2009年12月15日火曜日

連載コラム134 from 台湾













写真は北台北にある温泉川の流れです。

11月4日、マレーシアに覚せい剤5キロを
密輸しようとした日本女性が逮捕され、
マレーシアの法律では死刑になる可能性が
非常に高いというニュースが流れた。

前回も執筆させて頂いたが、
海外では「何も考えず」気軽に麻薬に手を出す、
そんな日本人がとても多い。

今回は、そんな日本人を何人か紹介しようと思う。

年齢関係なく手が出せる麻薬
日本でも年々薬物に手を出す年齢が下がっている、
そんな風に報じられているが、
海外に行くと、いとも簡単に麻薬に手を出すことが
できる。

大麻など、合法な国もあるほどで
「さほど身体に悪くないし、大麻くらい」
という気持ちがあるのだろう。

アメリカのドラマに『Weeds ママの秘密』というドラマが
あり、郊外の住宅地区の公園などで
主婦と普通の父親たちが取引をしたりしている。

ドラマはドラマであるが、大麻くらいならば
誰もが罪悪感なく手を出しているのである。

親がそんな風なので子供もそうなるのは当然であり
学校でも大麻くらいなら入手は簡単。

「よい学校なら」というのも関係なく
学生間で麻薬は取引されているのである。

日本人留学生は「カモ」
筆者は高校、大学と海外の学生寮で暮らしていたが、
やはり麻薬は存在していた。

得に大学にもなると誰もが一度は手を出さねば
いけないような雰囲気にまでなっていたのである。

友人いわく高い料金を出してくれる
「日本人留学生はカモ」だそうで、
相場より高い値段で売りつけていた。

買う日本人留学生のタイプは、
「海外での学生生活を思いっきり楽しみたいタイプ」
「勉強についていけずストレスがあるタイプ」
「何とかして現地生徒の中に溶け込みたいタイプ」
であった。

彼らは「日本じゃしないから」を免罪符に
よく買い寮の部屋の窓を全開し吸っていた。

見回りで見つかったり、抜き打ち検査で見つかったりして
寮違反だと寮を追い出された者もいたが、
そこはリッチな日本人。みな何とかしているようだった。

彼氏に勧められて
学生でも就労者でも
薬物に手を出すきっかけは「交際相手」という話は
よく聞く。

ジャンキーと交際しているわけではないが、
覚せい剤や今日本でも関心が高まっているMDMAなど
クラブやバーへ行けば意図も簡単に買えるため、
最初はクラブで彼氏と一緒にやったというケースは多い。

色々なストレスから開放されたり
これも恋愛の一環だと感じたり。

セックスの前後に楽しむものも多い。
身体の関係を結んでいるときだと、麻薬へのガードも緩まり
つい手を出してしまうのだそうだ。

麻薬断ちの難しさ
禁煙でさえ難しいというのに
薬物を断つという行為は本当に苦しいものだという。

正直、大麻くらいなら簡単と思うだろうが、
確かに簡単に止められるだろうが、
機会があれば再び手を出す可能性も高い。

MDMAに覚せい剤のレベルになると
一人で断とうとすることはまず無理である。

きちんとした指導のもと止めないと、
ダイエット同様リバウンドが酷く、
大量に打ちすぎて死んでしまうケースが多いからだ。

軽い気持ちで手を出しても
軽く止められることはできないのである。

ジャンキーになってしまうと本当に生活は崩れ
人間らしい生活もできなくなってしまう。

どんな状況であっても薬物には手を出さない。
そういう強い気持ちを海外にいる日本人に
持っていてもらいたい。


コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)

1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

連載コラム146 from 東京

どうも、高田クリニックの高田です。みなさんご存知だろうけど、ついに私も、つかまってしまいました。

今、監獄から書いてるわけだけど、自分で自分の顔、整形したけど、あいかわらず人相悪いです(笑)ダルビッチも、うちで整形したんです。

記憶に間違いなければ、あの整形外科の先生、ぷっつん5に出てたんじゃなかったかな。もうひとりの先生は名前忘れたけど、処女の見分け方がわかり、教えると正平さんが手当たり次第使うから教えてあげないといってたな。あの番組もソドムの的に悪い番組だった。ロンドンの番組が、可愛く見える。

まあ、冗談はともかく、これも1ちゃんねるで書いてるくらいの扱いだろうと思って、つねに変わらぬ意識でやりたい放題、書いてきたけどね。1ちゃんねるっていうのは、家で寝転んでしゃべってるというか、家でも話せないような腹の中の黒いものを吐き出してるんだろうね。ただ、悲しいかな、高橋尚みたいに魂がある奴、少ないね。

品川さんも、自分は新しいものがでるたびに買わなきゃきがすまない病気だと。へんないい方だけど、病気だと自覚してるのはマシだと思いますね。

言葉は悪いけど、そういう病気にならないと、この社会がなりたたないようになってるんだな。いつからそうなったか知らないけど、どっかで目的と手段が入れ替わってきちゃった。物をたくさん買わないと成り立たない。たくさん買った人、売った人が尊敬される。欲しくもないものでも欲しいと暗示をかけられて買うというか。そういう意識が変わらない限り、環境の仕事も商品も、なかなか根づかないんじゃないかな。

