2010年7月1日木曜日

連載コラム265from北海道●江原啓之さん

私が江原啓之さん知ったのは、佐藤愛子さんの「私の遺言」という
本がきっかけです。
この本は「新潮45」に2001年3月から2002年6月まで連
載された作品を、のちに単行本化したものですが、確か私の場合、
本が発売されて直ぐの時期に取り寄せで購入しました。
「私の遺言」は、その前に長編小説として刊行された「血脈」の続
編でもあり別冊だと私は勝手に思っています。
「血脈」を読まれた方ならおわかりだと思いますが、この本はまれ
にみる上等な小説です。
「血脈」が菊池寛賞を受賞されたことも、本当に喜ばしい限りでし
たが、私自身の個人的な観点から述べると、この「血脈」より優れ
た小説を私は知りません。
佐藤愛子さんが、10年という月日をこの小説に費やし、心血を注
いだ、血と汗の結晶なだけに、その迫力と感動は凄まじいものがあ
るからです。
私は、佐藤愛子さんの兄にあたる故サトウハチローさんが大好きでした。
彼がこの世の遺産として残した詩や歌は、とても琴線に触れてくる
ものがあるし、私の場合、子供の頃に、たまたま父からサトウハチ
ローの詩集を貰ったため、よくその詩集を読んでいたこともあり、
そういうことも含めて、私にとっての佐藤家の人々はとても親しみ
が湧く存在なのです。
言うなれば、映画「男はつらいよ」の寅さん一家、そんな感じなの
ですが、ただのいちファン、いち読者である私がぬけぬけと言って
いるわけですから、佐藤愛子さんが知ったら酷く憤慨してしまうか
もしれません。
佐藤愛子さんの「血脈」を読んだ時に、その素晴らしい情景描写か
ら、作品の全てが上等な映画を見ているかのようでした。
さて、佐藤愛子さんいう方は、元来心霊現象なんて全く信じない人
でもありました。
ですが、「私の遺言」では、その考えが180度逆転しているのです。
北海道の浦河町の山の上に別荘を建ててから、立て続けに心霊現象
に見舞われ、そこで、ある方を通じて、江原啓之さんと美輪明宏さ
んを紹介して貰うことになり、この時は、まだ江原さんと美輪さん
はお互い面識すらなかったので、佐藤愛子さんを通して、お二人は
親しくなったのだと思います。
ご本人達もメディアを通じて何度かそのことに触れています。
佐藤愛子さんの「私の遺言」が刊行された時に、民放の深夜の時間
帯に(北海道はそうでしたが)「えぐら開運堂」なる番組が放送さ
れていました。
これについては、本と番組、どちらが先か解りませんが、まだ江原
さんもテレビに登場したばかりで、しかも深夜わくの時間帯でも
あったし、江原さんとネプチューンの名倉潤さんと局アナの女性と
3人が番組を進行し、ゲストは、毎回一般人という設定だったわけです。
悩みを番組で打ち明けて、江原さんに霊視して貰うというスタイル
でした。
私の場合、佐藤愛子さんの「私の遺言」を読んでいたこともあり、
江原さんについても、抵抗なくすんなりと受け入れることが出来ま
したが、私の友人は酷く疑わしい番組だと避難していたのを覚えて
います。
実際、あの番組だけでは、江原さんが本物かどうかまで視聴者には
伝わりにくいものがありました。
あまり興味のない人にとっては、細木数子氏と江原さんは同系と
思ってしまうし、じっさい書店などで、この方たちの本が並んでい
るのを見掛けても、占い扱いで、コンビかセットのような陳列です。
それでも、私が知る限りでは、江原啓之さんという人は本物です。
それは、テレビ番組「オーラの泉」でも、たびたび証明されていた
ように、そういう力が江原さんにはあるのだと思います。
江原さんの著書を読んでも、そのことは実感できますし、江原さん
の公演に行けば、尚そのことを実感できます。
江原さんの生歌に、自分の意志と無関係に涙が止まらなかったり、
公演を聴いた後も、これ以上ないほど元気になってしまったことに
は、いま思い出しても不思議な体験でした。
