2012年4月1日日曜日

連載コラム307 from 北海道●震災がれき

震災のガレキが、被災地の復興をさまたげている。
津波で押し流された土地に、山のように積み上げられたガレキ。
どこまで行っても、ガレキの山、山、山である。
震災から一年が経ったというのに、何も進んでいない。
被災地のガレキ処理が滞っている理由に、放射能に汚染されている
疑いがあるからとのこと。
受け入れを表明した自治体でも、市民への説明説得に、苦労してい
る様子である。
放射能汚染。
震災ガレキは、はたして本当に汚染されているのか?
この問題に対して、私たちは決して感情的になってはいけない。
重要で大切なことは、あくまでも数値である。
その数値を信じ、冷静に受け入れていくしかない。
被災地をこのままにしておくことなど出来ないのだ。
いいえ、決して、してはならないことである。
痛みを分かち合う。
被災地の外で暮らす私たちに出来ることは、震災のガレキを自分た
ちの街で受け入れること。
それこそが、私たちに出来る一番の援助なのだから。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)が、目に見えない放射性物質による
汚染を肉眼で見ることができるカメラを開発した。
人工衛星に搭載する高性能なカメラを改良して、放射線の強さを画
像上に色分けして表示できるらしく、すでに、福島県の飯舘村では
実験済みだ。
今後の実用化に、大いに期待できる話である。

食品の基準も新たに始まる。
放射性セシウムの基準を、これまで以上に厳しいものにするとのこと。
食品に含まれる放射性物質の基準には、そもそも明確な基準などない。
だが、長いスパンでとらえれば、これも一つの防御策。
何よりも風評被害をこれ以上広げないためにも有効的だ。

被災地のガレキの受け入れを、北海道の自治体は少しずつだが表明
している。
だが、まだまだ少ないし足りない。
道が、国よりもずっと厳しい独自のセシウム基準をもうけても、受
け入れをこばみ続ける自治体は多い。
農業地帯に広がる自治体では、食の産業への不安も根強いし、そう
ではない大規模な自治体でも、受け入れには以前として否定的なと
ころもある。
どうしたら、この風評被害を取り除くことができるのだろう。
受け入れても大丈夫なのだと、どうしたら解ってもらえるのだろうか。
放射能には、事実わからないことだらけだが、解らないからこそ、
一層不安を掻き立てられるのかもしれない。
それでも、この解らないことに、私たちは冷静に向き合う必要がある。
けっして、感情的になってはいけないのだと思う。

ひとつだけ、嬉しいことがあった。
我が街でも、ガレキの受け入れが決まったこと。
自分の街が、少しだけ誇らしく思えた。
被災地でも、春が近い。
福島でも、また桜が咲き始める。
被災地の復興を心の底から願っています。



コラムニスト●プロフィール
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赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

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