2010年1月15日金曜日

連載コラム136 from 台湾

その安全性に大きな疑問を持たれている
アメリカ産牛肉。

「食べるのが危険」だといわれる理由は、
脳の中がスカスカのスポンジ状態になり死に至る、
いわゆるBSE、牛海綿状脳症で死んだ牛の肉を
「何も言わずに」輸出したことにある。

BSEの発症の原因ははっきりしていないが、
牛を飼育する際与える肉骨粉や牛用代用乳が
汚染していたからだとされている。

しかし、明らかに病気とわかる状態になり
死んでいくわけであり、それを隠して輸出するとは
輸出国も相当なめられているものだなと感じずには
いられない。

アメリカの圧力
牛が腰砕けになりよだれを垂らし死んでいく動画は
ニュースで流れ、「狂牛病だ!」と世界中に衝撃を与えた。

当初は「食べただけじゃ感染しない」とされていたが、
その後経口感染すると確認。

日本を始めとする韓国や台湾などの輸入国は、
アメリカ産牛肉の輸入を一斉に禁止した。

しかし、アメリカの圧力は相当なもので
感染してない牛の肉骨粉や脊髄などを省く部分の
輸入を日本は再開。

繰り返し厳しい検査を受け、輸入に至るという約束したものの
何度も脊髄箇所が混じった肉が日本に送り込まれた。

だが、それも何度かニュースで騒がれた後、
何も言われなくなってしまった。

政府の対応にも、相変わらず日本人は何も言わない。
それどころか、スーパーに安い値でアメリカ産牛肉が
並んでいれば、安さにつられてついつい購入。

国産や豪州の牛肉とは異なり価格が安いため、
焼肉屋でも積極的に使われているという。

政府も店も隠し事ばかり、偽装ばかりの日本において
食はかなりの危険にさらされているのだ。

台湾では政治家がピンチに
日本以上に、アメリカ産牛肉に対して厳しく取り締まってきた
台湾でも昨年10月、ミンチ、内臓に骨付き肉を解禁。

脊髄や脳などいまだに厳しく規制している箇所も多いし
「アメリカ牛肉は安全!みんなで食べよう!」と
勧めるわけでもないと行政院衛生署は弁明しているが、
政府内で強い反発が出た。

現地の新聞やニュース専門チャンネルでも
「消費者は不安だ」を強調。
台北市、台北県、高雄の輸入業者組合は
「引き続きアメリカ産牛肉のミンチと内臓は流通させない」と
発表している。

挨拶が「食べた?」である台湾人にとって
食は大切なこと。安全性にも敏感になるのは当然であり、
矛先は馬英九総統も向けられた。

民進党が優勢に
その後、12月に統一地方選挙が行われ、
年が明けて9日に立法院補欠選挙が行われたが
馬総統率いる国民党を抑えて民進党が大勝利。

馬総統に対する2009年の数々の不満が大爆発するという
国民の不満がストレートに表れた選挙結果となった。

台湾国民のことをおざなりにし、
アメリカや中国に擦り寄る印象が強い馬総統。

台風がもたらした大惨事災害に対する対応の悪さに
食の不安。

民進党が政権を取り返す日も近いのではないかと
思わずにはいられない。





写真は陽明山の裏手にあるド派手なお寺です。
高級住宅街の一角にきらびやかに存在しています。


コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

連載コラム148 from 東京

正月は、テレビをまとめて見たね。正月からイヤだろうから、堅苦しいこと抜きに書いていくけど、格闘技のまさちょも最後に、きっちり勝って終わるところが、節目に格好いい。いままで2回やって負けてた奴に最後に勝って。倒したしね。松井、イチロー、まさちょ、両君、あゆちゃん、よしかわこうじ、チャーリー、まおう、エビ、しんご(ようやく目覚めたようだ)というのは、名シナリオライターというか、遺伝子に名シナリオが書かれてるんじゃないの?節目節目で、物語をきっちりまとめてくるね。

えだのも、77歳にしては、かくしゃくとしてる。

ヒロヤという高校生のこと、将来のスーパースターとか行ってたけど、早くも負けちゃったな。まだ初期の段階で、K1やってる子が少なくて、そういう中で子供がそれなりのものを見せてくれて、まさちょも驚いたんだろうね。でも、もっとすごい1年生が出てきたみたいね。

石井は、まあ、ダメなら柔道に戻ってもいいんじゃないか。強情張らないで(笑)ヒクソンにあこがれてそっち行ったみたいだけど、憧れと、本領発揮できるものとは、また違うからね。まあ、殴るのも、優しさが出るというか・・やっぱり、性格がいいんだろうねえ。

もっとも、まだ一試合目だからな。最終的に決めるのは、本人になるわけだけど。僕だって、ほんとは一番やってみたいのが、野球の解説者だから(笑)あとは、プロの投げる150kを実際打って、ヒット打ってキャアキャア言われたいとか、松坂からホームラン打って、俺のがやっぱり上だったと思い込みたいとか・・そういう夢ばっかりだね。

そうそう、解説は佐藤さんでしょ?
坂本なんかも、畠山とやったね。あの試合もうっすら覚えてるけど、坂本が負けるんだな。勝ってもらいたかったけど。実力もあり、精神的にも人一倍強いんだろうけど、ここぞというときに、やっぱり負けるというか。努力しても、努力しても、そういう脇役のシナリオが出来上がってるというか・・

