくならないように感じてならない。
















写真はモダンな建築物も多い台北北部地区です。

コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)

1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

0 件のコメント:

コメントを投稿