皆さんには、読む自由がある。口先だけの男が、好き勝手に書いていいなら、亀田も勝ったはいいけど、あいかわらず口ほどじゃないね(笑)このまえの弟のときもそうだったけど、ほとんど盛り上がるシーンない試合ばっかりだろう。まあ、チャンピオンに勝つというのは、すごいことだけどね。それも2階級制覇だから。

ただ、あれくらいのレベルになると負けない試合っていうのもできるのかもしれないね。いろいろ意見はあるだろうけど、僕は負けてもスカッとした試合を見せてもらいたい。これ書いてる人間に似てるとか、これと同じなんていわれたら、嬉しくないだろうに(笑)

ハーンズがハグラーに3RKOで負けた試合は、負けたハーンズが褒められてた。ハーンズは、注目された試合で、ことごとく客を愉しませるというか、期待どうりの試合をしてきたね。ほとんど負けてるけど。

たまにならともかく、ホラー癖になってる状況は、あまりよくないと思うよ。まあ、ネガティブとリアリズムの違いも、初心者はわかりにくいかもしれない。

わかりやすくいうと、太宰はネガティブだね。走れメロスなんかは、友情とか子供向けにいい話だけど。まあ、太宰はこれと人間失格しか読んだことないけどね(笑)村上さんは、初期の1、2冊流し読みですね。

菊池も、あどけない顔ですね。太宰読んでるという大沢さんも、あれでルーキーのとき、いきなり長島さんに直訴した。センターからサードに戻してくれと。さすがの長島さんも驚いたと思うよ。いきなりだったから。

それでも、突き放さないのが長島さんの度量だろうね。というのは、それまで長島監督に、そんなこといってくる選手はいなかったんだろう。逆に、毎試合後にマンツーマンで指導してたみたいだからね。

司馬遼太郎はリアリズム。芥川は、霊性が売りみたい。

究極のリアリズム小説というか、僕が好きなのは、みんな兵士体験者か、監獄の中に入れられた人なんだ(笑)コリンウィルソンくらいじゃないかな。違うのは・・まあ、犯罪者といっても、ほとんど政治犯だけど。怒られるだろうけど、芥川さんも、監獄なんかに入れられてたら、逆に自殺などせず、さらにいい作品書いてたかもしれないなんて空想しちゃうね。

もし、戦争で身内を亡くした方が、読んでたとしたら、いい気分はしないと思う。そういう方にはお許し願いたいし、いま戦争をやっても、種類が違うから、これから戦争が巨人輩出機関にはなるようなことはないだろうね。

まあ、現代人も、ちょっとは投獄体験というか、空虚感になれる訓練をしておいた方がいいんじゃないかな。暗さから逃げよう逃げようとするのも、一種の病気かもしれないよ。一人なにもしないと空虚感や不安感が襲ってきて耐えられなくなる。まあ、女子供なんかは違うだろうし、冗談抜きに子供がこういうものを読んではいけない。理由はいろいろあるけど。まさか、征四郎君とか、読んでないだろう・・。

Jデップのグラントリノのキャッチフレーズが、「男の人生は最後で決まる」だったけど、一人で何もしないでいるとき、どういうものが頭に押し寄せてくるかで男の人生が決まるというのも自画自賛だな。

野村さんも、人間形成っていうけど、自殺したくなるくらいの気持ちのとき、一人でなにもしないでいることほど、男の人間形成にいいものはないかもしれない。

昔の宗教というのは、地球自体を天国へ行くための道場にとらえるわけ。イスラムやヒンズーもそうだろうし、アラブのカバラもそうだろう?12階から落ちてきたという。学んで一段ずつ上に戻っていくことを目標としてる。信じられないと思われるかもしれないけど、江原さんが好きなシルバーバーチも、そういうとらえ方ですよね。

たとえを悪くすれば、地球自体が監獄なんだと(笑)その監獄の中にいろんな娯楽施設を作ったり、それなりに愉しんでるうちに、そっちを忘れちゃったというのかな。ショーシャンクの空にでは、無実の男が終身刑を言い渡されて、刑務所の中で、毎日少しずつ壁に穴を開けて、ついに脱出してしまうわけだけど。

50年くらい前までは、テレビもない。ゲームもない。定期的に戦争や飢餓もある。たぶん、そういう中で一人になると、急にむなしくなってきたりする。それで死とは何かとか、宗教とは何かとか、考えざるを得なくなっていったんだろうけど。いまは、ごまかしながらいけるようになった。それが進歩的なのかどうか知らないけど。

大森さんも、科学の重要性を訴えてて、確かにそうだけど、それだけになっちゃうのは、本末転倒じゃないかと思うわけ。ゲーテも、科学は人間の思考を部分的にしか働かなくさせるんだと。昔の数学者は、ピュタゴラスが有名だけど、広中さんとか、岡さんとか、宗教的なもの持ってたし、多くの日本の経営者は霊性ある言葉を吐いてた。くどいけど、ここが他国と違う際だった点なわけ。いま松下幸之助さんが生きてたら、どんなことをいい、どういう策を出したか、興味深い。