坂本の生い立ちが、みなしごで、養子になって虐待されて施設に入ったりして、その後もずっと施設にいって援助したりして。それで、施設の子がみんなで応援してるビデオがでてくる。まあ、上原なんかが、たまに施設に顔を出すのは、わけが違うわけだから。もちろん、それも偉いことだけど。赤星なんかも。シナリオにコクがあるというか、神様には勝つというシナリオを描いてもらいたかったけどな。

ようするに、スター性と真逆で、やっぱりスターになるような人の生い立ちと、脇役とか、せいぜい宗教界のスターにとどまる人との生い立ちとは違いがあるように思うね。詳しく調べたわけじゃないから、意地悪されて違う例出されたらどうしようもないけど。

長島さんも、練習とか、影の部分を見せたがらなかったろう。引退しても、腹に肉がつかないし・・スターの自覚を、これほど持ってる人も珍しいだろうけど(笑)スターっていうのは、苦しんでる姿を見せたら、スターじゃなくなるんだろうね。

バルザックとか、ドストエフスキーは、そういうのを、さすがに見てるけどね。心の世界と華やかな世界と。両方つかむっていうのは、難しいんだな。そんなことないよって怒られるかもしれないけど、やっぱり、同じ「心」というイメージにしたって、どこか質が違うね。

倉本なども、塾で二十年以上やって、いい役者を作れなかった?といってる。結果がでなかったとのは、謙遜もあるだろうけど、スターというのは、なかなか人力でつくれるものじゃないんだろうね。野村さんも、1、2番バッターは作れるけど、4番は縁だと。

人間教育が目的なら、また違うんだろうけどね。池田の蔦監督も、水野でこりたというか、あれから野球を変えたような気がするね。原点に戻ったというか、野球を手段にしたというか。実際に聞いたわけじゃないから、わからないけど、勝利至上主義から、原点に還るというか。結果に執着しすぎると、人間教育という意味では、マイナスになることもあるだろうからな。

貴乃花も、ほんとは土俵に上がるまでのことが重要なんだと。

まあ、倉本さんが、いまの子は、シェークスピアとか、チューホフとか読んでこないっていってるけど、面白くないものは、読んでも意味ないかもしれないな。読んでも、かいこが絹を出すようには、なかなかならない。何か、昔の人たちと求めるものが違ってきてるのは、確かだろうね。面白いと思えば、自然に読むわけだから・・

ショーマンだって、監督の家に、「必ずやっつけますから」と脅迫電話をかけてきたらしいけど、怒られるかもしれないけど、これくらいのことをする人のほうが、演技に余計に熱も入る場合もあるかもしれないね。その辺りの甘やかされたボンボンが文句言ってくるのとは、わけが違うわけでね。一応、ショーマンといえば、スターの一歩手前なわけだから・・

この人、なんでこんなこといってきたのかって、考えるというか、直観で、それも酔ってたわけだろう。この野郎、面白いなくらいに思える監督の作品も、スケールが大きいようで見てみたいけどね。

怒るツボがずれてきてるというか、真剣だからこそ、こうなるんだなとか、直感でわかって、だからこそ許せるというのもあると思うけどね。

ジェームスディーンなんかも、そうだろう。あの人も、役者などちっぽけな手段としか思ってなかった。

映画でも、ドラマでも、ただ、愉しんで、笑ってもらえればいいというのもわかるけど、なにかもっと違う趣旨で、こういうものをつくろうとか、そういうのがあやふやになってきてるのかもしれないね。そうなると、作り手も、小さくなっていくのかもしれないよ。

どの業界も、どうでもいいというか、ものすごい小さいことで怒って、いつまでもネチネチいってくるような世界になってきてるのかもな。それは偽の愉しさばかりで、ほんとに愉しめなくなってるからかもな。まあ、聖書に出てくるパリサイ人とか、サドカイ人的な人って、いまでもいるわけでね。まあ、僕もそうなのかもしれないけど。そういう意味では、あれはリアリズムだよな。そういう人たちが、ほんとにキリストのいうような世界へ旅立つのかまでは知らないけど。

たまたま、ニュースで見たけど、小学生が教室でお菓子を食べてて、先生に怒られて自殺したらしいけど、その場で注意してどやしつけるのは、わかる。だけど、それで終わらず、決起の作文まで書かせて、体育館かどっかで、生徒全員の前で反省の弁を述べさせられるというので、うんざりして自殺してしまったらしいけどね。

まあ、僕なんかが偉そうにいえないけど、ちょっとやりすぎというか、そこまでやるとなると、ちょっと陰険な感じもする。作文書いても、本音にならないだろうし、発表のときは尚そうだろう。まあ、状況がくわしくわからないから、軽はずみにはいえないけど。

僕の頃だって、殴られるというのは、ときどきあったけど、悪いことすれば殴られるのは当たり前としか思わなかったね。

変人扱いされるけど、小学校の卒業式で、みんな一人ずつセリフをいって、言葉をつなげていくんだけど、声変わりで異常な声の奴とかがいた。それで初めてのリハーサルで、そいつが、「先生方、来賓の皆さん」と、しわがれた声で言うんだけど、さらに「しぇんしぇい方」と聞こえるから、そこで爆笑が起こった。

