2012年4月1日日曜日

連載コラム189 from 台湾

日本の格安航空会社「ピーチ・アビエーション」は
28日、出発準備中に機体前方の脱出用滑り台が
飛び出すトラブルが発生したことを発表。

このトラブルで、計3便が欠航したことを明かした。

なぜそんなことが起こったのかというと、
名簿と実際の乗客数が合わなかったため、
出発に向け、一度閉めたドアをアームドモードのまま
開けてしまったから、だという。

この手のトラブルは他社でもこれまでに起こっているが
はっきり言って、こんなことをしたCAは免許剥奪もの。

就航してまだ1ヶ月もたたずに発生するタイプの
トラブルではないのだ。

アームドモードとは
乗客が全員搭乗し出発準備が完了した後に
飛行機のドアを全て閉めることになっている。

閉めた後、客室乗務員(CA)の上のランクのパーサー
などが

「客室乗務員はドアのモードをアームドに
してください」

と日本語、または英語で言う。

この言葉を聞くと各ドアの担当CAはドアについてりうレバーを
動かし、ドアを開けると脱出用スライドが飛び出る、
アームドモードにし、パーサーに報告。

パーサーは全てのドアがアームドになっているのを機長に報告し
飛行機がいつ飛んでもよい準備の一つが完了となる。

そして、目的地に到着し、ゲートに着くとパーサーは

「客室乗務員はドアのモードをディスアームドに
してください」

と言い、担当CAは自分のドアのレバーを動かしドアを開けても
スライドが飛び出さないようにするのだ。

基本中の基本
もし、アームドのままドアを開けるとスライドは勢いよく飛び出す。
緊急用のものなので短時間で使用できるようにするため、
物凄い勢いで飛び出してくるのだ。

もしドアにブリッジやタラップがついていたら大惨事になる。
実際にこの事故で亡くなった地上スタッフもいるのである。

この手のミスをするのは飛び出して一定の期間を過ぎたCAが
多い。うっかりとしてアームドのまま開けてしまうのだ。

しかし、今回の場合、恐らくドアを開けたのはパーサークラスの
人。これはありえないミスである。

ピーチ・アビエーションのCA
日本は昔からCAという職への憧れを持つ女性が多い
ことで知られている。

このピーチ・アビエーションのCA募集にも
90人の採用に対して4000人が応募したという。

契約期間は1年、更新は最高で2回可能という
驚くほど悪い採用条件なのにも関わらず、である。

給料も全日空の契約社員が得ている時給約1200円より
下回っていることは確か。

機内清掃も何もかもしなければならない、
呆れるほどの条件なのにである。

新航空会社を設立するとき、CAは経験者を集めることが多いが
そういうこともなかったようで、結果、今回のような
トラブルが発生したのだろう。

安全第一でぜひ見直しを
CAは機内サービスを行うことが一番の仕事ではない。
乗客の安全を守ることが第一の仕事なのである。

給料を上げて士気を挙げろとは言わないが、
もう少し考えてもよいのではないだろうか。

安い値段で飛行機に乗れるというのは魅力ではあるが
CAがこんなだと機長や副機長、エンジニアたちも
こんな風なのではないかと思ってしまい、怖くなる。

アメリカでも格安航空会社の機長が当然暴れだし
乗客に取り押さえられ緊急着陸した、というニュースが
流れている。

この手のニュースを聞くと「安かろう、悪かろう」と思えて
恐ろしくなる。


















写真は、霧がかかる台北の夜明けです。




コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住 from 台湾

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