2011年12月16日金曜日

連載コラム182 from 台湾

2011年は急速に円高が進んだ年であった。

その昔、1ドル100円で「円高だ!」と騒いでいた日本だが、
2007年からサブプライムローン問題、リーマンショック
などが相次ぎ、円高に拍車がかかることに。
90円台、80円台になり、超円高の時代が来たと騒がれた。

それでも80円を切ることは、さすがにないだろうと思い込み、
世間は、なんとか踏ん張ろうと頑張った。

しかし、3月11日に未曾有の大地震、東日本大震災が発生し、
円高が急速に進み、一時76円に。

その後も世界的な不況のあおりをうけ、円高は直らず、
政府や日銀が大金を投じて円売り・ドル買いの為替介入
をしたものの、相変わらず77円前後の状態が続いている。

大打撃を受けている企業が多いなか、
日本のメディアは「円高だからこそショッピングチャンス!」
と前向きに報道しているが、果たしてそうなのだろうか。

円高値下げはほとんどなし
円高だと海外の物が安く購入できる。

だとしたらスーパーに並ぶ輸入食品も値下げされ
海外メーカーのおしゃれな服やIKEAなどの輸入家具
沢山のものが今までよりもかなり安く購入できるはずだ。

しかし、果たして大幅に値下げが行われているだろうか。
値段はあまり変わらないのが現状のように思えてならない。
コーラ1本の値段にしても、80円に下がるわけではなく、
同じ100円~120円なのである。

なんでも、食料や原油などの資源は新興国の需要が増えて
いるというのこと、そして、不安定な中東・北アフリカ情勢
などを背景に値段が高くなっているのだという。
その結果、輸入される物の値段は下げられないのだそうだ。

また、ガソリンなどは半年先のものを予約で購入してるため
すぐには値段が下がるわけではない。

今、ガソリンには140円という値段がつけられている。
では、これから下がるのかというと、
決してそうわけにはいかないだろう。

結局、日本にいては円高も何も関係ないのである。
そもそも100円ショップが大流行しているため、
ちょっとやそっとの値下げでも満足しないという心理も
あるのだろう。