リハーサルのたびに、そこで笑いが起こり、先生も業を煮やし注意して、その後、みんな笑わなくなったんだけど、僕だけ、どうしても笑いが止まらなくてね。笑っちゃいけないと思うと余計に笑ってしまう。そいつの30秒くらい前から笑いが止まらない。それでついに駆け寄ってきた先生に殴られたんだけど、まだ一人で笑ってたね。結局、本番でも一人で笑ってたけどね。

まあ、生徒の性格とかもあるだろうけど、難しいんだろうな。教育というのは。星野もファイターに見えるけど、大学時代は、島岡監督が、星野だけは殴れなかったって。殴ると、しゅんとしてしまって立ち直れないんじゃないかって。人間をちゃんと見てるんだろうね。

梅宮さんも、いまは人気者は多いが、スターがいない。スターというのは、どこか不良っぽさがあるといってたけど。反逆児的なにおいがないと、男には好かれないのかもな。距離を置いて。そう、女だけに好かれても、スターになれないというのを今作った。

ただ、スポーツでもなんでも、これはもう衰退していくのかなって思うと、不思議と新しいスターが生まれてくるね。ゴルフにしても、スケートにしてもそうだろうけど。
あとは、なんだっけ。見たのは・・ああ、香山先生と、カツマーとかいう女性が増えてるらしくて、その討論みたいなのも、内容は面白くはなかったけど、女同士の口論も、興奮していいんじゃないの。

たけしと田原が、そろうのも珍しい。田原が、たけしに話を持ちかけても、なかなか話し相手になってくれなかったらしいけどな。

どうしても、討論になると、どっちも逃げていくというか、必ずああいうのって逃げられるからね。頭がいい人ほど、逃げるのもうまいよ。そうやってかわしながらズルズル最後までいっちゃう。何十年、何百年と・・

鳥越の奥さんが、たけしの楽屋にけしかけてきて、あなたとはアンドロメダ星雲で一緒だったとかいったらしいけど、これも本当はきよしに言ってるのか、たけしに言ってるのか、わかんないね。

あとは、駅伝なんかも、今年は、ずっと東洋大が安泰で、こういっちゃわるいけど、ドラマがちょっとなかったな。途中見なかった。ネタばれという感じで・ロス五輪のときの女子マラソンで、フラフラになりながら、あっちいったりこっち行ったり、朦朧としながらゴールに入ってきたのを見たときは、涙がでてきたけどね。

たまたまちょっと見たけど、うっちゃんが、カレンダーの写真とるのに日の出前の富士山頂に登るのも、さすがに、そういうのわかってて、最後の最後に来て苦痛の表情を浮かべて足が動かなくなってる(笑)もう、あと10メートルってところで、どうやっても足が動かない。お笑いの人間だけあって、さすがに視聴者が、なにをすれば喜ぶかわかってる。あと10メートルのところというのがいい。500メートルくらいだと、ほんとに動けなくなっちゃう可能性がある(笑)

あれでスイスイ上ったら、面白くないわけだからな。野球でも、本当にうまい選手ほどファインプレイが少ないというけど、あんまりきれいに勝つとドラマがなくなるからな。

紳輔は、相変わらず面白いと思うよ。

ガッキーのミニスカートのコマーシャルには驚いたけどね。ミニはかない子だったから・・。

山本モナコも、表情が血走ってるというか、余裕がなくなっていて驚いたけどね。あの「俺って神の子」ってふてぶてしく言ってた頃は、カリスマ性もあったし、ほんとに負ける気がしなかったんだろうけど。あの態度は、まだ負けを知らない頃のハーンズに似てた。そういうのが、こっちにも伝わってきたんだろうね。それが、ふとしたことで負ける怖さを知ったというか、ダウンして朦朧としてるときに、親が、どやしつけるというのは行きすぎな感じもするけどね。甘いのかな。

タモりんは、正月に見なかったけど、もちがのどにつかえるような年だけに心配してたよ。

宮部さんも頑張れ!八方さんを思い出した。

亮君も、アムらーのこと、よろしく頼むな。上司が、アムらー、アムらーって、仲間に入ろうとして、必死に食らいついたことを、思い出したよ。アムらーもあの頃と、ずいぶんイメージ変わったな。

コラムニスト●
…………………………………………………………………
森田益郎

連載コラム254 from 北海道●友へ

年も明けてまだ間もないのに、友人が亡くなったことを聞きました。
年の瀬も近い12月、誰にも告げず、打ち明けることなく、
自らの命に幕を引いたのです。
彼女には、沢山のことがありました。
生まれ育った環境も家族も、非常に特殊でした。
ある時、まだ幼い弟が重い病気を患いました。
すぐに手術が必要であったにも関わらず、彼女の両親は、
宗教上の理由で輸血を拒み、弟はあの世へと旅だったのです。
その時、彼女は初めて疑問を抱いたそうです。
それまで当たり前だった人生に、「なぜ?」と
疑わしい気持になりました。
彼女が抱いた疑問は、それまで仲の良かった家族に亀裂を生じさせ
ました。
絆は緩み、彼女の心は孤立しました。
家族に伝わらない苛立ちや、弟を救えなかった後悔は、
ずっと彼女の心に深い傷を作りました。
家族との溝は深く、何を言っても伝わらない。
その心を想像をするだけで、私はとても悲しくなります。
もしも、彼女が普通の家に生まれていたら、
もしも、彼女にご両親がもっと優しくしていたら、
きっと彼女は頑張れたはず。
私にはそう思えてならない。

