2010年2月2日火曜日

連載コラム137 from 台湾

日本に近く、旅行先としても人気が高い
台湾。

台湾のガイド本は数多く発行されており
中にはクーポン券付きのガイドブックもある。

名店はどこのガイド本でも紹介されているものだが
台湾名物であるマンゴーをふんだんに使った
マンゴーかき氷で有名な「冰館」という店が
台北市内の永康街にある。

永康街は小龍包で有名なディン・ダイ・フォン本店
など台湾ならではの味を振る舞う食堂が多く
食の街として現地人からも愛されている。

「冰館」にはガイド本のクーポン兼を持ち訪れる
日本人観光客も多く、
台北観光に欠かせないデザ-ト専門店となっていた。

名店「まさか」の夜逃げ騒動
冬はマンゴーがとれないため、
看板デザートである「マンゴーかき氷」は出されないが
甘いイチゴをふんだんに使った「イチゴかき氷」があり
店は連日お客で賑わっていた。

その「冰館」が先日の1月15日、突然閉店。

正確にいうと閉店ではなく、
一夜にして店の機材がごっそり運び出されるという
夜逃げであった。

オーナーは誰とも連絡がとれない状態なのだが、
借金があるわけでもなく、逆に大もうけしていた「冰館」。

誰も何が起こったのかわからず
地元のニュース番組でも大々的に報道されていた。

その後、誰も知らなかった事実がポロポロと吹き出し
台湾中を驚かせることになったのだ。

誰も知らなかったオーナ夫婦の離婚
「冰館」は、夫婦が経営する店である。

店といっても、アイススタンドのような小さいもので
店員がひしめき合っているような状態であるが、
効率がよく、売り上げをグングン伸ばしていった。

実は、そのオーナー夫婦。
3年ほど前に離婚していたそうなのだ。

しかし、仕事も前と変わらず続け、
それだけでなく一緒に住み続けていたため
夫婦関係は破綻したものの、一見して何も変わらない
生活を送っているように見えたのだ。

夫婦には子供がいたので、
子供のためにこのようなスタイルをとったのだろう。

日本人からすると理解しにくい状況であるが、
台湾では一族が同居したり、同じビル内に住むことは
珍しいことではないため、
離婚した夫婦がしならく同居し続けるのは
珍しくないということが背景にはあるのだ。

しかし、そこに大きな問題が
突然勃発してしまったのだ。

再婚で夜逃げ
その事件とはずばり男性の再婚。
離婚しているので再婚自体は何らもんだいはない。

しかし、再婚してまで元妻と同居することは
さすがの男性も考えておらず、
再婚相手と新生活を始めることになった。

しかし、元妻との間にもうけた子供へ養育費は
当然支払い続けなければならない。

元妻と離婚時に取り決めた契約では
再婚時は養育費として一括で3500万元
支払うことになってたそうで、

日本円にして約1億にのぼるこの養育費の支払いを
したくない、
そのため夜逃げをしたというのだ。

店の機材を持ち出したのは
恐らく遠くの別の場所で店をだし
新生活をスタートさせようと思っているからだろう。

何とも台湾らしい事件
養育金を支払いたくないために
夜逃げするとは何とも身勝手な男である。

台湾でもそんな意見が多いのは確かだが、
同情する声も出ており
夜逃げも仕方ないのではという見方まである。

経営不振でも資金繰りに困ったわけでもなく
お金があるから夜逃げするというのは
まさしく台湾らしい珍事件である。

子供が一番の被害者であるが
果たして日本人の間でも人気の「冰館」が
今後はどうなるのか、台湾中が見守っている。















写真は地元台湾人が多く訪れる台北市関渡のお寺です。
旧正月が近いこともあり、連日多くの人々でごった返しています。


コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

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