アンケートでも「恩恵感じない」
先日、消費者庁が「円高の恩恵を感じているか」という
アンケート調査を実施した。

その結果、恩恵を受けてないと答えた人が
消費者の6割に達したという。

ちなみに円高への期待を抱く人は8割を越えたということ
から、みな、値下げを期待しているようである。

だったら、インターネットで海外のショッピングサイトに行き
個人で輸入するというのはどうだろうか。

その言葉に問題のない人であれば、確かに難なく
そういう道を選ぶことができるだろう。

しかし、郵送料が思いのほかかかったり、
税金をとられることになったり、換算レートも1、2円高く
設定されていたりとモヤモヤを感じることもある。

サイズが合わなかったり、トラブルがあっても、
日本ほどスムーズに対応してくれるケースも少ない。

なぜ海外では安い?
筆者は、この円高を上手く利用できないものかと
アマゾンの米サイトで買い物をするようになった。

とはいえ、以前、このアマゾンでクレジットカード情報が
ハッキングされたことがあったため、購入には
かなり慎重にはなっていたのだが。

全ての物を購入できるわけではないのだが、
本やDVD、CDだけでなく、PCに関するものや服、靴、
コスメに玩具も購入することができる米アマゾン。

郵送料は高いが一番時間のかかるスタンダードでも
比較的早く着くため重宝している。

このサイトでショッピングをして気がついたことが。
同じ製品が、日本とアメリカでは価格に大きな差がある、
ということである。

購入しても日本では使用できないがテレビなどは
同じ商品でもアメリカだと10万以上安く買えることもある。

日本のメーカーの商品の話である。
なぜ、日本は何もかもが高く売られているのだろうか。

デフレから抜け出せるのか
もともとデフレなのだから、円高など関係ないという
そんな声もあるそうだが、
消費者視線から見れば、とんでもない話だ。

給料は安くなる、仕事を失う人もいる、
それなのに税金は増やすという。

国民はどんどん貧しくなっていくもの。
1円でも安くものは買いたいのだ。

いつ円安時代が到来するのか分からないが、
円安だからと物を値段を一斉に上げることにならないよう、
切に祈る。


▼写真は、台湾の街を回るリサイクル回収業者です。






















コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住 from 台湾

連載コラム300 from 北海道●なくならない放射性物質と原発輸出

除染が行われるようになって、新たな問題が浮上している。
NHKクローズアップ現代で取り上げた「知られざる都市濃縮」では、
その実態に迫っていた。
千葉県・柏市でおきているゴミ処理からおこる放射性物質の濃縮。
生活ゴミと一緒に、集められる落ち葉や草木に付着してるごくわず
かな放射性物質が、焼却場では、高濃度の放射性物質に変化していた。
原因は、ゴミを高温で燃やす過程でおきる放射性物質の濃縮。
ゴミを100分の1に減らせる最新の焼却施設では、焼却灰から高
濃度の放射性物質が検出されている。
ゴミの量が減っても、放射性物質はなくならない。
ゴミのかさが減ったぶん、放射性物質が濃縮されてしまうからだ。
このゴミ処理施設では、こうした焼却灰を埋めることもできず、焼
却場の中で、ただただドラム缶に保管している。
作業員たちは、防護服を身につけて仕事にあたり、施設内の通路、
空きスペースは、行き場のないドラム缶であふれかえり、年内にも
いっぱいになる見通しだという。
保管場所が他に確保できないと、ゴミの収集は止めざるおえない。
柏市の焼却場では、一日におよそ1トンの灰が排出されており、こ
れまでも、国や東京電力に灰の保管場所を確保するよう求めてきた
が、具体的な回答は、いまだないという。
これまで、首都圏の焼却場からでた灰の埋め立ては、地方に運ばれ
ることが多かった。
自前の埋め立て処理場を持たない都市の自治体が、地方を頼ってき
たからだ。
しかし、処理された灰から高濃度の放射性物質が検出されれば、話
は別である。
そんな灰は、どこも引き取れない。
国は、放射性物質を含んだ焼却灰を、これまでの目安の8000ベ
クレルを超えても10万ベクレル以下であれば、セメントで固めて
埋め立てられると各自治体に処理方法を示しているというが、これ
には、専門的な技術や施設がないため、どこの自治体もいまだ処理
には至っていない。

放射性物質はなくならない。
ゴミの焼却を通して、それをはっきりと示されていた。
原発事故によって、もたされたリスクは、あまりにも大きすぎる。

それなのに、国は原発輸出にいまだ頑なだ。
政府がヨルダン、ベトナム、ロシア、韓国と結んだ原子力協定が、
国会でも承認されてしまった。
これによって、年明けにも、日本の原発輸出が可能になる。
野田さんのいう「国際的な原子力安全の向上に質する」とは、なん
なのか?
福島原発事故も、いまだ収束していないのに、平気で安全などと
云っている。
原発事故がもたらしたリスクが、震災復興の足かせになり、除染に
よってあらたな問題がつきつけられているというのに、それらいっ
さいには目をつぶり、とにかく輸出をと方針を変えようとしない。
原発マネーで、もうかるのは、ごく一部のふところだけ。
私たち国民は、その恩恵にさえあずかれない。
恩恵どころか、原発を輸出すれば、輸出先の核廃棄物まで、この日
本は引き受けなくてはならなくなる。
いま、国内の核廃棄物の処理問題でも、手を焼いているというの
に、そんな余裕などどこにあるというのか。
輸出先でも運営の指導問題が残る。
ヨルダンは、日本と同じように、地震多発国だし、原発の海外輸出
には、軍事転用も危惧できない。

日本は、あの震災によって、さまざまな気づきがあったはずである。
原発事故によって、それまでの安全神話も、既成概念も、吹き飛ば
されたはずなのだ。
気づき、畏怖の念を抱いているのは、私たち国民だけで、政府はな
にも変わろうとしない。
原発の輸出は、日本が加害者になることだって、十分ありうる話。
その時、日本は、国際社会に、どう責任を取るつもりなのだろうか。
地球の気象変動も災害も、昔とは大きく変わっている。
地震や災害が、輸出した国で、ぜったいにおこらない保障など、ど
こにもないのだ。
リスクの問題、いっさいを解決できないかぎり、原発輸出は悪、と
私は思う。


コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

2011年12月1日木曜日

連載コラム181 from 台湾

先日、筆者の女友達が離婚をした。
結婚歴10年、小学生になる子供が2人いる。
夫は大手メーカーに勤めており、海外赴任のため、
家族一緒に東南アジア某国に住んでいる。