日本は、宗教の選択が自由な国です。
それでも、自由であるはずのこの国で、宗教という名のコミニティや
家族が存在し、その中で生まれ育つ子ども達には生き方も強要されます。
洗脳という手段で、強いられます。

彼女が命を絶った理由は、そればかりではなかったと思います。
もっと複雑な、もっと困難な、どうしょうもなく疲れ果てて、
絶望の淵に立たされ、それでも誰にも何も言わず、泣き言すら吐かず、
ひとりで逝ってしまいました。
私は、彼女の苦しみに気付いてあげられませんでした。
亡くなる3日前、彼女から受けたメールには、ありがとう、
元気にしていますと。
私の体調を気遣い、自分の楽しい近況報告を添えて、
近いうちに私にも会いたいと、それから来年もよろしくと、
丁寧な温かい言葉で綴られていました。

本当は、とても悔しい気持です。
もっと甘えて、もっと辛い気持を打ち明けてほしかった。
あなたの悲しみに気づけなかった私を、どうか許してください。

亡くなった友人は、このマガジンの購読者でもありました。
ですから、友人を偲び、ライオネル・リッチーの「ジーザス」
を贈ります。

「神様
あなたの子供たちである人間をお守りください
人間が倒れてしまわないように
歩みが道から逸れてしまわないように

それから教えてください
お互いに愛することを
天国がみんなの心のなかに
居場所をみつけることもあるんだと

なぜって ジーザスとは愛のことだから
ジーザスは決してぼくたちを落胆させない
だから ジーザスはいつもぼくのもの
ぼくの心にいる

ぼくたちは歩み続けなければならない
誘惑のなかをわき目も振らず
でも ジーザスの愛と知恵が
ぼくたちを助けてくれる

ぼくは真実を知っている
ジーザスの言葉はぼくたちの救いとなる
だから 心の持ちようを高くして
感謝を込めて喜ぼう

なぜなら ジーザスとは愛のことだから
ジーザスは決してぼくたちを落胆させない
だから ジーザスはいつもぼくのもの
ぼくの心にいる」

私は信じます。
この世に無駄な命などないことを。
彼女との出会いは、私にとって大切なものでした。
沢山のことを考えさせられたり、また本音で語り合える友でした。
彼女との電話はいつも長くなくました。
夜遅くに掛かってくる電話は、一時間はざらでした。
「ありがとう」は彼女の口癖でした。
いつも感謝の心を忘れない人でした。
思い出されるのは、いつも明るい笑顔です。
どんな時もいつでもキレイにして、少しも疲れた顔を見せず、
おしゃれで、清潔で、実に可愛かった。
人生に前向きで、アイディアと知恵で、自ら事業を興したり、
たくさんの可能性を秘めていて、彼女と過ごすだけで楽しくて、
人生が明るく思えたものです。
だから、私は想像すらつかなかったのです。
彼女の死を、まるで考えたことすらなかった。

あやちゃん、あなたを忘れません。
みんなもあなたのことが大好きでした。
私達は、本当に悲しいです。
どうか、安らかに眠ってください。
そのことを 心から祈ります。

コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

2010年1月1日金曜日

連載コラム135 from 台湾

2009年も私たちを震撼させうニュースが多い
そんな1年だった。

日本国内でも凶悪犯罪が次々と勃発したり
納得がいかない有名人たちの逮捕劇など
様々なニュースが流れた。

一国の首相が巨額脱税しても「OK」な日本人は、
何が起こっても「仕方ないのかもな」で終わらせがち。

しかし、あるニュースだけは成人日本人全員に
「人事」ではなく、もっと興味を持ってもらいたいと
思う。

そのニュースとは、
「HIV感染者、増加し続ける」
である。

日本では毎日4人がHIVに感染
財団法人エイズ予防団体の発表によると、
2008年の1年間に新たに報告されたHIV感染者は
1,126人。エイズ患者は431人と、
いずれも過去最高の数字であった。

日本では、ここ数年、過去最高の数字を更新しており
とくに日本人男性の増加傾向が続いているという。

と、この記事を読んでいても「怖いなあぁ」で
終わらせてしまう人がほとんどであろう。

身に覚えがあっても「まさか自分が」とは思わない。

その「まさか」と思っていた人々が、ある日エイズを
宣告されるため、日本ではエイズ患者数が増え続けている
のである。

外人だけのHIVではない
調査では日本のHIV感染者の21%、
そしてエイズ患者数の20%を在日外国人が占めているというが、
彼らのほうがHIV検査を受ける確立が高いからである。

普通に暮らしていれる一般人は、自ら進んで受けない限り
HIV検査など受けない。
しかし、確実に日本人の感染率は高まっているのである。

海外旅行に簡単に行くことができ、
覚せい剤でさえ、普通の主婦が手を出せる、この時代である。

海外でのアバンチュールや風俗でHIVに感染する確立は
恐ろしく高いものである。

帰国後、HIVキャリアになりながら恋人にうつしたり
配偶者にうつし、そうやって鼠算式に増えていくのである。

中絶大国日本が生んだ罠
時々、アメリカで中絶運動が行われたりするが、
宗教、とくにキリスト教カトリック信者らは教えにそり
中絶を大反対しており、そのためコンドームをきちんと使用する
人が多いという。

