2011年6月1日水曜日

連載コラム169 from 台湾

東日本大震災発生から2ヵ月半が過ぎた。

この度の震災で、世界中から多くの義援金が集まり
支援も受けている。
しかし、はっきり言ってハイチ大地震と比べ
アメリカのメディアは被災者の大変さを伝えていない。

チャリティー活動もハイチ大地震ほど
活発に行われているわけではない。

カンヌ祭で東日本大震災被災者救援チャリティー
ファッションショーが行われたが、
最近の大きな活動といったら、これくらいである。

あまり活発にチャリティーが行われない理由は、
日本が先進国だということも大きいだろう。

しかし、日本にうんざりしているのが
真の理由なのではないだろうか。

地震・津波より原発
今、世界のメディアは地震・津波の恐ろしさより
原発問題と真実を隠そうとする東電・日本政府の
恐ろしさを問題にし、大きく伝えている。

原発に頼っている国が多いということもあるが
東電が真実を語らないことを問題視しているのだ。

結局大げさでなかった欧米メディア
CNNの看板リポーター、アンダーソン・クーパーは
震災発生直後、リディア行きを取り消し宮城入きを決行。
被災地から被災者の視点に立った素晴らしい報道を
世界に向けて発信した。

しかし、彼はすぐさま東京へと向うことになる。
福島第一原発が爆破し、放射能が漏れていることを
懸念したからである。

その時から世界中が原発は深刻な状況に陥っている
メルトダウンしている可能性が高いと報じるようになり、
アメリカは半径80キロ以外へ批難するよう指示。

欧米の国も東京を出るよう指示したり
色々な勧告をだしていた。

そんな彼らを日本政府・メディアは「おおげさ」だと
こけおろした。

日本政府は「ただちには人体に影響ないレベル」
「メルトダウンは最悪の事態。
そこまでいってないと予測されている」と連呼した。

日本のメディアは「いたずらに脅かすのはよくない」
と、「たいしたことないから、大丈夫」だと伝えた。
「放射能は少し浴びたくらいなら、逆に健康になる」と
言った、とんでもない学者までいた。

ところが、今になって東電は
「メルトダウンしていた」
「地震発生後まもなく空焚きになってた」など
最悪な事態であったと公表。

欧米は大げさでも何でもなかったのである。

異常な状態の日本
メルトダウンどころかメルトスルー状態だという
福島第一原発。

自衛隊ヘリを飛ばせた派手な水かけパフォーマンスや
消防署による放水、戦車も出すと言うなど
見ごたえあることばかり行ってきた日本政府だが、
もう長い間、1時間に何トンも原発に向って放水しているが
さっぱり水がたまらないという事実。

見た目では変化がないため、
視聴率が稼げないと見切りをつけたテレビは、
報道を控えめにするようになり、周辺住民や被災者以外は
普通の暮らしが戻っている。

しかし、海外メディアはこの日本の今を
「異常な状態」だと分析。

日本は、放射線の怖さ、東電の隠蔽体質の酷さ、
日本政府の情けなさを批難報道しないどころか、
「放射線より怖いのは風評被害」
と、放射線を浴びた食べ物を食べようと推進していると。

売る側からしたら「日本政府が大丈夫と言っている。
えらい学者が大丈夫と言ったから、政府もOKを出している」
という気持ちなのだろう。

売らなければ生活が成り立たないどころか、
赤字になる人も多いのが事実。

しかし海外では「それはあまりにも異常。日本は狂っている」
と言われているのだ。

「日本人は皆がそうだから、と言うが、
皆が内部被爆し、皆が死ねばいい、ということなのか」
というのだ。

この異常な状態をとめられるのはやはり政府しかないだろう。
しかし、菅内閣にその力はない。

放射能汚染を食い止めるためにも、少しでも疑いのある
食物は売らず、政府か東電がまとめて買い取り破棄すべきである。

そうでないと汚染は日本中に広まり、
日本は世界から孤立してしまうだろう。



▼写真は、台湾のごく一般的な果物屋に並ぶフルーツです。パパイヤ、グアバなどが旬です。

















コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住 from 台湾

0 件のコメント:

コメントを投稿