2012年6月15日金曜日

連載コラム194


大阪、ミナミの繁華街で男女2人が刺し殺される
通り魔事件が発生した。
被害者と加害者は面識のない赤の他人という
通り魔殺人事件であった。

加害者の男は刑務所から出所したばかりで
住む場所も仕事もなく、悲観し自殺しようと思ったが
出来ず、死刑になればと見ず知らずの2人を
殺したと供述しているとのこと。

身震いするほど身勝手な事件なのだが、
またもやマスコミは加害者は可哀想な身の上だと
伝え始め、
ネットでは事件を遠巻きに見ていたヤジ馬が
被害者の写真を掲載している。

お涙頂戴のマスコミ
この手の事件が起きると、日本のマスコミはなぜか、
加害者がいかに気の毒な人生を歩んできたかを
伝えたがる。

今回の加害者も「お母さん大好きな親思いの子」
だったのが小学生のときに母を亡くし、
父の店も倒産してしまい、引越しを経験。

寂しさをまぎらわすためか中学生になるとグレはじめ、
高校には行かず暴走族で暴れまくり総長に。
薬物や強姦で逮捕され10年ほど前には父の年金で
生活。

父と暮らしていたアパートの賃貸料を滞納し追い出され、
2004年には破産宣告を受け、その後、覚せい剤所持で
有罪判決となり刑務所に服役。5月24日に出所し、
わずか2週間あまりで通り魔をしたのだという。

免罪符などない
最愛の母親を小学生で亡くすということは
確かに可哀想なことである。
甘えたいさかりであり、その後の性格に影響を及ぼすかも
しれない、出来事だといえよう。

しかし、幼い頃に母親を亡くしている人は、かなりいる。
離婚が増えている日本では父親が親権を得ることも多く
母親の愛を知らずに育つ子も多い。

父親の店が倒産すること、引越しを経験すること、
同じようなミの上の子供だってゴマンといる。
もっと悲惨な経験をしている子供だっているのである。
その子供たちが全員悲惨な人生を送り、殺人鬼になるだろうか。
いや、ならない。

高校に進学しなかったこと、暴走族に入ったことまでは
そういう子供だったのだなと理解できるのだが、
その後の薬物や強姦は、到底理解できない。

カッコイイから、嫌な気持ちを忘れられるからと、クスリに手を
出したとしても、強姦は他人を傷つける最低最悪な犯罪である。

また、20代で父親の年金をあてに同居していたというのも
呆れる話だ。
散々暴れまくっていたのならば体力はあるだろう。
中卒だって職を選ばなければ仕事はあるはずだ。

おまけに破産宣告。あまえた考えの持ち主だということが
とても良く分かる。

可哀想な身の上は免罪符にはならない。
刑務所から出てきて、住むところも仕事もないのは、
まさしく本人の責任なのである。

モラルのない日本
こういうマスコミの報道は人権活動家へのアピールのなのか
と勘ぐってしまうほどであるが、
まともな考え方をしないのはマスコミだけではない。

今回の通り魔殺人事件は繁華街で起こったため
目撃者は大勢いた。
被害者は助けてと繰り返し言ったが、誰一人として助けず
遠巻きに眺めたり、写真まで撮影している者までいたのだ。

確かに包丁でグサグサと刺しまくる男に
立ち向かうのは危険なことだろう。
しかし、大勢が一丸となって向かえば、制することは
出来たのではないだろうか。

アメリカならば必ず周囲が止めに入るだろう。
ただ、それはヒーローが一番素敵だと考える国民であり
正義感が強い人が多いから。同じことを日本人に
求めるのは無理がある。

事なかれ主義者の多い日本では、
逆に助ける方が変だというのも理解できる。

だがその現場を写メしてネットに流すということは
あまりにもモラルの低いことではないだろうか。

身勝手な殺人事件が増えていることもそうだが、
どんどんモラルが低下する日本の行く末が心配でならない。

写真は、台湾の風情ある美しい花です。






















コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住 from 台湾 from 台湾

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