2012年2月1日水曜日

連載コラム185 from 台湾

日本はOECD経済協力開発機構に加盟する34国の中で
相対的貧困率、ワースト6位である。

ちなみに1位はメキシコ、続いてイスラエル、チリ、
アメリカ、トルコときて日本となる。

パーセンテージ数にすると16%で、これは6人に1人が
日本で貧困だという計算になるという。

しかし異なる国を同じ物差しで計っても、
正確な結果はでないもの。
そもそもOECDの算定基準は収入だけなのである。

そこで、厚生労働省は1月、急増し記録更新までしている
生活保護受給者たちや、いわゆるワーキングプア問題
に対応するために、貧困の指標を見直しすることを決定した。

基準項目
報道によると、厚生労働省は専門家による検討会を開き、
新しい指標の「失業率」や「医療をどれくらい受けているか」
ということを項目に加えるとのこと。

そして、生活により密着した「食事に困っていないか」
「携帯電話などの必需品が買えるか」などを項目に
入れることを検討するという。

携帯電話が果たして必需品なのかは微妙なところ。
日本には購入電話が沢山あり、固定電話を使用する人も多い。
この上、携帯電話を持つことは必要なのであろうか。

食事に関しても、これまた微妙なところだ。
各家庭における1ヶ月の食費は、それぞれ大きく異なる。

昔は羽振りがよかったのに、不景気になり収入が減ったのに
贅沢な生活をし続けて自己破産し、生活保護を申請したという
ケースを、筆者は知っているからだ。

治らない贅沢病
このケースは友人の義理両親のことである。

自営をしていた彼らはその昔、とても羽振りがよく
冷蔵庫には腐るほど食材が詰め込まれ、
外食も多く、出前も多く、年に一度の休みには海外旅行していた。

しかし不景気になり仕事は減り、震災で受注がストップ。
生活のレベルは下げられないと、それぞれ家庭を持った
子供たちに仕送りをするよう強制的に指示をしたという。

しかし、それでも足りないためサラ金から借金をするようになり
どうにもいかなくなり自己破産するはめに。
年齢も70代に手が届こうとしているのに、年金などバカらしくて
と未加入。

子供たちはこれ以上面倒など見られないと手を切り、
家や車、全てを手放させ、生活保護を申請させたそうだ。

しかし、頻繁に子供たちに電話をかけ「お金が足りない、足りない」と
泣きながら訴えるのだという。
話を聞けば、相変わらず外食を続けており、旅行にも行きたいなどと
言っている。

友人は、「子供たちのため、自分たちの老後のためにも、贅沢をせず
せっせと貯金しているのに、それをワガママな老人の贅沢のために
差し出さねばならない。そんなのは絶対に嫌だ」とうつ病になり、
離婚まで考えるようになった。

正月にも「お年玉をくれ」とせがまれ、一月分のパート代にあたいする
金を渡したと暗い顔をしていた。

彼女は今、夫の仕事の関係で海外に在住しているが、
帰国後には真剣に離婚を考えると言い、その準備を進めている。

貧困を見極める
震災があったとはいえ、これだけ多くの人が生活保護を
受けているというのは、それだけ貧困化が進んだから。

格差は広まる一方で、貧困者が増えていることを
これ以上隠し切れなくなったから、指標を見直すことに
したという風にとれなくもない。

しかし、紹介した例のようなケースは山ほどあると見られる。
そして、その逆で、生活保護を受けるよりも下のレベルの
生活を必死になって続けている者もいる。

日本はまじめでウソつきが少ないとされているが、
今やそんなことはなくなったといってもよいだろう。

本当に困っているのか、貧困なのかを見極めることが
一番大切なのではないだろうか。






















写真は、台北市松山空港に展示されている美しい作品です。



コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住 from 台湾

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