もちろん、人生愉しむべきだけどね。むしろ、この世もあの世も連動してるらしい。松坂と金ちゃんも楽しそうにチャリティ野球をやってた。なんだか、成績の悪い今年が一番楽しそうに見えたね。

東とキム兄は似合いのカップルですね。上川さんも、泣かせるじゃない・・

恋愛観、結婚観いろいろあるだろうけど、そっちは石田さんの領分だね。トルストイなんか、リアリストの目でみた結婚観書いてる。確かに苦すぎるというかブラックコーヒーのようだな。現代作家のものは、コーヒーに砂糖3個くらい入れてるようなのが多いし、こういう味に慣れてたら、とても飲めない。

ネットで12歳が妊娠とか話題になったらしいけど、初体験早いほうが進歩的って自慢したがる人もいるんだな。小倉さんは、ぷっつん5で初体験は風俗だった?なんて質問されてた。

自称リアリストの石原氏も、中学以下は性交禁止にしたほうがいいといって、古いと思う人も多いだろう。そっちの欲望はみんな欲しがるわけだけど、罠も仕掛けてあると思うよ。病気に限らず・・。別に、キリストの世界だけのことじゃなくて、魂を傷つけたりとか、あるんじゃないかな。

吉幾三じゃないけど、もう車がない、テレビがない、なにもないような時代が過ぎたわけだから、仕事が全盛期よりなくなるのは当然なわけでね。中国なんかに経済的な勢いがうつるのは当然で、かなわない。もっとも、いまはグローバルな環境のこともあるからね。一人勝ちしても、昔の日本以上に世界から叩かれるだろうね。

これはネガティブじゃなくて事実なわけ。その中で、現在でも勢いのある会社だってあるし、新しい技術も作れる。それはいいことだけど、全員が金持ちになり、富で満たされるようなことはありえない。

じゃあ、そういう中で、金ある人しか幸せになれないかというと、ここからが宗教の出番なわけ(笑)もちろん、最低限の金は必要だけど、金持ちは金持ちの論理で、まだ不安まだアイツに負けてると永遠に蓄えてキリがない。

聖書にも、金持ちが天国の門をくぐるのは難しいとあるけど、これだけ長く伝わってきてる言葉の意味を深く考えてみてもいいんじゃないかな。

出口王任三郎っていう今の日本の新興宗教の礎になったような人がいる。監獄を天国にしちゃおう。地上に天国を作ってしまおうという割と、とっつきやすい考え方ですね。天国の意味が、娯楽で満たされたり、豪邸を建てたり、セレブになることではないけど。そもそも、天国のイメージは人それぞれ違うでしょう?

出口さんも刑務所に入ってますね。鳩山のおじいさんは見逃してあげたかったみたいだけど。

ただ、宗教だけに、当然出口さんも、あの世観を持っていて、金貯めること以外考えないで生きてるような金持ちは、いい世界に行けないといってる。というのは、人様の分まで不必要に奪った上、さらにそういう人達を蔑んで生きてるというわけ。

いや、我々はそれ相応の仕事してるから高い報酬を受ける義務があって当然という人もいるだろうけど、渡部さんもいってたろう。ほんとか知らないけど、忙しいのは大臣だけらしい(笑)

一概にいえないけど、薄給の現場の人の方が仕事してることもあるかもね。もっとも、ワッペンの傍線が一本じゃまだからって、何千万かけて作り直したりして石原さんも怒ってた。みんながみんな合理的に働き出したら、揚げ足とりばっかりになって、ますます仕事がなくなっちゃう。

見方を変えれば、なるべく機械やコンピュータに仕事してもらって、雇われて働く時間を少なくして余暇に何をするかという生活こそ、人間らしいのかもしれないよ。長時間、働かないで、みんなで仕事分け合って、半日くらいしか働かないで。しょこたんの国では、瞑想ばかりやってるらしい。若田さんにも宇宙人見つけてきてもらいたい。

物があふれ、さらに機械のする仕事が増えてくわけだから、人間のする仕事が減るのも当然でね。まだリアリティないけど、一個の種から100個のトマトが育つというような食料技術がたくさんあれば、雇われて働く時間も少なくてすむ。問題は住む場所だな。住む場所と食料さえあれば、どうやっても生きられるわけでね。そういうつつましいというか、したたかな生活から、いい文学や芸術が生まれてくるかも。

スーパーだってガソリンスタンドみたいにセルフの部分を増やしたり、科学が進歩してなんでもロボットがやれば、ますます安くなる。実際、一部のレジもそうなってきてる。大企業の経営者はあらゆるものを合理化したいだろうから、個人商店は、きついね。世界中の大企業同士ばかり合併していって、どうなるんだろうね。

ほんと、どっちが監獄かわからないという人も増えてるだろう。こっちは、長い時間働いても、家賃と食費で精一杯。しかも、それすら保障されてない。監獄は、食と寝る場所は保障されてる。

詳しいことは知らないけど、デフレといっても、昔のデフレとは意味が違うと思うね。そういう流れまで含めてどうするかを考えないといけない。年収いくら以上が何人いたら、何人以上雇う義務があるとか、いくら以上の利益があったら、何人以上雇わなければならないとかいう法律をつくらなきゃならなくなるかもね。

