2012年1月2日月曜日

連載コラム301 from 北海道●拉致被害者の救済に思うこと

金正日総書記の死去で、連日、北朝鮮のニュースが続いた。
平壌で行われた国葬は、海外に流された映像を通じて、三男・金正
恩への権力世襲をアプローチしたようである。
この訃報が報道される数日前から、北朝鮮の国営放送のベテラン女
性アナウンサーが、ここ数ヶ月、放送から姿を消した話題で偶然に
もメディアは盛り上がっていたから、本当に驚かされた。
死因は、急性心筋梗塞とのこと。
ただ、女性アナウンサーの失踪から、金正日の体調がよくなかった
ことも、なんとなく推察されたが、いずれにしても、真相は闇の中だ。

金正日総書記の死去のニュースが伝わる中で、拉致被害者の家族会
の横田早紀江さんと滋さんも、テレビ出演していた。
娘のめぐみさんを拉致されてから、ずっと拉致被害者の救出に心血
を注いでこられたお二人だが、今度こそという思いは、きっと強い
はずだ。
総書記の告別式が北朝鮮で行われた日も、家族会や脱北者支援組織
などのメンバーが、東京都内の市民集会で、「今こそ、政府は被害
者の救出を実現してほしい」と訴えたと新聞にも掲載されたが、本
当にその通りだと思った。
この機会を逃せば、拉致被害者は永久に戻らないかもしれない。
だからこそ、と心から思うのだが、今の日本政府には、どうしても
一抹の不安を覚えてしまう。
北朝鮮事情に詳しい人々が、メディアを通じてさまざまな見解をの
べていたが、民主党が政権を握ってから、拉致被害者の救済につい
ては、後退しているといってもいいくらいだ。

今でも、忘れられないのが、小泉元総理が北を訪朝して、自ら拉致
被害者を連れ帰ったこと。
メディア映像と、その後の話を通して、あの時がことが幾度もテレ
ビを通じて語られたが、あれは、今でも奇跡だったと思えてならない。
それほどまでに、北との取引には覚悟がいた。
そして、その覚悟は、小泉元総理の堅い表情からも、はっきりと読
み取れるものだった。
はたして今の政府に、その覚悟はあるだろうか。
今の政府が、拉致被害者の救済に、あきらめや投げやりな気持ちが
あると感じてしまうのは、私だけなのだろうか。
金正日が死去しても、野田さんの動向からは、何も伝わってこない。
はっきりと解るのは、増税と原発輸出に熱心だということだけ。
増税が野田さんの使命ならば、それも致し方ないことだが、国民に
それだけのことを強いるなら、順番があるはず。
増税の内訳もはっきりと示さず、国家公務員は安泰で、自分たち議
員だって身を切ることをしない。
朝霞の公務員宿舎は建設が中止されたが、かわりにこそこそと札幌
の東月寒に90億円も使って公務員宿舎を建ててしまった。
11階建ての660戸の新築マンションだ。
家賃は3万円なり。
ちなみに、周辺の相場は10万円らしい。
福島原発の冷温停止のセレモニーも、そう。
沖縄県庁にむりやり運び込んだ環境影響評価書なるダンボール書類
も、そう。
心ない政治には、もううんざりだ。

いずれにしても、拉致被害者を救済するには、今この時を逃せば、
日本は永遠に、機会を失ってしまう。
北朝鮮との交渉には、どうしても総理大臣が訪朝する必要があるのだ。
小泉元総理や阿部元総理の手を借りて、という意見もあるが、今の
日本のトップが自ら訪朝しなければ、きっと解決はできない。
私は、拉致被害者を救済できるかできないかの前に、野田さんには
それをやる義務があると思う。
日本の総理大臣として、自ら交渉に出向く義務があるはずと感じて
しまうのです。


コラムニスト●プロフィール
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赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

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