いわゆる絵に描いたような理想的な家庭だった。

しかし、友人いわく「駐在生活が始まってから、
家庭・家族はめちゃくちゃになった」とのこと。

実は、離婚はしなくても海外赴任をしたため
破滅状態になる家庭は多い。

一体、何が起こるのだろうか。

日本人サラリーマンの売春
冒頭で紹介した友人は、東南アジアのある国に住んでいた。
その国では売春は違法であるが、
半ば公然として女性を買うという行為が行われている。

日式カラオケ店やバーのところへ行き、
気に入った女性がいれば、交渉して外に連れ出し
安い値段で性行為が行えるのである。

値段は決して安くはないが、
「現地の人と仲良くなるのが、その国に慣れる早道」
という意味不明な理由をつけて日本人は通いまくる。

日本人はよいカモで売春婦は金銭目的で近づくのに
「日本人とは違い、情がある」「素人っぽい」と
都合のよいように考えまくるのだ。

この売春だが、接待という名で顧客や出張者へ
行われている。

知らぬと思ったら・・・・・
このような接待をすると、帰宅はゆうに12時を越える。
1時2時になることもしばしば。
ラブホテルという名ではないが、行為の後にホテルで
寝てしまい、朝帰りする者も少なくない。

「仕事だから」の一言で妻が納得すると思うようだが、
それは大きな間違い。

妻たちは気がついているのだ。
香水の匂いはもちろんのこと、数々の小さな変化に。

海外の日本人の妻のコミュニティは恐ろしく狭い。
中にはそれに属さない人もいるが、
子供がいる人は学校のつながりで妻同士も密になる。

「どこどこの会社の駐在員たちは、どこそこの女を買っている」
「どこどこの会社の誰々が、C型肝炎でひっかかった」
「どこどこの~が、性病にかかり、妊娠中の奥さんにうつした」
「どこどこの~が、現地採用の日本人女性と交際している」
などなど。

商売人はどこにでもいるもので、日本人妻相手の探偵もいる。
今すぐに離婚することは考えないが、
子供が巣立ち、夫の体調が悪くなった頃、姑舅の介護が必要に
なった頃、浮気や不倫された証拠を突きつけ、有利に離婚する、
そんなことを考えている妻もいる。

妻が何も知らないと思ったら、大間違い。痛い目にあうのだ。

三拍子そろった日本人駐在員
独身の頃、日本人駐在員と一緒に飲む機会が何度かあった。
友人の一人が、日本人駐在員と不倫関係にあったからである。

不倫、と思っているのは友人の方だげで、男の方は軽い挨拶
程度に思っていたに違いない。

クラブに連れていってもらったことがあるが、
その時、ホステスとぶっちゃけ話をしたところ、
「日本人駐在員は、金あり、優しく、そして臆病だからいい」
と言っていた。