サッカーも、なめられてるみたいで大変だな。

まあ、暗くなるようなことばかりいっちゃったけど、環境はダイナミックな仕事もつくれそうだけど。アスファルトだって、熱くならないものも開発されたんだろう?経済は奇麗事抜きに下半身もうずかせるようなものが、一気に広がるパワーあるからね。下半身だけでもダメだけど。パソコンも、ネットが出て来て一気に売れるようになったわけだろう。これから、ビデオやパソコン、携帯みたいなウルトラC出てくるかな。4人のノーベル賞より、1人のビッチゲイツが出てきてもらいたいね・・

トルストイの小説で、エリートが、豪邸を立て、内装もこんな風にしたいとか夢みてるときは楽しくて、いざ夢をかなえた途端におかしくなっちゃう。ノイローゼというか・・

僕みたいのが何いっても負け惜しみととらえられちゃうだろうから、ほんとは、辻ちゃんみたいな成功者といわれるような人や、セレブの中から、もっとノイローゼが出てこないといけない(笑)たけしさんあたり、どうですか?広範囲に影響与えると思うけど・・ちょっとは距離も近づくだろうし・・

伸介さんは、「政治家は体を張って政治をやってもらいたいです」と気風よく言い放ち、「伸介さあん、あなたにとって体を張る政治って具体的にどういう政治?」と返され、病院に直行したという。

トップガンでもトムが空軍でトップになった途端、イヤになってやめてしまう。というのは人を蹴落としたり、そういう生活にうんざりするわけ。あのテーマ曲はいいですね。エグザイルも、ああいうの唄えないかな?


コラムニスト●
…………………………………………………………………
森田益郎

連載コラム252 from 北海道●日本映画を観るべし

時間があると、映画のビデオを鑑賞することが常々多い
私であるが、ここ暫くは、邦画をよく好む。
ハリウッド映画も含めて、映画業界にも不況の波は
少なからず及んでいるものの、近頃の日本映画は
不況も不景気もなんのその、全くもって元気だ。
その理由のひとつに、日本映画に素晴らしい作品が
多くなったからだと、私などは思う。

天才肌の三谷幸喜監督の作品も、これまでの作品は
勿論だし、「ザ・マジックアワー」なんて、完璧すぎる
くらい完璧な作品だ。
舞台セットも撮影も、計算され尽くしたあの映画は、
兎にも角にも、驚きと美しさと感動、それに笑いに満ちている。
映画こそ大衆娯楽作、夢を与えてくれるものだと
三谷監督の作品を見る度に、痛感させられる。
今年、映画館で上映された「ディア・ドクター」の監督、
西川美和さんも、あんなに味のある作品を世に送り出し
ながら、実はまだ若くて容姿端麗なのだから、そのことでも
驚きだ。
西川監督のデビュー作「蛇イチゴ」は、ブラックコメディな
作品ではあるものの、個人的にはとても好きな作品である。
そして、映画「ゆれる」では、家族の絆や絶望から再生を描く
「蛇イチゴ」とは全く違うシリアスドラマである。
これが、もの凄くいい。
人間のやりきれなさ、嫌悪感、嫉妬、絶望、冷酷さを深くえぐり、
最後には優しさで包み込む。
一度観たら、忘れられないほど、レベルの高い映画だ。
そんな西川監督は、映画の構想はいつも夢で見たことがヒントに
なるのだそうだ。
夢で見たことから、自分で脚本を編み出してしまうなんて、
スティーブン・キングみたいで、超すごい!
その他にも、松尾スズキが原作、監督を務めた「クワイエット
ルームにようこそ」も一押しの映画である。
これは、とある出来事によって精神科病棟に入院してしまう
主人公の葛藤と成長を描いた作品なのだが、実は私はこの映画を
観てから、急いで原作も読み、二度驚いたのだ。
原作者が監督な訳だから、原作に忠実な映画だったことも当然
なのだろうが、映画の出来栄えも最高だけど、原作の短編も
素晴らしくて、鳥肌がたった。
松尾スズキさんの文章には、独特の文脈の美しさがあって、
読んでいて、どんどん吸い込まれてしまうし、なんなの?
なんなのよぉ、この人って、私は何度も心の中で叫んでいた。
これも、今更なのだけど、多彩な松尾スズキさんは、
劇団「大人計画」の旗揚げ人物でもあるし、作品作り、演出、
俳優と、これまでも多くの分野で、活躍してきた訳だから、
当然なのだろう。
だけど、北海道に住んでいると、「大人計画」の芝居を観る
ことも、その才能の凄さに触れられることもまれである。
よほど、注意をはらっていないと、情報すら見落としてしまい
がちだ。
だから、私も遅ればせながら、今更その凄さに驚いた。
松尾さんには、これからも映画を是非つくってほしい。
彼の映画に触れたいなと心から思うからだ。
そして、彼の本ももっと読んでみたいです。
ちなみに、「クワイエットルームにようこそ」は、2006年の
芥川賞にもノミネートされている。
どういう理由で、賞に選ばれなかったのか解らないけれど、
個人的には、惜しい気持ちである。
こういう作品にこそ、賞を取ってほしいものだ。
本当に惜しい。
そして、同じく劇団「大人計画」で活躍する宮藤官九郎も、
もうずっとテレビにドラマに、映画にと活躍しているけれど、
彼主演の映画といえば、私なんかは「福耳」かなぁと思う。
もちろん、「クワイエットルーム」でも、味のある役所を
演じていたし、凄いなぁと思ったけれど、「福耳」は、
ファンタジックで、楽しくて、最後にはじーんとしてしまう。
宮藤官と、田中邦衛の絡みも最高に楽しい。
愛がある映画は、いいです。
人の心をちゃんと満たしてくれるから。
そして、この映画は、瀧川治水氏が監督。
三木聡監督の「ダメジン」も、はちゃめちゃでB級映画では
あるけれど、笑いの宝庫だ。
元気がない時、こんな映画を観たら、きっと救われる。
楽しくて、バカバカしずぎて、「これで、いいのだ」って
テンションを上げてくれるからだ。
きっと、こういうバカバカしい映画も、必要なのです。
そう思います、私は。

