2011年7月1日金曜日

連載コラム171 from 台湾

緊張が続いている福島第一原子力発電所。

日本のメディアは控えめに報道するだけだが、
今も、連日のようにとんでもない事実が、
明かされている。

6月末には3号機のプール水がアルカリ性になり
ラックの腐食が進みだし、最悪の場合は再臨界する
と報じられた。

1号機もアルカリで、2号機は水がほとんどないそうだ。

ゾッとするような重大なニュースをシレっと報道する、
日本のメディアの酷さ、
そして日本人の無関心さに驚きが隠せない。

事実を分かりやすく
今、日本のメディアは福島の原発事故に関して
難しい言葉を使った、分かりにくい報道しかしない。

東日本大地震発生直後に「ありえない」と言いながらも
起こった最悪な事態も、2ヶ月後にやっと明かし、
「最悪だったけど、今は大丈夫」と伝える。

今は大丈夫というが、日本の各地が汚染されている。
わざわざ上げた基準を上回る汚染ぶりなのだ。

一方で、風評被害がどれほど罪なことなのか
メディアは強く、大々的に報じる。

まるで原発周辺地区産のものを購入しなければ
人間失格の罪人のように。

それなのに、基準値を上回る農作物が出回ったりする。

メディアは事実を分かりやすく伝えるのが
役割なのではないのか。

権力に左右されないメディアは日本にはいないのだろうか。

バッシング
インターネットが普及している日本では
さまざまなフォーラムがネット上にあり、
今回の放射能に関する意見も活発に交換されている。

主婦が多く集まる某フォーラムで、
先日、こんなやり取りを見つけた。

放射能が怖い、子供を守るために海外移住も考えている
という書き込みをした主婦に対するバッシングだ。

「神経質しすぎるお母さんで、お子さんが可哀想」
「私は福島に住んでいるが、何か問題でもあるのか」
「身内がガンで放射能治療を受けたことがある。
放射能は身体に悪いだけじゃない」
「ガンなんて確率の問題。なるときにはなる」

このような書き込みがズラッと並んでいた。

バッシングを受けた主婦は
「実は子供をガンで一人亡くしている。
闘病は本当に凄まじいものだった。
残っている子には、二度とそんな思いをさせたくない」
「だから、ガンの確立を少しでも上げさせたくないのだ」
と付け加えていた。

この主婦が、なんでここまでバッシングされるのか。

何でも同じようにしなければならない、
運命共同体意識の高い日本人の体質の恐ろしさを見たようで
鳥肌がたってしまった。

事実は報道よりも何倍も悪い
6月27日。
福島県が全県民二百万人に実施する健康管理調査が
スタートした。

低線量被ばくが人体に与える影響に関しては、
医学的に十分解明されていないため、それを調べるのである。

今、メディアや政府が言っているように、問題ないかもしれない。
しかし、今までメディアや政府が言ってきたように、
実際は想定外な酷い影響を受けているのかもしれない。

これまでの流れを見て、
事実は報道よりも何倍も悪いと、日本国民は思うべきである。

海外は冷めた目で、そう見ている。
福島どころか、関東、日本全国で作られた食べ物は
誰も手を出さないではない。

目に見える健康被害が出たときは手遅れなのだ。
日本人が目覚めてくれるのを、祈らずにいられない。


▼写真は、幻想的な台北陽明山の山道です。




















コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住 from 台湾

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