2010年1月1日金曜日

連載コラム135 from 台湾

2009年も私たちを震撼させうニュースが多い
そんな1年だった。

日本国内でも凶悪犯罪が次々と勃発したり
納得がいかない有名人たちの逮捕劇など
様々なニュースが流れた。

一国の首相が巨額脱税しても「OK」な日本人は、
何が起こっても「仕方ないのかもな」で終わらせがち。

しかし、あるニュースだけは成人日本人全員に
「人事」ではなく、もっと興味を持ってもらいたいと
思う。

そのニュースとは、
「HIV感染者、増加し続ける」
である。

日本では毎日4人がHIVに感染
財団法人エイズ予防団体の発表によると、
2008年の1年間に新たに報告されたHIV感染者は
1,126人。エイズ患者は431人と、
いずれも過去最高の数字であった。

日本では、ここ数年、過去最高の数字を更新しており
とくに日本人男性の増加傾向が続いているという。

と、この記事を読んでいても「怖いなあぁ」で
終わらせてしまう人がほとんどであろう。

身に覚えがあっても「まさか自分が」とは思わない。

その「まさか」と思っていた人々が、ある日エイズを
宣告されるため、日本ではエイズ患者数が増え続けている
のである。

外人だけのHIVではない
調査では日本のHIV感染者の21%、
そしてエイズ患者数の20%を在日外国人が占めているというが、
彼らのほうがHIV検査を受ける確立が高いからである。

普通に暮らしていれる一般人は、自ら進んで受けない限り
HIV検査など受けない。
しかし、確実に日本人の感染率は高まっているのである。

海外旅行に簡単に行くことができ、
覚せい剤でさえ、普通の主婦が手を出せる、この時代である。

海外でのアバンチュールや風俗でHIVに感染する確立は
恐ろしく高いものである。

帰国後、HIVキャリアになりながら恋人にうつしたり
配偶者にうつし、そうやって鼠算式に増えていくのである。

中絶大国日本が生んだ罠
時々、アメリカで中絶運動が行われたりするが、
宗教、とくにキリスト教カトリック信者らは教えにそり
中絶を大反対しており、そのためコンドームをきちんと使用する
人が多いという。

しかし、宗教上の問題がなくモラルが破壊しつつある日本では
いとも簡単に中絶が行える。

コンドームなしで性行為をして妊娠しても、親にもばれず、
簡単に中絶できるのである。

今では、十代の女の子であっても避妊ピルが簡単に手に入るし、
コンドームなしで性行為をした翌朝に飲むと妊娠しにくくなるという、
モーニング・アフター・ピルというのも簡単に手に入り、
ますます「コンドームなしでもいいじゃない」という傾向が強く
なってきているのだ。

HIVはコンドーム着用でほとんど防げるとされている。
これを怠っている今の若い男女が、どれだけHIVに感染しているのか
考えただけでも恐ろしい。

法律改善を
アメリカは州により法律が異なるが、多くの州で
「HIV感染者が、自分の感染を知りながらコンドームなしで性行為をする」
と「危害を加えた」罪で逮捕される。

HIV感染者が、わざとコンドームなしで性行為をし
感染を拡大させるという事件も実際に起こっているからである。

日本でも感染を知った者が、やけになり広めている、
その可能性は十分に高い。

そんな人がいなくても、アメリカのように法律で罰を与えるようにすれば
もっと多くの人が、現実的にHIVを考えるきっかけになるのではないだろうか。

HIVは今や治療でエイズ発症をかなり遅らせることができる
病になっている。

HIVに感染しても、薬を飲み、定期的な検査を受けながら
長生きしている人は五万といる。

また、HIV感染者でも妊娠、出産は可能であり、
HIVに感染していない赤ん坊を産むことも可能なのだ。

コントロール可能な疾患となっているHIV。
日本でも匿名で検査が受けられるのだから、
恐れずに一度、検査を受けてほしい。




















写真は台湾現地小学校の校訓をかかげた中門のようすです。

コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

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