しかし、宗教上の問題がなくモラルが破壊しつつある日本では
いとも簡単に中絶が行える。

コンドームなしで性行為をして妊娠しても、親にもばれず、
簡単に中絶できるのである。

今では、十代の女の子であっても避妊ピルが簡単に手に入るし、
コンドームなしで性行為をした翌朝に飲むと妊娠しにくくなるという、
モーニング・アフター・ピルというのも簡単に手に入り、
ますます「コンドームなしでもいいじゃない」という傾向が強く
なってきているのだ。

HIVはコンドーム着用でほとんど防げるとされている。
これを怠っている今の若い男女が、どれだけHIVに感染しているのか
考えただけでも恐ろしい。

法律改善を
アメリカは州により法律が異なるが、多くの州で
「HIV感染者が、自分の感染を知りながらコンドームなしで性行為をする」
と「危害を加えた」罪で逮捕される。

HIV感染者が、わざとコンドームなしで性行為をし
感染を拡大させるという事件も実際に起こっているからである。

日本でも感染を知った者が、やけになり広めている、
その可能性は十分に高い。

そんな人がいなくても、アメリカのように法律で罰を与えるようにすれば
もっと多くの人が、現実的にHIVを考えるきっかけになるのではないだろうか。

HIVは今や治療でエイズ発症をかなり遅らせることができる
病になっている。

HIVに感染しても、薬を飲み、定期的な検査を受けながら
長生きしている人は五万といる。

また、HIV感染者でも妊娠、出産は可能であり、
HIVに感染していない赤ん坊を産むことも可能なのだ。

コントロール可能な疾患となっているHIV。
日本でも匿名で検査が受けられるのだから、
恐れずに一度、検査を受けてほしい。




















写真は台湾現地小学校の校訓をかかげた中門のようすです。

コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

連載コラム147 from 東京

Ⅹ&トシも、山嵐に仕事を奪われてるらしいね。やっぱり、テレビのアイドルも、年はごまかせないのかね。マッチなんかは、レースに片足入れといた。危険な世界のほうに保険かけてた。まあ、もう、寝てても肉体はなかなか○なないだろうけど・・

というより、大御所が、みんな切られたり、ギャラとかで選ぶようになったみたいね。そうなると、ほんとに存在感ってなんなのかって思っちゃうね。

落合さんも、よくいってるけど、いなくなればいなくなったで、また誰かが出てくるもんだと(笑)

まあ、宗教の話は、イヤだろうから、今日は話題変えて書くから、面白くなければ、メールをほしい。

イチローだって、たまにはここに出たいというか・・、しばらく出ないと心配になってくるんだろう? 3回出ないだけでノイローゼ? だらしねえなあ...

は局長の口癖だったけどな。そんなんじゃ、ハトエリなんてどうなっちゃうんだ。ずっと気にしてたんだろう?可愛そうに・・

松井は松井で、大沢さんに、やっぱり似てないね・・。顔は、ちょっとは似てるけど、性格が似てない。大沢さんには、あったことないけど、わかるんだな。会わなくとも・・

あんまり書いて、悪影響受けるのが出るでしょ?なんか、完全に自分とは関係ないと思うような事件でも、ちょっとは、これに関わってるのかとか、最近、思うようになっちゃってね。一言との出会いがその人の人生を変えてしまうことがあるというのがあったと思うけど、ほんと、そういう一言の重さというのかな。

まあ、山嵐とは、ちょっと話できないという感じがするな。世代が違いすぎるというか、自分がそこにいるだけで嫌がられるんじゃないかって。坊やは、ちょっとくらいは話せそうな感じもするわけね。ちょっとだけだけどね。身分差別しないで、話し相手になっていただけるなら・・まあ、地位も世界も違いすぎるし、あまりにズレがあって、面食らうだろうね。

日本社会も、階級差別化が固定してきたというか、エタヒニンのようなのは、昔はある限られた地域で差別されたわけだけど、いまはテレビとかで、そういうのを蔑む傾向が拡大する恐れもあるね。価値観が多様化してこないと。司馬さんも、日本はいつ全体主義になってもおかしくないといってたけど。井上ひさしさんも、晩年の司馬さんは自分の意図が伝わらないと気づいて書き物の傾向が変わった感があるといってた。

まあ、ギャラが違うといっても、テレビの世界は、破格に違うだろうからね。ウッズが、ゴルフで稼ぐ賞金も、もちろんすごいけど、スポンサーから入る金が、その何倍もあるみたいね。

まあ、景気が悪いといっても、景気のいい世界は、景気がいいね。知り合いの知り合いも、正直、不景気ってことが実感できないらしい。

外国は、怖いねえ。イタリアの大統領も、笑い事じゃない。アメリカだって、一昔前なら、オバマも危なかったかもしれないね。イランの元大統領も、タブーを破るような恐ろしいこといってたね。

