2010年3月15日月曜日

連載コラム140 from 台湾

日本で毎週のようにニュースで流れる
普天間の米軍基地を、どこへ移転させのか問題。

政府内では大いにもめているようだが、
大半の日本人は、
「沖縄に住んでいないから、あまり関係ない」
というスタンスのような印象を受ける。

恐らく「どこへ移転しても、しなくてもいいのでは」
と無関心な日本人が多いと思われるが、
近隣アジア諸国ではかなり注目されているのである。

米軍の良し、悪し
筆者は学生時代、夏休みや冬休みなどの長期休暇の際、
英語を学びたい日本人を、英語を教えたい米軍基地に住む
軍妻へと引き合わせるバイトをしていた。

最初の何レッスンか、通訳という形で学生の付き添いを
していたのだが、時給がとても良く、学生の自分にとって
ありがたいバイトであった。

米軍内はアメリカそのものであり
ダイナー(レストランのようなもの)や店、家なみも
何もかもが日本とはかけ離れていた。

米軍基地周辺は、明らかに米軍兵やその家族を相手にした
商売をしている店が多く、
英語の看板などがあるのも、とても印象的だった。

もちろん、騒音も半端なものではない。
爆音が響く間は、会話も困難。
どれだけ酷いかというと、地響きするのである。

米軍のおかげで仕事はあるが、騒音のせいで健康を害する、
そんなイメージを持った。

恩恵も受けるが、大きなダメージも受けるのである。

基地が出来る前から住んでいた市民にとっては
「恩恵など何も無い」「悪いことだらけ、迷惑三昧」
というのも、もちろん分かっているのだが。

犯罪による悪いイメージ
よく米軍兵による悪質な犯罪が報じられるたびに
基地があること事態いけないのだ、という方向に
話が進みがちである。

もちろん犯罪はあってはならないもの。
ストレスから精神的な異常をきたした、という理由も
もちろん「言い訳」でしかならない。

マスコミが騒ぐ点は、犯罪の内容はもちろんのこと、
日本の警察がすぐに手を出せないことへの
ジレンマに対するもののような印象を受ける。

アメリカ国内であっても軍人が起こした犯罪は
軍の法律によって裁かれるという背景がある。
そのため、日本の警察がすぐに逮捕し、
日本の法律によって裁く、ということは難しいのである。

しかし、近年は軍が日本の警察に容疑者を引き渡したり
捜査に協力したり、謝罪したりと、
昔に比べて、かなりスムーズに事が進むようになった。
日米間の協定によるものだからなのだが、
米軍もかなり配慮しているように感じられる。

個人的には、日本人によると犯罪だってあるわけだし
米軍の犯罪=基地撤退に結びつけるのは
強引なような気がしてならない。

守られている日本
第二次大戦後、日本と近隣諸国の間で
緊迫した空気が流れたことが何度かあった。

島を巡る問題であったり、大戦の後始末関連のことで
大小かかわらず、常に何かしらのテンションがある、
と言っても過言ではないだろう。

しかし、これまで誰も武力的な行動に出ていない。
日本を攻撃するべき!という声は、きっと出ているはず、
なのにである。

攻撃しない理由は、ただ一つ。
間に米軍がいるからなのである。

日本の自衛隊の素晴らしさを認識しており
全てを駆使したら、核はないけれど、かなりの強さを持つ、
と語るアジア人も多いが
やはり、沖縄に米軍がいることが、防波堤になっているのである。

もし、その防波堤が取り外されてしまったとき。
日本は、一体どうなるのか。

考えると恐ろしくなってしまう。















写真は第二次世界大戦中は日本軍が、その後は米軍が海軍基地として使用していたパラオの海岸のほとりです。


コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

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