2010年1月15日金曜日

連載コラム136 from 台湾

その安全性に大きな疑問を持たれている
アメリカ産牛肉。

「食べるのが危険」だといわれる理由は、
脳の中がスカスカのスポンジ状態になり死に至る、
いわゆるBSE、牛海綿状脳症で死んだ牛の肉を
「何も言わずに」輸出したことにある。

BSEの発症の原因ははっきりしていないが、
牛を飼育する際与える肉骨粉や牛用代用乳が
汚染していたからだとされている。

しかし、明らかに病気とわかる状態になり
死んでいくわけであり、それを隠して輸出するとは
輸出国も相当なめられているものだなと感じずには
いられない。

アメリカの圧力
牛が腰砕けになりよだれを垂らし死んでいく動画は
ニュースで流れ、「狂牛病だ!」と世界中に衝撃を与えた。

当初は「食べただけじゃ感染しない」とされていたが、
その後経口感染すると確認。

日本を始めとする韓国や台湾などの輸入国は、
アメリカ産牛肉の輸入を一斉に禁止した。

しかし、アメリカの圧力は相当なもので
感染してない牛の肉骨粉や脊髄などを省く部分の
輸入を日本は再開。

繰り返し厳しい検査を受け、輸入に至るという約束したものの
何度も脊髄箇所が混じった肉が日本に送り込まれた。

だが、それも何度かニュースで騒がれた後、
何も言われなくなってしまった。

政府の対応にも、相変わらず日本人は何も言わない。
それどころか、スーパーに安い値でアメリカ産牛肉が
並んでいれば、安さにつられてついつい購入。

国産や豪州の牛肉とは異なり価格が安いため、
焼肉屋でも積極的に使われているという。

政府も店も隠し事ばかり、偽装ばかりの日本において
食はかなりの危険にさらされているのだ。

台湾では政治家がピンチに
日本以上に、アメリカ産牛肉に対して厳しく取り締まってきた
台湾でも昨年10月、ミンチ、内臓に骨付き肉を解禁。

脊髄や脳などいまだに厳しく規制している箇所も多いし
「アメリカ牛肉は安全!みんなで食べよう!」と
勧めるわけでもないと行政院衛生署は弁明しているが、
政府内で強い反発が出た。

現地の新聞やニュース専門チャンネルでも
「消費者は不安だ」を強調。
台北市、台北県、高雄の輸入業者組合は
「引き続きアメリカ産牛肉のミンチと内臓は流通させない」と
発表している。

挨拶が「食べた?」である台湾人にとって
食は大切なこと。安全性にも敏感になるのは当然であり、
矛先は馬英九総統も向けられた。

民進党が優勢に
その後、12月に統一地方選挙が行われ、
年が明けて9日に立法院補欠選挙が行われたが
馬総統率いる国民党を抑えて民進党が大勝利。

馬総統に対する2009年の数々の不満が大爆発するという
国民の不満がストレートに表れた選挙結果となった。

台湾国民のことをおざなりにし、
アメリカや中国に擦り寄る印象が強い馬総統。

台風がもたらした大惨事災害に対する対応の悪さに
食の不安。

民進党が政権を取り返す日も近いのではないかと
思わずにはいられない。





写真は陽明山の裏手にあるド派手なお寺です。
高級住宅街の一角にきらびやかに存在しています。


コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

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