2012年2月16日木曜日

連載コラム186 from 台湾

最近、日本のニュースでよく報じられる
加害者が切れて酷い暴行を加えるという事件。

先月16日にも21歳の若者たちが、
無抵抗のネパール人男性に対してよってたかって
暴行を加え殺すという事件が起こった。

あまりにも酷い事件であるが、最近の日本では
さほど珍しくもなく「切れる人」は増えているというのが
常識にもなりつつある。

そんな中、海外で日本人が切れタクシー運転手に
暴行を加え、立ち去ったという事件が発生。

暴行を加えた男性と共にいた女性は芸能人で、
当初、タクシー運転手が悪いと責める会見を開いたが
複数の目撃者により、それがウソだとバレ、
激しいバッシングを浴びている。

原因はシートベルト
この事件は2月2日に台湾の台北市内で発生した。

日台ハーフで台北日本人学校を卒業しているタレントの
MAKIYOが、クラブを経営する沖縄出身の日本人男性と
タクシーに乗り込んだところ、運転手にシートベルトを
しめるよう促され、これを拒否。

台北市では、2月から「タクシー後方座席に座る乗客も
シートベルトをしめなければならい」ということが法律で
定められ、運転手は、しめてくれと言ったのである。

しかし、2人は「しつこい」「嫌だ」と拒否し、
タクシー運転手を引き出し、殴る蹴るの暴行を加え、
意識をなくし道端に横たわったままの運転手を放置したまま
別のタクシーをつかまえ平然とその場を去ったのだ。

台北市にはいたるところに防犯カメラが設置されており
こういう事件が起こると、ニュースで公開されることになる。
2人の姿もばっちり写っており、
タクシーも追跡されるなどされ、あっさりと逮捕された。

MAKIYOはすぐに記者会見を開き、
「運転手はシートベルトと言いながら、私の胸をさわった」
「それで友人が怒ってしまって。友人には悪いことをした」
と弁解し、友人を庇う発言をした。

これに世間が激怒したのだ。

ウソがバレ謝罪に
被害者に謝罪することないMAKIYOの会見と
平然とした態度に台湾中が大激怒し
まず、Facebookで激しいバッシング活動が行われた。

さすがにまずいと思ったMAKIYOはすっぴんで母と共に
意識不明の重体となってしまった運転手が入院する
病院へ見舞いへ行った。

もちろんニュースカメラもその姿を追い、
悲しみに嘆く被害者の妻に謝罪する彼女の姿を報道。

MAKIYOの母親というのが、また何度も離婚をし
現在婚活中といういわくつきの女性であることから
どうしようもない親子だと一層バッシングされるように
なった。

ジワジワと広がる反日
MAKIYOは半分台湾人であるが
男性が日本人であること、MAKIYOは日本人として
台湾のバラエティー番組で活動してきたことから
この事件が起こってから日本人に対する風当たりが
強くなっている。

女性や子供は夜はタクシーに乗らないようにと
在台日本人には伝えられているほどである。

日本に対して親近感を感じ、昨年の大震災の時も
おしみなく助けの手を差し伸べてくれた台湾人。

しかし、ここに来て「やっぱり日本人は冷酷だ」
「弁解ばかりで罪を認めずごまかそうとする。
とんでもない国民だ」
と言われるようになってきている。

海外に出てこのような事件を起こすと
加害者だけでなく、日本人全員が非難の的となる。

切れやすい人はそんなモラルなど、そもそもないのだろうが
もっと強く意識して海外で行動すべきである。


















写真は、今年から一般公開されるようになった台北、士林官邸にある慈雲亭です。





コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住 from 台湾

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