日本映画は、角川映画全盛期時代の後、確実に低迷していた
ように感じる。
どの作品にも、伝えたいことが難しくて伝わりにくかったり、
作品が尻切れトンボで、観客は悶々とした気持ちを抱えたまま
映画を見終わることが多かったからだ。
それが、2000年頃から、徐々に変わり出したように思う。
ドキュメンタリー映画も含め、日本映画は、年を追うごとに
良くなっていった。

いま、私が特に填っている映画は、「パッチギ!」だ。
「パッチギ!」と続編の「パッチギ!LOVE&PCACE」は、
セットで観れば、その感動もひとしおである。
このシリーズの監督、井筒和幸監督の昔の作品と比べても、
この「パッチギ!」シリーズは、ダントツに素晴らしい。
過去の時代、在日朝鮮人の人達の心情や葛藤、そこに存在した
偏見に晒されていたことや、家族愛、強さ、そして祖国への思い、
全てをこの映画で堪能できてしまう。
そういう意味でも、この映画は文化的な財産だ。
教科書では教わらなかった歴史の一ページが、この映画には
詰まっているからだ。

そして、今月の24日まで東京新国立劇場では、「パッチギ!」の
舞台が上演されている。
舞台の宣伝をテレビで目にしたことで、私はまた「パッチギ!」
の映画を観ていた。
主題歌の「イムジン河」を聴いて、もっと感傷的になった。

日本映画、とにかくオススメです。
いい映画に浸って、みんなで元気になりましょう。

コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

2009年12月1日火曜日

連載コラム133 from 台湾

11月4日、マレーシアで日本人女性が逮捕された。
女が逮捕されたのは国際空港の税関。
麻薬密輸に関わった罪で逮捕されたのだという。

この女性はアラブ首長国連邦のドバイから
マレーシアのクアラルンプールを経由し
日本に帰国する予定だった。

税関特別検査期間であった同空港で
覚醒剤5キロ近くも所持していたこの女は
あっさりとバレ、逮捕されたわけだが
「何も知らない」と罪を否認しているという。

「日本を出たら何してもOK」感覚
今回マレーシアで逮捕された女性が
麻薬常習者であるのかどうかは定かではない。

しかし麻薬を運ぶくらいであるのだから
1回、2回は試したことがあるだろう。

「覚せい剤は恐ろしい」と、いたるところで言われているが
「1回くらい平気」「お試しで」と手を出す人は
想像以上に大勢いる。

海外に居ると「日本なら大人しそう」に見える日本人が、
信じられないほど開放的で
意外な行動をとったりするものだが、
麻薬に関しても平気で手を出したりするのである。

自分を知らない人ばかりの国へ行くからか、
違う自分になってみたい、抑えていた自分を出したいと
思うのだろうか。

そして、その国でやったことは、その国に捨て、
帰国後は普通の生活に戻るのである。

「日本を出たら何してもOK」
「日本には持ち帰らない」
そんな人がアラフォー独身世代に得に多くいるのである。

そんな感覚が「日本に帰る途中、ちょっと麻薬を運んで
大金かせぎ」に走らせるのだろう。

問答無用の厳しい国マレーシア
マレーシアで逮捕された女性も
職業は看護士で、体重もかなりある、
「麻薬とは無縁」のような雰囲気の女性であった。

「もしかしたら、ハメられたのか?」という考えも
脳裏を横ぎるかもしれないが、
彼女のパスポートにはここ6ヶ月の間
何度かマレーシア入りしていた記録が残っており、
麻薬密輸の運び屋となっていたのは
まず事実であろう。

日本では覚せい剤密輸に対しても
売買、所持、摂取に対しても、
たいした刑罰はくだらない。

もちろん実刑判決は下るが、
「覚せい剤が人間にどのような影響を及ぼすか」
を考えると、あまりにも軽い刑なのである。

アジアだけでも、中国、マレーシア、タイ、
シンガポールなど量は異なるが50g前後の麻薬密輸で
容赦なく死刑にする。

鞭打ちの刑があるマレーシアはとても厳しく、
「飛行機内でも麻薬持込は死刑になると
アナウンスさせているのに、持ち込む方が悪い」と
問答無用で死刑を下し、執行するであろう。

