2011年9月23日金曜日

連載コラム176 from 台湾

2001年9月11日、
世界中を震撼させたアメリカ同時多発テロが発生した。

あの日、アメリカを飛ぶ4機の旅客機がハイジャックされ、
うち3機は、ニューヨークの世界貿易センタービルの
タワー1とタワー2、
バージニア州にある国防総省本庁舎(ペンタゴン)
に追突し爆破炎上。

残りの1機はワシントン州のホワイトハウスを標的にしていた
とされるが、乗客が必死に反逆。
テロリストは、飛行機を途中のペンシルベニア州に墜落させた。

この衝撃的なテロ事件で、
3000人近くが命を落とし、6000人を超える人が負傷。

その後、アメリカはテロとの戦争に突入し、
さらに大勢の犠牲者を出している。

辛い辛い10年
今年の9月11日で、アメリカ同時多発テロから
ちょうど10年が経った。

10年という区切りの良い数字であることから、
節目の年などと言われ、日本の放送局でも特番が放送された。

しかし遺族にとっては、何年経っても受け入れられぬ
苦しい日となっている。

生存者の中にも、「生かされている辛さ」を感じている人は多く、
あの日から生活が一転し、人生が大きく狂った人もいる。

彼らにとっては辛い、辛い10年なのだ。

報道の惨さ
911特番では、繰り返し飛行機が世界貿易センタービルに
追突、爆破、炎上する様子を流していた。

これが、遺族にとってどんなに惨いことなのか
番組制作会社や放送局は考えないのだろうか。

遺族にとって、あの映像とは、
自分の夫、妻、父、母、子供が絶望と恐怖の中、
亡くなる瞬間なのである。

人間は危険な目に遭うと、全てがスローモーションで
見えると言われている。

交通事故にあった人は、ぶつかる瞬間、時間がゆったりと
流れたとよく言う。

あの日、飛行機がビルに突っ込んだ瞬間も
被害者はそう感じたのかもしれない。
死の瞬間はこの上なく苦しかっただろう。

自分の愛する人がそんな風に殺される瞬間を、繰り返し、繰り返し
見せられることで、遺族が胸を引き裂かれるような思いになると
少しでも想像できないのだろうか。

911に限ったことではなく、311と呼ばれる東日本大震災でも
車が津波に流される映像などを流している。
遺族にしてみれば、気が狂いそうな映像なのに。

卑怯なメディア
大きな事件が起こるとメディアの卑怯さが見えてくる。

911後のアメリカでは、イスラム教徒に対する報道が
グジャグジャになっていた。
そして、イスラム教徒をかばうものは、激しいバッシングを受けた。

311では、福島第一原発の放射能に関する報道が
グジャグジャだった。

純粋に読者にありのままを報じるメディアなど
ないということなのだろう。

どこの国のメディアも、利権の元動いているのである。

そんなメディアが作る特番は、視聴率を稼げるよう
よりショッキングに作られる。

筆者は911の後、事実に基づいた記事などないと知った。

「貿易センタービルを駆け下りた!」という見出しの記事が
あったが、駆け下りた人など一人もいなかったからである。

本当に呆れてものも言えない。

どんどん悪くなる世界
あのテロの後、世界はどんどん悪くなった。
戦争はもちろんのこと、経済も悪くなり、治安も悪くなった。

アメリカでは愛国法などというものが出来、
誰もが政府に見られている状態が続いている。

大事件とは、政府が力をつける機会でもあるのだろう。

日本も311後、どんどんと悪い方向を行っているように感じる。

10年後の世界はどんな風になっているのか。
想像しただけで背筋が寒くなる。


▼写真は、花蓮県にある太魯閣渓谷です。
















コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住 from 台湾

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