2009年12月1日火曜日

連載コラム145 from 東京

あまり家庭内で、僕が話してるようなことは、しゃべらないのかな。まあ、お笑いの人たちなんかは、そういう類の番組やったりしてるけど、そういう気を抜いた会話でも、聞く価値があるという人間は、そうはいないんじゃないかな。

たとえば、昔のロシアの人とか、気にいった人がいるけど、トルストイとドストエフスキーが、チーム青森見ながら、寝っころがって会話したりしてるのは、すごい面白いと思うんだな。ペルジャーエフなんかでもいいし・・

ああいう人は、どこで何話しても、聞いてみたくなるというか、会話に価値あったと思うよ。そういうのが本物っていうんだろうね。いまは誰がなに話しても、どっかで聞いたことがあるなっていう感じの会話だろう。脳が古いといったら、いいすぎだけど。クリシュナムルティも、人類の脳が進化しないと、人類は自滅するだろうといってる。

ペルジャーエフっていうのは、知らない人も多いだろう。ロシアの思想家ですね。昔、日本屈指の文芸評論家と言われた小林秀夫さんという人がいたんだけど、この二人がドストエフスキーについて本を書いた。二冊を森信三が読んで、こんなことをいってる。

小林秀夫のほうは、ドストエフスキーの家の前までバスで乗せていってもらい家の門前を見ただけで素通りした感じ。ペルジャーエフの方は、ドストエフスキーの家の奥座敷まで通された感じがするんだと。まあ、それくらいレベルが違うってことでしょう。

みのさんなんかも、なにか言うたびに訴えられてる。医者がやったことで、シロウトでもそのくらいのことに気づくんじゃないかなとかいっただけで、気の毒ですね。

心理学者の本だったと思うけど、ヒトラーがドイツを仕切っていた頃に、反体制運動に立ち上がったグループの兄弟リーダーの家庭環境が、思ったことはなんでもいいあうような雰囲気だったらしいね。そういう環境で育ったからこそ、これはおかしいとかいう感覚も健全に育って、洗脳されないんだと。

昔は、ヒトラーとか、スターリンが言論弾圧やって、ちょっと気に食わないこというと殺されたりした。近所づきあいも、そういう風に本音を話せば、ばらされたりするわけだから、びくびくして本音を言えない。泉ピン子さんなど真っ先に殺されてるだろう。家族で話してるときですら、落ち着かなかったんじゃないかな。そういう世界は、田原総一郎さんなんかにとっちゃ、大地獄でしょう(笑)聞いてみないとわからないけど、田原さんあたり本音を言って死ぬほうを選ぶかもしれない。

テレビでいえないだろうけど、いまは小ヒトラー、小スターリンがあちこちに出てきたようなところもあるんじゃないかな。ヒトラーが生まれない社会になったのはいいけど。

まあ、猪木さんが世の中に面白いことがなくなったというのは、どういうことなのかな。アリクラスのボクサーは、確かにもう出ないかもな。いきすぎた物質文明は、会話がつまらなくなってくるというのも、あると思うよ。

自己実現とかいうフレーズも全部金儲けと直結したものになってるだろう?僕が若い頃は、マズローの自己実現というと禅に近かったように思う。

ケストラーという人が、日本に来て噂の禅僧に会いたがった。どんな話をしてくれるのか楽しみにしてたんだけど、霊性がなくなってるというか、型にはまったようなことしか言わないんでガッカリして帰ったらしいんだね。

こういうこともテレビで言うと、禅僧の地位を失墜させたとかいうクレームがくるわけかな。

リスト教は、何度も大きな戦争も起こしてる。大沢さんも、指摘してるけど、キリストは独善的な人も出てくる。誰だか、大沢さんみたいな顔つきは、意外と死ぬ間際によくなるんだといってた。

ただ、仏教だって常に摩擦は起こしてきてる。日本だけでもマチャミの好きな日蓮も島流しにあってるし、スケートの先祖の織田信長も仏教系の僧侶を殺しまくった。それは、僧侶が堕落したからというのもあった。キリストの戦いと原理が同じなわけ。

権力というのは、長く続くと堕落していく。だけど、権力者たちはそのことに気づかないで、堕落スパイラルに入る。それでちょっと敏感で透明な人間が、おかしいとなって壊しにかかるというのがキリストの歴史でもある。

まあ、猪木さんだって、ピューリタン革命とかの時代にいったら今よりつまらないと思うよ。そういう退屈でどうしようもないときは戦争が唯一の楽しみになってくるというのもあるかもしれない。曽野綾子さんもいってますね。

グラントリノはよかった。硫黄島で懲りたから、ウエストウッドの映画は二度と見まいと思ったけど、見直したというか。あれも、教会の若くて頭が勝ちぎみの神父と戦争で生死をかけた経験のある老人が、戦い学びあって、宗教観が溶け合っていく。あの後半のウエストウッドのおじいさんは昔のアメリカの理想の父親像なんじゃないかな。うちの父親は、「おじいさんなんていったら、修理してやんないぞ」なんていってたな。