女性は今、猛烈に後悔しているであろうが、
やはり自業自得というほかに言葉はない。

増加しないことを祈るばかり
これまでアジア各国では
「日本人は沢山買い物をし、お金を使ってくれる」
と歓迎されていた。

空港でも日本のパスポートは税関ノーパスの国が
多い。

しかし、だんだん日本人に対する見方が変わってきており
「日本パスポート」が通用しなくなってきている。

今後、海外で日本人が麻薬がらみで逮捕される事件は
増加するかもしれない。














写真は台湾の現地小学校中庭の風景です。
小さな川も流れており、のんびりした雰囲気になっていますが
台湾は日本以上に学歴主義で小1から中間・期末試験があるため
子供たちがあまり遊べる時間がないのが現状です。


コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)

1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

連載コラム145 from 東京

あまり家庭内で、僕が話してるようなことは、しゃべらないのかな。まあ、お笑いの人たちなんかは、そういう類の番組やったりしてるけど、そういう気を抜いた会話でも、聞く価値があるという人間は、そうはいないんじゃないかな。

たとえば、昔のロシアの人とか、気にいった人がいるけど、トルストイとドストエフスキーが、チーム青森見ながら、寝っころがって会話したりしてるのは、すごい面白いと思うんだな。ペルジャーエフなんかでもいいし・・

ああいう人は、どこで何話しても、聞いてみたくなるというか、会話に価値あったと思うよ。そういうのが本物っていうんだろうね。いまは誰がなに話しても、どっかで聞いたことがあるなっていう感じの会話だろう。脳が古いといったら、いいすぎだけど。クリシュナムルティも、人類の脳が進化しないと、人類は自滅するだろうといってる。

ペルジャーエフっていうのは、知らない人も多いだろう。ロシアの思想家ですね。昔、日本屈指の文芸評論家と言われた小林秀夫さんという人がいたんだけど、この二人がドストエフスキーについて本を書いた。二冊を森信三が読んで、こんなことをいってる。

小林秀夫のほうは、ドストエフスキーの家の前までバスで乗せていってもらい家の門前を見ただけで素通りした感じ。ペルジャーエフの方は、ドストエフスキーの家の奥座敷まで通された感じがするんだと。まあ、それくらいレベルが違うってことでしょう。

みのさんなんかも、なにか言うたびに訴えられてる。医者がやったことで、シロウトでもそのくらいのことに気づくんじゃないかなとかいっただけで、気の毒ですね。

心理学者の本だったと思うけど、ヒトラーがドイツを仕切っていた頃に、反体制運動に立ち上がったグループの兄弟リーダーの家庭環境が、思ったことはなんでもいいあうような雰囲気だったらしいね。そういう環境で育ったからこそ、これはおかしいとかいう感覚も健全に育って、洗脳されないんだと。

昔は、ヒトラーとか、スターリンが言論弾圧やって、ちょっと気に食わないこというと殺されたりした。近所づきあいも、そういう風に本音を話せば、ばらされたりするわけだから、びくびくして本音を言えない。泉ピン子さんなど真っ先に殺されてるだろう。家族で話してるときですら、落ち着かなかったんじゃないかな。そういう世界は、田原総一郎さんなんかにとっちゃ、大地獄でしょう(笑)聞いてみないとわからないけど、田原さんあたり本音を言って死ぬほうを選ぶかもしれない。

テレビでいえないだろうけど、いまは小ヒトラー、小スターリンがあちこちに出てきたようなところもあるんじゃないかな。ヒトラーが生まれない社会になったのはいいけど。

まあ、猪木さんが世の中に面白いことがなくなったというのは、どういうことなのかな。アリクラスのボクサーは、確かにもう出ないかもな。いきすぎた物質文明は、会話がつまらなくなってくるというのも、あると思うよ。

自己実現とかいうフレーズも全部金儲けと直結したものになってるだろう?僕が若い頃は、マズローの自己実現というと禅に近かったように思う。

ケストラーという人が、日本に来て噂の禅僧に会いたがった。どんな話をしてくれるのか楽しみにしてたんだけど、霊性がなくなってるというか、型にはまったようなことしか言わないんでガッカリして帰ったらしいんだね。

こういうこともテレビで言うと、禅僧の地位を失墜させたとかいうクレームがくるわけかな。

リスト教は、何度も大きな戦争も起こしてる。大沢さんも、指摘してるけど、キリストは独善的な人も出てくる。誰だか、大沢さんみたいな顔つきは、意外と死ぬ間際によくなるんだといってた。

ただ、仏教だって常に摩擦は起こしてきてる。日本だけでもマチャミの好きな日蓮も島流しにあってるし、スケートの先祖の織田信長も仏教系の僧侶を殺しまくった。それは、僧侶が堕落したからというのもあった。キリストの戦いと原理が同じなわけ。

