2011年7月16日土曜日

連載コラム290 from北海道●この国はどこへゆくのか

この国は、どこへ行こうとしているのか。
東日本の大震災から、4ヶ月という月日が経った。
いまだ、被災地の復興は進んでおらず、多くの潮に浸かったがれき
がそのままの姿で積み上げられている。
避難所での暮らしは、今や暑さとの闘いだ。
女川、石巻では、腐敗した水産物が強烈な異臭を放っている。
ウジがわき、ハエの量は、よもや尋常ではない。
腐った魚を総出で処理していた作業にあたっていた方が、あまりの
悪臭に倒れた話もある。
報道から伝わる被災地の映像からは、その強烈な臭いまでは伝わり
にくい。
復興がままならないまま、そこに留まり、じっと堪え忍んでいる
人々を思うと、本当にたまらない気持ちだ。
震災後、かろうじて助かった命も、ここにきて、亡くなってしまう
人があまりに多い。
その中には、将来を悲観して、自ら命を絶ってしまう、そんな人も
少なくはないのだ。
ようやく動き出した国会や、政府の動きをみていても、どうしても
希望を見いだせない。
ただただ荒波のように怒りが押し寄せてくるばかりだ。
私は、管直人という政治家が、昨年の総裁選で勝利した時から、良
い印象は抱いていない。
小沢派の樽床氏との一騎打ちで、総理大臣の座についた管さんの喜
びようは子供のようだった。
それほどまでに、総理大臣になりかった、その心情がよく伝わって
くる印象深い場面だった。
仕事に野心を抱くことは、決して悪いことではない。
だから、そのことだけをとらえて、指摘など出来ない。
けれども、総理になってからの仕事ぶりは、目を疑うものが多い。
初心表明の演説で掲げた突然の消費税アップや尖閣問題の処理や
APECでのようす。
菅さんの言動に不安が拭えないままこの国は歩み続けて、大きな震
災に見舞われた。
人間の能力は、それぞれに違うものだ。
だから、この国のトップとして、精一杯がんばってくれさえすればいい。
その思いが総理として心にありさえすれば、私たち国民には必ず伝
わるからだ。
そうすれば、私たちはきっと救われる。
小さな希望も見いだせる。
途方もない震災を抱えていても、総理の覚悟と誠意だけで、私たち
はきっと頑張れる。
しかし、今ではその願いすらも遠い。
私には、管さんの言葉がのみこめない。
国会での答弁は、もっと理解できない。
腹に一物を抱える答弁ばかりで、何を言いたいのかも何を話してい
るのかも掴みにくいからだ。
総理延命のために、知恵だけは働かせる菅さんである。
そのためには、閣内の大臣だって後ろから斬りつける。
市民運動家から政治家としてのし上がってきた菅さんは、たった一
人で今の地位を築いたのだろう。
だから、誰も信用していない。
誰も信じない人なのだ。
政治は、総理であっても、ひとりの力だけで成せるものではない。
特に日本の政界の内情は複雑だ。
癒着や利権や派閥が複雑に絡み合う中で、官僚たちのやる気をうま
く引き出していかなくてはいけない。
手腕が問われる大変な役所である。
だからこそ、この場におよんで震災を人質に取るなど、政治家とし
てあるまじき行為である。
いまや世論は、反原発に傾いているけれど、自然再生エネルギー法
案を通すことより、まずこの国のトップとしてやらなければならな
いことがあるはずだ。
被災地では苦しい夏を迎えている。
配られるはずの義援金も滞っている。
復興もままならない。
手を差し延べる民間企業やボランティアの映像ばかりが伝わるたび
に、国はなにをしているのかと怒りが込み上げる。
ただただ延命したいだけの総理に、この国は翻弄されている。
菅さん、あなたは自分の罪の重さを理解しているのでしょうか?
総理のイスはそのままに、直ぐさま更迭したい。
私は、そんな思いです。




コラムニスト●プロフィール
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赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

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