オバマは、キリストが好きらしい。キリストの話はすごいし、いい話だと僕も思うね。旧約は読めないけど。キリストの言葉は、パールバックなんかも、物語風に書いてるけど、やっぱり、昔の巨匠連中は、魅かれたんだね。ああいうものを古いの一言で片付けられるなんて、度胸いいねえ(笑)

だけど、確かに現代人には読んで欲しくないというのもあるわけ。やっぱり、いろんな人が出てくるだろうから・・

手島郁郎さんは、あんまり人間が立派になってくると○されるよと(笑)普通にいう、立派な人間というのと、霊的に立派な人間と違うことがあるみたい。小言が多いとか、嫌われ役を買って出るというのとも、違いますね。そういうのは、やはり性格の悪い人が多い(笑)

マチャミは、どうすれば、その違いがわかると思う? 年下のほうだけど・・

アメリカでは、金持ちのことを「太った猫」なんて悪くいう言葉があるらしいね。太った猫を救うために銀行を救済したんじゃねえなんて叫んでた。タランティーの映画で、プッシーというのは、卑猥な言葉だと知ったけどね。ネットでみたら猫と関わりあるものらしいね。日本のニャンニャンとかいうようなものかな。

日本も、セレブっていう言葉があってもいいけど、金持ちを悪くいう言葉があってもいいと思うね。金持ちが目標にされすぎというか、あまりに貧乏と不釣合いの人気になってきただけに・・。

暴走族も、ダサい族って呼び名にしようとか出てたな。考えてみたら、ジャニーズも、きんききっずとか、かつうんとか、しぶがき隊とか、格好悪い名前多くない? 千代大海のころは、暴走族を雷族といったって、うちの父親がいってたよ。

エグザイルも、バイクでたむろしてたら気持ち悪い雰囲気あるね。あやぱんも、ああいう人たちにインタビューしたくないんじゃないか。マッドマックスにでてくる人たちみたい・・

どういう状況でも悪口って必ず作れるからね。原監督も、選手時代は、よく悪口言われてた。調子がわるいとき、アイルスのコマーシャルでさわやかな笑顔が流れて。確かに、当時はカメラの前であれだけさわやかな笑顔作れるスポーツ選手はいなかったろうね。そういうやっかみもあったんじゃないか。笑ってる場合かとか言われる。それで自粛してると、今度は覇気がないって(笑)そうすると、今度は、ボール蹴り上げて闘志見せたり・・

だから、悪口は切がないけど、神様の悪口っていうようなのが、多分あるんだろうね。神様はいわないけど、その代理人がいう悪口のようなものが。それは永遠に変わらない。人間が、神から遠ざかっていくかどうかだけで。遠ざかるほど、真理とか、真理を体現したような人を嫌うようになるんだろうね。

真理は、真実とも、事実とも違う。

まあ、こういうのは、やっぱり言葉ではっきりさせるより、映像でぼかした方がいいんだろうね。スポーツ選手は、見方によっては運がいいともいえるだろうね。松井なんかも、運の大波に乗ってるというか、ヤンキースのやめ方も、節目として絶好だったね。ヤンキースを世界一にさせようという目標があって、それで最優秀選手にまでなって。

膝に爆弾抱えながらというのも、運のいいところじゃないかと僕は思うけどね。これくらいの優勝と最優秀選手をとっても、思いっきり喜べないような状況で這うように生きる状況が、一番いい状態じゃないかと(笑)さすが宗教人だな。

まあ、こういうのも、年寄りにはわかるんじゃないか。岡村くんも、同じ年だろう?そろそろわかるようになった?スーザンオイルのおっぱいさわってたけど。

みちゃったけど、江山さんの画像流出もすごいね。まさか、江山さんが、と目を疑ったけど。。あれはトリックなわけ?トリックにしても、なんで江山さんだけが、こんなことされるんだろうね。

篠末は、おフロの水を流しっぱなしにしてたらしい・・

ああいう世界の人は、もてかたも桁違いだろうね。さんまも、股間が止まって見えるなんて豪語してた。トレーニングデイにでてくる上司の人に似てますね・・

町野も、生まれる前から、おばあさんが、うちに野球選手が生まれて、新聞を賑わすとか、予言したらしいからね。すごい予言だと思うよ。

両君なんかも、18歳で賞金王なんか取っちゃってこれからなにやんの(笑)軍団は、落合さんが、プロゴルファーらしくないなんて言ってたけどね。ああやって、軍団なんかつくってるから世界で勝てないんだって。まあ、アリ軍団なんかもあったけどね。あれは命の危険もあって、まわりを固めてたのかな。一時、落合哲学からも、ずいぶん学ばせてもらった。

中島は、親のサイボーグと言われてたの聞いたことがあるよ。

中島裕江さんは、おかあさんが、おとうさんに虐待されて、大変な思いをした。

ミシェルウーという少女も、天才といわれてたけど、どうなっちゃったんだろうね。

浅田真央も、天才だな・・。

また、イノシシが出てきたら、困るね。和歌山市は、松下幸之助の出身地だから・・こういう策を出してきたんだな、なんて冗談も、軽症ですんだからいえるというか。来年は、猪突猛進でいけってことなのかな?