権力というのは、長く続くと堕落していく。だけど、権力者たちはそのことに気づかないで、堕落スパイラルに入る。それでちょっと敏感で透明な人間が、おかしいとなって壊しにかかるというのがキリストの歴史でもある。

まあ、猪木さんだって、ピューリタン革命とかの時代にいったら今よりつまらないと思うよ。そういう退屈でどうしようもないときは戦争が唯一の楽しみになってくるというのもあるかもしれない。曽野綾子さんもいってますね。

グラントリノはよかった。硫黄島で懲りたから、ウエストウッドの映画は二度と見まいと思ったけど、見直したというか。あれも、教会の若くて頭が勝ちぎみの神父と戦争で生死をかけた経験のある老人が、戦い学びあって、宗教観が溶け合っていく。あの後半のウエストウッドのおじいさんは昔のアメリカの理想の父親像なんじゃないかな。うちの父親は、「おじいさんなんていったら、修理してやんないぞ」なんていってたな。

信長あたりだったら、空海とか道元級の透明度の高い僧侶がいたら、見抜いたんじゃないかな。ナポレオンも、キリスト教はともかく、イエスキリストのことは、最大級に褒めてたらしいから。亀井さんは、ゲバラを信奉してたらしい。

手島郁郎さんというのが、キリスト原理主義を日本一的確にとらえてると僕は思う。手島さんがいうには、キリストが欧米にいって違うものになって、日本に戻ってきたんだと。本山博さんなども、昔、日本にキリストを布教にきた外国人自体が、キリストを理解してなかったといってる。

いまの時代は、なんでも進化して最先端にあると思ってる人もいるかもしれないけど、大間違いなわけで、歴史はずっと同じ繰り返しなわけ(笑)もちろん戦争はよくないわけだけど、現代は本来壊されてたようなものまでが、ズルズル残るようになってしまった。それはそれで、また問題が起こる。
おおざっぱにいえば、キリストは思ったことを場をわきまえずいってしまうようなタイプなわけ。いまの言葉でいえば、空気が読めない(笑)だから、敵をつくりやすい。

釈迦の場合は、ほとんどしゃべらない。いってもわからないと(笑)実際、釈迦は、出家してあちこちまわったんだけど、どこへいっても、ここに師はいないと逃げてきちゃったらしいね。東さんみたいに・・

それで一人悪戦苦闘して、独自の修行法を編み出した。それでも、自分が体験したような世界は人に言っても絶対にわからないからと、なかなか人に話したがらなかったらしい。まあ、一説だけど、ありがちな話ですね。

ただ、いってることはほとんど同じと僕は見てる。それは真理がわかるような脳というか、体質になるためには、どうするかということ。

ただ、ああいう人たちのマネは、僕らは絶対できない(笑)まねしておかしくなってしまうのも大勢いる。千代の富士が解説やってたとき、アナウンサーが、安馬と千代の富士はどこが違うか聞いた。たしかにシロウトからみて細くて体系も似てる。それで、千代の富士が、一言、「ものが違う」と自分でいってしまった。安馬も名前が変わったことだし、叱咤激励と思ってあまり気にしないでほしい。

キリストとか釈迦はものが違うというか。じゃあ、僕らのような凡人はどうすればいいかとなって、キリストも、仏教も、いろいろ教義が変わってきた。仏教にも、法華経とか、華厳経とか、南無阿弥陀仏とか、いろいろあるわけでしょ。あれは、南無阿弥陀仏と唱えてるだけで、天国にいけるわけだから、優しい宗派ですね。そういうものは信者も増える。

実際、そういうものからいい人柄も生まれてきてる。そういう庶民を妙好人といって鈴木大拙が外国に紹介した。キリスト教からも、マザーテレサのような人物も出る。

キリストのいう私につながってれば大丈夫というのは、本来、真理がわかってれば大丈夫ってことだと思うよ。それが、わからないと勝手に離れていってしまうはずだから。教団に入って一緒にいれば大丈夫というようなことではなかったと思う。

というのは、キリスト原理主義というのは、現世利益ではなかったから。ただ、こういうとらえ方は、どうも異端視される。僕は、こっちの見方が、正当だと思ってるけど、異端と思う人のほうが多い。グノーシス派とか、グルジェフなんかの思想がそうですね。飛びつく人が少ない。こういうのは、議論しても絶対に解決つかないから、そういう人と遭遇したら、僕が間違ってるのかな・・くらいの挨拶で済ませたらいいのかと思うね。そうしないと戦争になっちゃう(笑)

実際、イエスキリストの頃は、12人しか信者が残らなかった。あなたがたは天国にいけないなんて信者にもズバズバ本音をいうから、翌日からこなくなっちゃう(笑)まあ、いまの邪教は、そう脅した後にお金を払えば天国にいけますよと。

たとえば、現代を見ても、そういう真理にうといような人でも優しいな、魂がきれいだなって思う人がいるわけ。そういう人たちはどうなのかって。マア、キリストなら厳しいことをいうかもしれない。

子供には優しいとか、劣った能力の人には優しいとか・・そういう人が、自分より能力のある人には、焼きもち焼いて急に激しくなったりする。こういうのは、人間的といえば人間的な感じもする。

