2012年6月1日金曜日

連載コラム311 from 北海道●生活保護の受給に思うこと


このとろこ連日のように、生活保護の受給問題がメディアで取り上
げられている。
発端は、芸人の河本準一氏の母親が生活保護を受けていたこと。
15年前から生活保護の受給があったとの話だが、某週刊誌に書か
れた記事を自民党の片山さつき議員が、国会で個人名を出して問題
視したことにより広がった。
河本氏の母親の受給が、不正かいなかかについては、賛否両論だ
が、現にテレビでもネットでも、様々な意見が飛び交っているのが
現状である。
ただ、やはり、芸人という職でテレビ出演して商売をしている以
上、母親が長期に渡って受給してきた事実は問題である。
芸人に、常に模範であれとは言わないが、公人であることに変わり
はない。
芸で身を立てていくとは、そういうこと。
どんなに泥水をすすっても、自分の親が生活保護を受けるなど、
あってはならないことなのだ。
なぜなら、その事実があるかないかだけで、世間の目も違ってくる。
収入に波がある、病気で仕事が出来なくなった時期があった。
その事情も理解はする。
しかし、売れっ子芸人が立派な豪邸に住み、海外で豪遊したなどと
取り沙汰されれば、それだけで母親の生活保護の受給は、本人に
とって一生の致命傷になる。
幼少期の貧乏ネタで笑いを取ってきただけに、ひとつも笑えなく
なってしまうからだ。
芸人とは、悲しくもそういう商売。
そのことを、まずは本人達が理解すべきなのだと思う。

河本氏の母親の受給問題と連鎖して、キングコングの梶原雄太氏の
母親の受給も浮上した。
こちらは、梶原氏本人が、スポーツ紙に公表した模様。
しかし、梶原氏も2000万円なるマンションを母親に買い与えな
がら、受給との話である。
そもそも、生活保護とは、どうしても働けない人が余儀なく受給さ
れる制度。
高級マンションに住み、仕事がなくなったといって、たやすく受給
できてしまうなら、不満が出て当然なのだ。
しかも、梶原氏も河本氏同様、公人であり芸人。
その点ひとつとっても、これはモラルの問題なのだろう。

生活保護の受給に関しては、いぜんとして不正受給者がはびこって
いる現状がある。
本来もらうべき人には手が差し延べられず、もらわなくてもよい人
達が堂々ともらい続ける現状がまかり通っているからこそ、公人、
芸人のような職種は、受給に甘えてはいけない。
生活保護の受給を『もらい得』なんて、世の中に堂々と広めてはな
らないのだ。
私は、彼ら芸人個人より、これは吉本興業という会社のモラルの欠
如だと感じてしまう。
吉本興業自体に、そういうモラルが欠けているから、所属芸人に、
こんな問題が起きてしまうのだ。
芸能界も、けっして綺麗なとろこではない。
さまざまな裏事情もあるだろうし、公には出来ないことも抱えてい
る世界だ。
しかし、そういう世界であっても、心ある事務所はちゃんあるもの
だし、今や手広く商売をし、芸能タレントを多数抱え込み、養成所
まで育成している天下の吉本興業なのだから、所属タレント達が、
本業とは別なところで世間に足をひっぱられぬよう、目配りが必要
なのだ。
モラルをかえりみず、儲け主義に走りすぎると、あらぬところで足
をすくわれる。
土地柄や人種は関係ない。
それが、日本のルールだ。

一昔前なら、生活保護の受給は恥の感覚まであったはず。
しかし、恥であっても、受給する人達は、やむにやまれぬ事情によ
り生活保護を受けていたはずである。
それなのに、今では生活保護受給者は、そこから抜け出すこともま
まならない。
受給にどっぷりと浸かり、自立することすら皆無である。
この国は、民主党政権になってから、生活保護の受給に甘くなった。
どんどんもらってください、と言わんばかりに公に勧めてきた。
自立支援のセーフティネットもほとんどないままに、受給者が増え
続け、今やこの国の生活保護費は5兆円に達しようとしている。
社会福祉士ひとりに対し、受給申請者が100人という割り当て
も、まったく改善されていない。
やみくもに、ばらまき政策をしてきたツケが、このざまである。
国会は、増税で押し問答をしている場合ではないはずだ。
早急に、この問題に関して法改正を進めるべきである。

この国に、モラルを取り戻してほしい。
私達大人の不道徳な行いを、子供達はいつも見ているのです。



コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

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