頭がおかしいと思われるのは、かまわない。もう、あきらめたから(笑)僕みたいな傾向の人間は、やっぱり、頭がおかしいといわれるのが、当たり前なんだな。危ない世界とか揶揄されたり・・

4,5年位前に、うちのアパートの近くに、オウムを入れるなとかいう張り紙がしてあって、そのことを父親に話したら、お前のことじゃねえのか?おまえがオウムと思われてるんじゃないかなんて言われたけどね。若い頃から、読んでる本も、精神世界とか、オカルト系のものもあったな。

カスタネダっていうのは、日本であまり知られてないけど、ニューヨークタイムズが、カスタネダと出会えた我々は最高に幸せだなんて書評出してる。これも、シャーマンの世界だけど、アメリカのマスコミって意外と、こういうものを異端視しないですね。

本山博なんかも、アメリカで教授やってるけど、こういう死後の世界とか、オカルトのことをいう人間が、いまの大学の教授にはなれないんじゃないかな。

まあ、どっちがいいのかは知らないけどね。それはそれで、宗教がない方がいいこともあるわけだから。やっぱり、いろんな価値観が多い方がいいんだろうね。

平井アナだって、最近のアナウンサーは露出が増えたけど、つい最近までは、久米博がベストテンで、そんな短いスカートでいいんですかね・・なんていってたくらいミニはかなかった。

瀧川クリステルさんも、アナウンサーなんですか?

女の服を着たがる男が出てきたって、別にいいと思うけどね。場をわきまえることも必要だろうけど。うちの中で女の服着たり、ひとりで裸で踊っててもかまわないんじゃないか。男らしくとか、そういうのは、外側から作るものじゃないだろうから。ある種の、抵抗でやってるのかもしれないけど。男らしくしろといわれると、逆に、女らしくしたくなったり。

つい昔までは男らしいからとかいうので動く男も多かったけど、そういうのも、なんで?って質問が出る時代になったんじゃないかな。それでいいんじゃないかな。

まあ、僕は外側より中身が何百倍も重要と思うけどね。今年も偉そうにいっちゃったけど、中身ができてくれば、男らしい人はさらに男らしくなって、男らしくない人はそれなりに女らしくなっても、別にいいんじゃないかな。ジョンレノンなどは、さすがにそういう尺度を越えてたようで、子育てと家事をやってたらしいね。


コラムニスト●
…………………………………………………………………
森田益郎

連載コラム253 from 北海道●ねねちゃん

新年あけましておめでとうございます。
初っぱなからではございますが、偶然見たテレビで、
干支にちなんで「牛から寅へのバトンタッチ」と
称して、本物の子牛と子供の虎が、ステージ上で
パフォーマンスじみたことをさせられていました。
子牛はマイペースだけれど、虎はと言うと、すこぶる牛にご執心。
これも猛獣の本能なのでしょう。
牛をパックリ噛んでみたい虎君に、慌てた司会者がその場で
リードをぐいぐい引いて牛から引き離す、そんな一場面も
ありました。
牛と寅のバトンタッチだなんて、その絵って必要? 
と思う私。
むりやり動物使ってやんなくてもいいのにね。
そう思いながらも、私は失笑していた。
あれで、もし牛が食われてたりしたら間違いなく会場は
混乱のるつぼと化して、ほのぼのした中継も、
ガオーの映像が繰り返しメディアで流され、叩かれていたのでしょう。