今では、すっかり有名人になってしまいましたが、昔は江原さんの
サポーターズクラブに入会していれば、公演チケットの購入もそれ
なりに簡単で、公演時には必ず江原さんを囲んで簡単なオフ会まで
あったので、
少し家庭的なあったかい雰囲気だったことを覚えています。
オフ会は、それぞれの自己紹介に続き、江原さんとの握手や個人こ
じんの撮影会は、僅かな会話を交わす時間まであって、ほのぼのし
ていたからです。
江原さんのここ最近の著書は私が読んでいないのでここでは紹介で
きませんが、私のオススメ本は、「人はなぜ生まれ いかに生きる
か」と「苦難の乗り越え方」です。
どちらも、とても良い本です。
心に迷いや、苦しみを抱えている時に、ぜひ手に取って欲しい、そ
んな本です。
この本から学ぶことはいろいろですが、やはり読むだけでなく個々
の実践が大切なのだと思います。
江原さんのファンとして、サポーターとしてずっと応援していく人
たちも多いと思いますが、私個人はいまはこちらも退会しています。
その理由は学びも卒業が必要と感じたからです。
人生は、結局のところ、自分で決めて選択していくしかありません。
江原さんがいくら本物でも、ずっとそこに留まり、しがみついては
いけないと思うのです。
テレビ番組「オーラの泉」が終了してから、あまりメディアでは見
掛けなくなったものの、開運スポット、パワーフード紹介番組ばか
りに登場している江原さんをたまに見掛けると、私は少し複雑な気
持ちです。
ネットでも中傷が公開されているように、江原さんについては賛否
両論ですが、霊感商法の根源などという意見に関しても、非常に理
解に苦しみます。
洗脳や霊感商法とは明らかに違うものだし、彼の公演や著書、個人
を通して、正確に検証してほしいものです。
それでなくともスピリチュアルカウンセラーという職業は、私が想
像する以上に難しくて困難きわまりない仕事だと思うのです。
たくさんの人達にすがられて、それでいて、気をつけていないと世
の中に足下をすくわれやすく、本人の知らないところでも名前を勝
手に利用されたりするのだから、まったく大変です。
人間はずるい生き物です。
江原さんの公演会場でも、今にもすがりついて離さないような人を
見掛けました。
それはとても悲しいことのように私は感じます。
どんなことでもそうですが、けっきょく自分の人生は自分で決めて
いくしかないのだと意識改革が出来れば、見方も考え方も変わって
いくと思うのですが、でも、世の中には自分で選ぶことも、決断す
ることも出来ない人たちが沢山いるのではないでしょうか?
それでも、たまにテレビに登場する江原さんは、とても愛敬があり
元気いっぱいです。
パワースポット巡りは、ちょっと・・という気持ちでも、私は元気
な江原さんに嬉しい気持ちになります。
実際、パワースポットに関しても、番組上視聴率を稼がなければな
らないのだとしたら、それもまた致し方ないことなのかもしれません。
それでも、御利益とかスポットばかりにすがりたがる風調は、大事
なことを確実に見逃しているように感じてしまいます。
伝統や遺産、文化や自然を重んじる心は大切でも、御利益や願掛け
ばかりに忙しいのはやはりよくありません。
ましてや、パワースポットなる場所に連日長蛇の列をつくって並ん
でいる姿も、非常にまずいことではないでしょうか?
パワーは、自身の努力と経験でつくられていくものです。
一瞬にして、与えてもらうものではないのです。
だから、日々を大切にして人生を積み重ねていくしか方法はないの
でしょう。
なにか心に迷いや苦しみを抱えている方は、江原さんの本をぜひ手
にとって頂けたらと思います。

コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

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