信長あたりだったら、空海とか道元級の透明度の高い僧侶がいたら、見抜いたんじゃないかな。ナポレオンも、キリスト教はともかく、イエスキリストのことは、最大級に褒めてたらしいから。亀井さんは、ゲバラを信奉してたらしい。

手島郁郎さんというのが、キリスト原理主義を日本一的確にとらえてると僕は思う。手島さんがいうには、キリストが欧米にいって違うものになって、日本に戻ってきたんだと。本山博さんなども、昔、日本にキリストを布教にきた外国人自体が、キリストを理解してなかったといってる。

いまの時代は、なんでも進化して最先端にあると思ってる人もいるかもしれないけど、大間違いなわけで、歴史はずっと同じ繰り返しなわけ(笑)もちろん戦争はよくないわけだけど、現代は本来壊されてたようなものまでが、ズルズル残るようになってしまった。それはそれで、また問題が起こる。
おおざっぱにいえば、キリストは思ったことを場をわきまえずいってしまうようなタイプなわけ。いまの言葉でいえば、空気が読めない(笑)だから、敵をつくりやすい。

釈迦の場合は、ほとんどしゃべらない。いってもわからないと(笑)実際、釈迦は、出家してあちこちまわったんだけど、どこへいっても、ここに師はいないと逃げてきちゃったらしいね。東さんみたいに・・

それで一人悪戦苦闘して、独自の修行法を編み出した。それでも、自分が体験したような世界は人に言っても絶対にわからないからと、なかなか人に話したがらなかったらしい。まあ、一説だけど、ありがちな話ですね。

ただ、いってることはほとんど同じと僕は見てる。それは真理がわかるような脳というか、体質になるためには、どうするかということ。

ただ、ああいう人たちのマネは、僕らは絶対できない(笑)まねしておかしくなってしまうのも大勢いる。千代の富士が解説やってたとき、アナウンサーが、安馬と千代の富士はどこが違うか聞いた。たしかにシロウトからみて細くて体系も似てる。それで、千代の富士が、一言、「ものが違う」と自分でいってしまった。安馬も名前が変わったことだし、叱咤激励と思ってあまり気にしないでほしい。

キリストとか釈迦はものが違うというか。じゃあ、僕らのような凡人はどうすればいいかとなって、キリストも、仏教も、いろいろ教義が変わってきた。仏教にも、法華経とか、華厳経とか、南無阿弥陀仏とか、いろいろあるわけでしょ。あれは、南無阿弥陀仏と唱えてるだけで、天国にいけるわけだから、優しい宗派ですね。そういうものは信者も増える。

実際、そういうものからいい人柄も生まれてきてる。そういう庶民を妙好人といって鈴木大拙が外国に紹介した。キリスト教からも、マザーテレサのような人物も出る。

キリストのいう私につながってれば大丈夫というのは、本来、真理がわかってれば大丈夫ってことだと思うよ。それが、わからないと勝手に離れていってしまうはずだから。教団に入って一緒にいれば大丈夫というようなことではなかったと思う。

というのは、キリスト原理主義というのは、現世利益ではなかったから。ただ、こういうとらえ方は、どうも異端視される。僕は、こっちの見方が、正当だと思ってるけど、異端と思う人のほうが多い。グノーシス派とか、グルジェフなんかの思想がそうですね。飛びつく人が少ない。こういうのは、議論しても絶対に解決つかないから、そういう人と遭遇したら、僕が間違ってるのかな・・くらいの挨拶で済ませたらいいのかと思うね。そうしないと戦争になっちゃう(笑)

実際、イエスキリストの頃は、12人しか信者が残らなかった。あなたがたは天国にいけないなんて信者にもズバズバ本音をいうから、翌日からこなくなっちゃう(笑)まあ、いまの邪教は、そう脅した後にお金を払えば天国にいけますよと。

たとえば、現代を見ても、そういう真理にうといような人でも優しいな、魂がきれいだなって思う人がいるわけ。そういう人たちはどうなのかって。マア、キリストなら厳しいことをいうかもしれない。

子供には優しいとか、劣った能力の人には優しいとか・・そういう人が、自分より能力のある人には、焼きもち焼いて急に激しくなったりする。こういうのは、人間的といえば人間的な感じもする。

たとえば、あまりいいたくないけど、市橋容疑者が捕まってすぐ、両親が、しつこいくらいメディアに出てきて、冷静に話してた。ああいうのは、ちょっと不自然な感じがした。健気といえば健気で立派なんだろうけど。やっぱり、冷静さを失って、一言二言しか話さないようなのが、人間ぽい感じもするわけ。

子育ても、物理的にもそうだけど、精神をいびつにしないようにするという意味でも子育て難しい時代になったんじゃないかな。家族間の殺人も増えてるらしい。品川さんも高齢出産とか心配してるみたいだけど、それより子育てを心配した方がいいかもね。まあ、せめて家庭くらいは、いいたいことをいえるものになってないと、どうしようもないんじゃないかな。


コラムニスト●
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森田益郎

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