たとえば、あまりいいたくないけど、市橋容疑者が捕まってすぐ、両親が、しつこいくらいメディアに出てきて、冷静に話してた。ああいうのは、ちょっと不自然な感じがした。健気といえば健気で立派なんだろうけど。やっぱり、冷静さを失って、一言二言しか話さないようなのが、人間ぽい感じもするわけ。

子育ても、物理的にもそうだけど、精神をいびつにしないようにするという意味でも子育て難しい時代になったんじゃないかな。家族間の殺人も増えてるらしい。品川さんも高齢出産とか心配してるみたいだけど、それより子育てを心配した方がいいかもね。まあ、せめて家庭くらいは、いいたいことをいえるものになってないと、どうしようもないんじゃないかな。


コラムニスト●
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森田益郎

連載コラム251 from 北海道●問いかけの時代

2009年のユーキャン流行語・新語大賞候補が発表された。
60語もある候補の中には、「政権交代」や「事業仕分け」
など、政治関連の流行語も多い。
また、「草食男子」「弁当男子」「乙男」などや、「婚活」
「離カツ」や「歴女」。
芸能人の薬物問題を象徴した「あぶり」。
明るい流行語は極めて少ないと感じる。
その年の傾向を改めて振り返る意味でも、流行語は欠かせな
いものだ。
しかしながら、多様性を求む時代に、流行語候補がノミネート
されても、それ以上に大賞を決めることに果たして意味がある
のだろうか?

「婚活」や「離カツ」のように、言葉を縮めた表現に「就活」
がある。
今回はノミネートされなかったが、これも今どきの言葉だ。
そして、今どきの就活には、パソコンや携帯というアイテムは
必需品である。
サイトにアクセスして、関心のある企業に登録する作業から
始まると言われる今どきの就活では、後日メールで企業から
説明会の案内が送られ、面接へと漕ぎ着けるが内定には至らず。
その数、60社や100社はざらだという。
このことに、厳しい就活と言われるが、漠然と感じることは、
もう闇雲に就活が報われる時代は終わったということである。

今の日本では終身雇用で将来が守られる暮らしも既に崩壊している。
日本は高度経済成長が到達した時点から、次なる目標を失い、
バブル期を得て、今になった。
それまでのサラリーマンは暮らしが不安定になり、家のローンが
払えなくなり、自身としての誇りも打ち砕かれた。
そういう暮らしの中で、人は世の中の何を信じて生きていいのかも
解らない。
正しいと思っていた生き方が打ち砕かれると、当然それは子供に
も繁栄されるわけで、実は大人達は子供達にも曖昧に、何を
どうして、どう伝えていいのか、根本的なことを解っていないの
かもしれない。

崩壊と共に失われたことは多い。
しかし、それは今までのルールが通用しなくなっただけで、希望が
削がれたわけでない。
多くの学生達がリクルートスーツに身を包み、マニュアル通りに
右へ倣い、そういう職探しの時代は終わったというだけのことだ。
それは個々の時代に突入したということ。
将来つきたい仕事を、若い頃から想像しそのために何が必要か
何を身につければいいか、どういう分野に進めばいいか、そういう
ことを探って子供たちは大人になる必要があるということだ。
そして、もちろんそこにはグローバルという時代の波もある。
日本という枠の中で生きる方法もあるだろうし、この国を飛び出し、
自分のやりたいことを極めていく方法もあるだろう。

実はこの考えに到達したのは、カンブリア宮殿でお馴染みの村上龍
さんのエッセイ集がきっかけだった。
「村上龍 文学的エッセイ集」なる本は、2006年に刊行された本で
偶然古本屋で購入した本だ。
村上龍さんの小説は、実のところ殆ど読んではいない。
読んだのは「半島を出よ」のみである。
後は、まだ本箱の隅で眠っている。

村上さんのエッセイ集には、正直目から鱗だった。
なぜなら、このエッセイ集を読むまで、私もどうしていいか解らない
側の人間だったからである。
時代への不安や憂鬱は敏感に感じても、これだという意見に到達でき
ないわけで、討論番組を見ても、何を読んでも、結論など出なかった。
不安定な大人の生き方は、子供たちの生き方にも跳ね返ってくる。
子供は何より、大人の不安を察知して、疑心暗鬼に掛かり、
希望を見いだせず、嘆いているのかもしれない。
世の中の全てが同じものを目指して明るく生きていた時代には、
大人も堂々と自信を持って子供にもこうなのだと示せるが、それは
過去のこと。
そのことに、今は何より私達大人が気づかなければならない。
そして、子供達には、右へ倣いの教育よりも個々の可能性を引き延ばす
教育こそが望ましいのだろう。

過去を振り返り、あの時代は良かったと感傷に浸っても、何も変わ
れない。
なぜなら、過去は過去でしかないのだから。
私達は、間違えなく今を生きている。
だから、これほどまでに目まぐるしく時代が変化しても、柔軟に生きな
ければ生き抜けない。
それは、個人がより試されていく時代だ。
それら全てが、問いかけの時代なのだと思う。


コラムニスト●プロフィール
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赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住