みなさーん、虎は猛獣ですよー。
くれぐれも無理はしないでね。
虎に牛を近づけるなんて、無茶はやめましょうね。

ともあれ、それはそれとして、先日我が家にねねちゃんがやってきた。
ねねちゃんとは、生後一年足らずのメスの子犬、マルチーズです。
のっぴきならぬ用事がある夫の妹に、預かってくれないかと頼まれ、
ねねちゃんは、我が家で半日過ごすことになりました。
が、家へ来るなり、カートの奥で小刻みに震えている。
知らない家にすっかり怯えきっておりました。
全く、こちらが心配してしまうほどです。
私は元来、生き物が好きで、猫でも犬でも虎でも蛇でも昆虫でも
ハ虫類でも、とにかく興味があり、とにかく好きで、
当然そうなると、ねねちゃんとも仲良くしたい虫が勝手に騒ぎ出し
ました。
でも、小型犬は飼ったことないのです。
ないけれど、猫や犬と慣れ親しんできた私には、
確たる自信がありました。
カートの扉を開けっ放しにして、ねねちゃんに背を向けて
知らん顔でその場を立ち去った。
ものの数秒も経たないうちに、ねねちゃんは猛ダッシュで家中を走
り出す。
それを後ろから追い掛けて、猫なで声で名前を呼んだ。
「ねねちゃーん」
小型犬だから、大きな声は禁物です。
小声でかわいく話し掛けないと、ねねもびっくりする。
「ねねちゃーん」
どうしようかと、まだ思案するねねちゃんは、困った顔で、
だけど、まだ一定の距離を置いて、まだ警戒モードなので、
今度はエサで釣る作戦に変更した。
動物と仲良くなれるコツ、その1。
食べ物を与えてみる。
私は、肉まんを見せびらかして、ねねちゃんをじらした。
瞳を輝かせるねねちゃんに、「待て」を繰り返し、ちょっとずつ指の先に
ちぎった肉まんの皮を乗せて、食べさせた。
ねねちゃん、パクパク食べる。
「いい子だねー。おいし?」
ご飯は、ボウルに入れられたドックフードと、三時のおやつ用にと
別ボウルに入れられたサイコロサイズのリンゴを、妹は丁寧にラップまで
掛けて置いて行った。
まだ肉まんの皮を欲しそうなねねちゃんが、私を見つめる。
お行儀よく、前足をちょこんと揃えて、潤んだような瞳で欲しいデスと
訴える。
「よしよし、また後でね」
ねねちゃんの頭を撫でて、私はソファに腰を下ろした。
この作戦が功を奏し、ねねちゃんと私はあっという間に仲良くなった。
私が与えた水を飲み、トイレで気ままに用を足し、
おやつのリンゴの他にみかんも食べて、
体や頭や首筋を撫でると、ねねはうっとりする。
ちんまりと私の腕に抱かれたまま窓の外を一緒に眺めた。
ベランダの窓ガラスを開けて、外の空気に触れさせ、表の公園や
通りの音に耳をそばだてるねねちゃんに、私は話し掛ける。
「ねねちゃん、ほらお船さんが見えるよ」
ねねちゃん鼻をひくひくさせて、無言で私を見つめ返す。
「ほら、空も夕焼けで染まってきた。きれいだねー」
またもや無言、でも見つめてくる瞳が堪らなく愛らしいぜ。
犬は基本的に目が悪い。
船だって、夕焼けだって、そんなの見えないに決まってます。
だけど、そんなことも無視して、私は子供をあやすように続けた。
ねねちゃんは、私の言葉をじっと聞き、そして見つめ返し、
私に甘えるようになった。
それからのねねちゃんは、私の後をひたすらつけ回した。
「ストカーねね」と改名したくなるほど、私の後をつけてきた。
ソファから立ち上がっただけで、キッチンに立っただけで、
私の後からついてくる。
洗濯物を畳む傍らで、じっと座り込み、移動する度に、
足に絡むようにまとわりついた。
ねねちゃんは、無邪気にかわいく足にまとわりついてくるけれど、
やせっぽちなので、こっちはうっかり踏んでしまいそうで、
とってもこわい、とっても危ない。
「危ない、危ないから、ねねちゃん」
でも、私の嘆きなんか全く聞き入れてないようすだ。
ひたすら愛情を示し、とても可愛かった。

それから間もなくして、困ったことが起きた。
私がトイレに立ち去った時、ドアを閉め切った途端、ねねは、
ギャンギャンと狂ったように鳴き出した。
ねねちゃんを預けていった妹は、「可哀想でひとりで留守番をさせ
たことがないの」と
言っていたが、なるほど、これは相当甘やかさせているらしい。
一人は絶対にイヤだと抗議で吠えまくる。
困るよう、でもなぁ、トイレのドアを開けっ放しにしてやれるほど、
私の心は広くないのだ。許せ、ねねちゃん。
半狂乱で鳴きまくるねねちゃんをドア越しになだめた私でした。

ペットはいいなぁ。
久々に動物と密に触れ合って、私は満面に笑っていた。
ねねちゃんは、私に腹を見せて、服従のポーズでご愛敬だ。
「ねぇ、あんた。そんなに、誰にでもすぐ懐いてたら、知らない人
に連れてかれるよ」
私がぼやいても、ねねちゃんは構わずに私にぴっとりと身を寄せてくる。
安心しきってる、っていうか、たぶん我が家のようにくつろい
じゃってるのかも。

そうして、ねねちゃんは私の顔をイヤというほど舐めまくり、
用意したブランケットや丸い座布団の上で、後ろ足をだらしなく伸
ばして、
穏やかに眠った。
私は環境音楽を掛けて、静かに本を読んだ。
本当は、他にしたいことも山ほどあったけれど、私が動いただけで、
ねねが突進するようにまとわりつくから、私も静かに過ごすしかな
かったのだ。

夜の8時過ぎ、夫が帰宅してから、まもなく妹もねねちゃんを迎え
にきた。
夫は、ねねが自分を無視して私の後ばかり追い掛けるので、
大人げなくねねに不満を垂れた。
妹はねねの様子が心配で、急いで迎えに来たにも関わらず、
ねねがすっかりくつろぎきっているので、ショックな顔をした。

甘え上手で小さくて、痩せていて、ねねちゃんはこんなに人を癒し
てくれるのに、
実は、ペットショップで売れ残っていた犬だったという。
売り犬にしては、育ちすぎたからと赤札を付けられ、たぶん偶然この店に
立ち寄った妹がねねを引き取らなければ、ねねは確実に処分されて
いたのだろう。
ねねを購入した経緯を聞かされ、私はねねを抱きながらねねの運命に
不思議な気持ちになった。
また、この犬を預かりたいなと思う。
「いつでも、また預かるから。ね、ねねちゃん」
妹は、「ありがとう」とにっこりしている。
でも、手からエサを与えたのは、秘密です。
ご飯もおやつもボウルからすくって、手で食べさせたのだ。
反則だなぁと思いながらも、私はそうまでしてもねねと仲良くなり
たかった。
妹が知ったら、絶対に怒るだろうなぁ。
だから、この話は秘密、内緒です。


コラムニスト●プロフィール

……………………………………

赤松亜美(あかまつあみ)

北海道在住