2011年12月1日木曜日

連載コラム299from北海道●橋本さんの大阪都構想

大阪ダブル選挙は、実にあっぱれな戦いだった。
大阪人でなくても、この選挙だけはどうにも気になると、我が夫も
漏らしていたくらいだったし、この度の選挙結果を全国の多くの人
達が気に掛けたのではないだろうか。
茶髪で色眼鏡の風貌でお馴染みの橋本弁護士をお茶の間のテレビで
見掛けるようになって、あっという間に大阪府知事に就任し、今度
は大阪市市長である。
橋本劇場とまで言いたくなるその演説をテレビを通して見ただけで
も、どこか引きつけられるものがあった。
まるで、小泉純一郎さんをほうふつさせる。
大阪ダブル選挙の争点は、「大阪都構想」だったが、これをきっか
けに、大阪の景気を回復したい、閉塞感から抜け出したいという市
民、府民の気持ちの表れだったのだろう。
府知事時代にも、大阪の二重行政について、橋本さんの話をメディ
アを通して聞いたことがあったが、元大阪市長の平松さんも度々テ
レビ出演し、これまでもふたりがクローズアップされることはそれ
なりに多かったようにも感じる。
平松さんの印象は、その当時と今も変わっていない。
とにかく、いい人というイメージだ。
本当なら、選挙で白黒なんかつけないで、話し合いで解決できれば
良かったのだろうが、それがどうにも難しかった。
水道局のこと一つ取ったって、府と大阪市の機関が並んで隣接して
いる問題ですら、綱引き状態だったのだから。
ただ、橋本さんと平松さんの対立に、大阪が抱える問題は、全国に
も普通にあって、特別なことではないのだと思った。
北海道にも、二重行政が存在している。
例をあげれば、北海道開発局。
2008年の5月と6月に発覚した北海道開発局をめぐる談
合事件は、当時開発局の幹部や局長と逮捕者が相次いで、新聞にも
デカデカと掲載された事件だったが、その後、地方分権改革推進委
員だった東京都副知事の猪瀬さんが、北海道開発局廃止のための案
を提案し、それが実現までにはいたらず、昨年の7月になって
から国土大臣だった前原さんが再度廃止に着手しようとした。
そもそも北海道開発局とは、国土交通省の出先機関である。
北海道内の国担当の公共事業を管轄している機関だが、これが国土
交通省の中では、北海道局と北海道開発局にわかれている。
しかも、ここの官僚機構は、非常に閉鎖的。
事業のすべてが北海道だから、業者とのつきあいも長く、顔見知り
なのだ。
だから、北海道開発局のOBがこれらの業者に天下ることで、
談合が繰り返されてきた。
北海道は、公共事業への依存度が深いという。
「北海道特例」と呼ばれる優遇制度があるからだ。
これは、事業の地元負担率が他府県より低めに設定されているから
で、つまり、北海道では、公共事業の際、他とくらべて国が多く負
担してくれているのだ。
北海道は、歴史や国土も特別だから、道民のよりよい暮らしのため
に特例が設けられているのだが、その特例に便乗して、巧妙な多重
行政が増えてしまっているのも実体なのだ。
しかも、国土交通省は、全国に8つの地方整備局、出先機関が
あるが、北海道だけは北海道開発局としてここだけで11カ所。
職員の数も、全国と比較してケタ外れに多い。
そして、これとは別に、北海道庁管轄の土木現業所なる事業機関が
同じような支庁に存在している。
ちなみに、道路や空港の整備や維持管理を中心に事業を行っている
のが北海道開発局で、現在は、名称もあらためて「開発建設部(開
建)」となっているが、北海道庁管轄の土木現業所の事業内容も北
海道開発局とほぼ同じ内容だ。

二重行政をなくすことは、容易なことではない。
二重行政と真っ向から戦う強い力が必要なだけに、なまはんかには
取り組めない難しさがある。
だから、大阪維新の会が掲げた大阪都構想も、法改正の問題も含め
て、すべてが問題の山住なのだ。
橋本さん達が、本当に大変なのはこれからなのだろう。
実現するかどうかだって、今の段階ではわからない。
でも、橋本さんの発信力の素晴らしさに、非常にワクワクさせられた。
大阪から、全国へ。
そんなふうに、願います。


コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

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