2012年5月1日火曜日

連載コラム309 from 北海道●続・原発を考える


「世界から見た福島原発事故」というEテレを見た。
これは、NHKで放送された特番だが、福島第一原発の事故後の
世界の変化をさまざまなインタビューと映像を通して語っていた。
ここで取り上げていたのは、スイスとアメリカ。
スイスは小さな国だが、原発もそれなりにあって、福島で事故を起
こしたマーク1と同じ型の原発もある。
でも、日本とまるで違うのは、もしもの事態に備えようとする気構えだ。
100%の安全策などないけれど、スイスでは、原発を稼働させる
責任やリスクをきちんと認識している。
決しておろそかにはしていない。
国土が日本の九州ほどしかない小さな国である。
ひとたび、原発事故がおきれば、国なんて一溜まりもない。
そのことをじゅうぶんすぎるほど解っているのだ。
だから、原発の安全対策も、できるかぎり徹底している。
もちろん、独立した検証機関があるスイスでは、日本のような原子
力村の癒着はない。
スイスには、各家庭に、核シェルターまである。
もっぱら普段は、備蓄庫として使用されているようだが、スイスで
はこれが普通である。
そのスイスでも、将来的には、脱原発を目指すよう、国の姿勢を明
らかにした。

日本は、どうだろう。
震災から一年が経ったいま、福島の原発事故をじゅうぶんに検証し
ただろうか?
中身のない議論とつくろった検証で、何も変わっていないのではな
かろうか?
私たちには、知る権利がある。
あの事故が、どうして起こったのか、本当に防ぐことは出来なかっ
たのか、本当のことを知る権利があるはずだ。
番組の中で、スイスが日本の電力会社に安全対策の引き上げを訴え
ていた話が出ていた。
しかし、日本の電力会社は笑みを崩さず、私たちには不要だと、い
つも同じ答えだったという。
原発事故から一年が経ったいま、日本の原子力村も電力会社の体質
も何も変わっていないと感じているのは、私だけではないはずである。
私は、あの震災で、福島の原発が事故を起こした今でも、反原発派
ではないし、推進派でもない。
ただ、事故をうやむやにしたまま原発を稼働させることには絶対に
反対だ。
いつだったか、養老孟司さんがテレビインタビューで、「日本人
は、危機管理が不得意」と言っていたが、これまでの電力会社や原
子力村や経産省の体質を本気で改善できなければ、原発の稼働など
ありえない。
リスクに正面から向き合えなければ、原発を稼働させる資格などな
いのに、一番重要なそのことが、この国では欠落している。
東電は、電気料金の引き上げとあわせて、新潟の柏崎刈羽原発を稼
働をさせたいと言いだした。
唖然とする。
東電の不貞不貞しさに、開いた口がふさがらない。
本当なら、あの震災から、日本は変わらなければならないはずなの
に、この国のあり方に危機を覚え、必死に頑張ってるのは知事たち
ばかり。
もう、民主党なんていらない。
心からそう思います。



コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

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