2010年6月1日火曜日

連載コラム263 from 北海道●普天間問題と鳩山政権

沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で、名護市辺野古への移設を明
記した政府の閣議に署名を拒んだ福島大臣が罷免された。
連立与党として走り出した当初から、このような問題はいつかは起
こると懸念していたが、やはり起こるべくして起こってしまったようだ。
社民・福島さんの取った行動は、当然の主張であり、そこにブレはない。
社民の精神に忠実に行動しただけのこと。
だから、署名をしなかったことで、社民は党としての対面を保ち、
夏の参議院選でも思わぬ結果をもたらすかもしれない。

それにしても、この場に及んで辺野古への移設など、まったくこの
政権はどうなっているのだろう。
散々迷走して、こともあろうにもとのもくあみに戻ってしまうのだから。
沖縄県民は、これ以上ないほどに怒り心頭している。
あれほどの迷走も茶番劇かと思われても仕方がないし、それよりも
リーダーとしての根本的な資質を疑わざるおえない。
鳩山さん個人を知る人たちからは、良い人、優しい人と評価する声
をよく聞かれるが、そもそも良い人と、リーダーとしての才覚は別もの。
窮状を訴える人にも、膝を突き合わせて丁寧に話を聞き、共感でき
る優しさはあっても、ビジョンを貫く強い意志はない。
孤立や孤独に耐えうる精神もない。
そして、非常にやっかいなのは、これほどの混乱を招きながら、こ
の人自身に悪意が感じられないことだ。
子どもならまだしも、こういう立場の人間が悪意のない悪意をまき
散らすほど、腹立たしいことはない。

長年、野党時代から鳩山さんは沖縄問題に非常に関心が高かった言
われているが、それならばあれほどの宣言をしておきながら、なぜ
辺野古への移設を決定するのか。
辺野古と閣議で決定しても、地元での反対がある限り現実味のない
話だと踏まえて決めたことならば、これも茶番である。
そういう詐欺的行為を、外交での駆け引きと思いこんでいるなら
ば、これは日本にとって非常に危うい状況だし、そういう計算もな
く流されるまま辺野古への決定に及んでしまったのであれば、これ
も問題だ。

いまの政府を見ていても、それぞれがそれぞれの主観で動いてる。
それを鳩山さん自身、咎めることもない。
努力を評価する姿勢はあっても、みんなの意見をくまなく聞けば、
必ずや正しい道が開けると信じているのだろうか。

民主党でも、沖縄問題は賛否両論。
にも関わらず、鳩山さんと真っ向から意見が違う人たちが政府の大
臣に組み込まれてる。
違う人たちとも友愛の精神で語らえば、分かち合えると信じる鳩山
さんらしい選択かもしれないが、そもそも沖縄問題を私的な公約
だったと言ってしまう人を総理にさせた政党の責任は重い。
自民党時代にも、あれこれ思うことはあっても、ここまでではな
かったし、この思いは失望なんかとっくに通り越している。

そもそも、辺野古ではいけない理由はなんなのか。
米軍海兵隊を沖縄に駐留させなければならない抑止力とはなにか。
北や中国、隣国やテロの脅威から国を守るために、沖縄米軍基地は
必要というが、本当にそうなのだろうか?
この場に及んで開かれた全国知事会でも、訓練の受け入れの協力を
仰いだ鳩山さんに、大阪府橋本知事を覗いて、誰もが厳しい発言だった。
当然の結果である。
こんな時期になって知事会もないものだ。
本当にこの問題に関して、真剣に取り組む姿勢があったならば、
もっと早い時期から話し合いを開くべきだし、国益を考えているな
らば、実現不可能な決定など決めるべきではない。
北海道の高橋知事も非協力姿勢だったが、私は北海道に来てもらっ
ても構わないと思う。
それで、沖縄の負担が少しでも減らせるならば、この問題は安易に
撥ねつけるだけでなく、どの自治体も真剣に考えるべきだ。
訓練を受け入れることで、抱える負担はあるが、そんなことより、
もし北海道や他の自治体がこのことを受け入れても、アメリカは
きっと首を立てに振らないだろう。
それは、日本各地にあった基地が沖縄に集中していった理由とも同
じこと。
日本の平和のため、アジアの治安のためと明言するアメリカに日本
政府に、沖縄は多大なる犠牲を強いられてきた。
だが、沖縄でなければならない本当の理由が、アメリカ側にあった
としたら、私たちは今もって日米安保条約を見直さなければならない。

沖縄に駐留する海兵隊のフィリピンでの合同訓練を取材したテレビ
を見た。
米軍海兵隊の内部にまで踏み込んだ解りやすい取材であったもの
の、今ひとつ疑問が拭えない。
アジアの治安のために日夜訓練を続ける米軍海兵隊であるが、本当
ところ日本の抑止力にはなっているのだろうか。
抑止力になっているならば、竹島領土の問題は起きなかったのでは
なかろうか。
中国の東シナ海ガス田問題も起きなかったはずである。

夏の参議院選挙では、このこともよくよく捉えて私たちは投票すべきだ。
国民のための政治などと掲げている今の政府に、物を申すべきである。


コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

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