海外に住み、日本では味わえぬほど良い対応をされ暮らしをしている
彼らは、気が大きくなり、金払いがとても良くなる。

優しいから、ちょっと押せば断らず自分を買ってくれる。
プレゼントやお小遣いも、どんどんくれる。

臆病だから、本気になったふりをすれば、手切れ金のつもりの
さよなら金もドンとくれる。

「それに、日本人は早いし小さい。ベッドで凄く楽」
そう彼女たちは大笑いしていた。

所詮、そんな扱いなのである。

しかし、彼らは「情が厚い」「自分を愛してくれている」と
勘違いしまくるのだ。

そして全て失う
冒頭の友人だが、彼女の夫もお気に入りのホステスという
名の売春婦に熱を上げたそうだ。

彼女は異国の地で子育てに奮闘し、頑張ってきた。
夏や正月休みには、家族で旅行に行きたかったが、
姑舅がうるさいので、日本に長期一時帰国をしていた。

夫は数日一緒に帰国し、後は現地に戻り、
恐らく売春婦と同棲まがいなことまでしていたそうだ。

このことは子供たちも知ることになり、子供が毛嫌いを始め
彼女はもうだめだと腹をくくったらしい。

来春には本帰国になるが、すぐに離婚し、たっぷり慰謝料と
養育費をしぼり取ると彼女は言っていた。

夫は反省しているそうだが、仕方ないこと。
あまりにも大きな代償だが、それを招いたのは彼なのだから。


▼写真は、屏東県の墾丁の夜店の様子です。

















コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住 from 台湾

連載コラム299from北海道●橋本さんの大阪都構想

大阪ダブル選挙は、実にあっぱれな戦いだった。
大阪人でなくても、この選挙だけはどうにも気になると、我が夫も
漏らしていたくらいだったし、この度の選挙結果を全国の多くの人
達が気に掛けたのではないだろうか。
茶髪で色眼鏡の風貌でお馴染みの橋本弁護士をお茶の間のテレビで
見掛けるようになって、あっという間に大阪府知事に就任し、今度
は大阪市市長である。
橋本劇場とまで言いたくなるその演説をテレビを通して見ただけで
も、どこか引きつけられるものがあった。
まるで、小泉純一郎さんをほうふつさせる。
大阪ダブル選挙の争点は、「大阪都構想」だったが、これをきっか
けに、大阪の景気を回復したい、閉塞感から抜け出したいという市
民、府民の気持ちの表れだったのだろう。
府知事時代にも、大阪の二重行政について、橋本さんの話をメディ
アを通して聞いたことがあったが、元大阪市長の平松さんも度々テ
レビ出演し、これまでもふたりがクローズアップされることはそれ
なりに多かったようにも感じる。
平松さんの印象は、その当時と今も変わっていない。
とにかく、いい人というイメージだ。
本当なら、選挙で白黒なんかつけないで、話し合いで解決できれば
良かったのだろうが、それがどうにも難しかった。
水道局のこと一つ取ったって、府と大阪市の機関が並んで隣接して
いる問題ですら、綱引き状態だったのだから。
ただ、橋本さんと平松さんの対立に、大阪が抱える問題は、全国に
も普通にあって、特別なことではないのだと思った。
北海道にも、二重行政が存在している。
例をあげれば、北海道開発局。
2008年の5月と6月に発覚した北海道開発局をめぐる談
合事件は、当時開発局の幹部や局長と逮捕者が相次いで、新聞にも
デカデカと掲載された事件だったが、その後、地方分権改革推進委
員だった東京都副知事の猪瀬さんが、北海道開発局廃止のための案
を提案し、それが実現までにはいたらず、昨年の7月になって
から国土大臣だった前原さんが再度廃止に着手しようとした。
そもそも北海道開発局とは、国土交通省の出先機関である。
北海道内の国担当の公共事業を管轄している機関だが、これが国土
交通省の中では、北海道局と北海道開発局にわかれている。
しかも、ここの官僚機構は、非常に閉鎖的。
事業のすべてが北海道だから、業者とのつきあいも長く、顔見知り
なのだ。
だから、北海道開発局のOBがこれらの業者に天下ることで、
談合が繰り返されてきた。
北海道は、公共事業への依存度が深いという。
「北海道特例」と呼ばれる優遇制度があるからだ。
これは、事業の地元負担率が他府県より低めに設定されているから
で、つまり、北海道では、公共事業の際、他とくらべて国が多く負
担してくれているのだ。
北海道は、歴史や国土も特別だから、道民のよりよい暮らしのため
に特例が設けられているのだが、その特例に便乗して、巧妙な多重
行政が増えてしまっているのも実体なのだ。
しかも、国土交通省は、全国に8つの地方整備局、出先機関が
あるが、北海道だけは北海道開発局としてここだけで11カ所。
職員の数も、全国と比較してケタ外れに多い。
そして、これとは別に、北海道庁管轄の土木現業所なる事業機関が
同じような支庁に存在している。
ちなみに、道路や空港の整備や維持管理を中心に事業を行っている
のが北海道開発局で、現在は、名称もあらためて「開発建設部(開
建)」となっているが、北海道庁管轄の土木現業所の事業内容も北
海道開発局とほぼ同じ内容だ。

二重行政をなくすことは、容易なことではない。
二重行政と真っ向から戦う強い力が必要なだけに、なまはんかには
取り組めない難しさがある。
だから、大阪維新の会が掲げた大阪都構想も、法改正の問題も含め
て、すべてが問題の山住なのだ。
橋本さん達が、本当に大変なのはこれからなのだろう。
実現するかどうかだって、今の段階ではわからない。
でも、橋本さんの発信力の素晴らしさに、非常にワクワクさせられた。
大阪から、全国へ。
そんなふうに、願います。


コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住