2011年5月15日日曜日

連載コラム168 from 台湾

世界中を驚愕させた東日本大震災から
2ヶ月が過ぎた。

津波で崩壊された町や村を立て直そうと奮闘する人、
仮設住宅に入り、新たな仕事を見つけ働き出したり
学校に通いだしたり、新天地に向ったりする人。

悲しみと苦しみから、立ち上がる人が多いと
報じられている。

しかhし、相変わらずライフラインが戻らない地区があり、
一日一食しか食べられないという人も存在するのだという。

近年、何かと格差が広がっていると言われてきた日本だが
格差は被災者にもあるのだ。

そして、それを政府は見て見ぬふりをし、
投げ出し、別のもっと派手な事ばかりに目を向けている。

美談だらけのマスコミ
日本のマスコミ、特にテレビに言えることだが、
今回の大震災に関する美談が多すぎて、
これでよいのか?と疑問に思ってしまう。

小学校などで避難生活を送る人たちを報じたときも
ムードメーカー的な人にスポットを当てたりするが、
本当に一番大変で一番頑張っている人は、
仮設トイレの糞尿を始末するなど掃除や衛生管理を
している人ではないか。

東北はお年寄りが多く住んでいるが、
介護は半端なく大変なこと。
認知症の人も多いというのに、そういう人たちの姿は見えない。

子供たちはストレスで荒れているだろうということも、
容易に想像できるが、そういう姿も一切見えてこない。

海の男たちは気性が荒いことで知られるが
彼らが執拗なマスコミに怒りをぶつける姿も見えない。

みな、疲れた顔でも穏やかでいるのだ。

こんな姿ばかり見ていたら「意外と大丈夫そう」と
思えてしまう。

お涙頂戴の美談も、家族の目線で見ると
本当にここまで報じてよいのかと心配になってしまう。

信用度ゼロの日本
日本は、第二次世界大戦から立ち直り、
豊かになった。

小さな国なのに世界中で使われるようなものを作り
世界中が憧れる一流ブランドも日本で生まれた。

しかし、今。
やはり日本、日本人は「何を考えているのか分からない」と
見られている。

これまで日本は信用できる国、民族だと
世界から思われてきたのに、それが崩れ落ちてしまったのだ。

本音を言わない、本当のことを明かさない。
イエスでもノーでもない、あいまいな単語ばかり連発し
逃げてばかりいる。

文部科学省は今月6日に、米エネルギー省と共同で行った
航空機による放射線モニタリング調査の結果を発表し、
チェルノブイリ並みの汚染を確認していたことを明かしたが、
この報道も「やっと発表したのか」「何を今更」と
冷ややかな目で見られているのだ。

首相も無能だが、これでよいのか
菅総理はリーダーシップのなさが浮き彫りになり
信頼性のなさなど、全てが情けなく感じるほど
酷い有様であるが、そんな彼を選んだのは
誰でもない日本国民である。

菅総理を選んだ覚えはないと言う人も多いだろうが
民主党を選んだのは日本国民なのだ。

選挙にも行かず、文句ばかり言う人が多い日本だが、
それも異様である。

世界はこれほどまでに嘘つきな政府を作ったのは日本人、
世界中に迷惑をかけまくっているのは日本人だと
思っている。

ころころ総理が内閣が変わっていることでも
冷たい視線で見られていたのに、
本当に情けない。

震災のこと、原発の問題、
政府の決断力が問われる大事な時期であるのに、
野党ならず与党も菅総理に対して言いたい放題で
サポートする人があまりいない。

このままでは日本の格差はどんどん広がり
日本はどんどん汚染させ、汚染された食品などが
日本中にばら撒かれ、日本は終わってしまう。

不満を抱えながらも、今総理である菅総理を
支えられなのであれば
いますぐ適任者に総理を置くムーブメントを
起こすべきである。
それが出来ないのなら、菅総理を支えるしかない。

全てのツケは今、日本国民に降り注いでいるのだ。


▼写真は、台北市内から車で1時間ほどで行ける山間の川沿いの温泉街ウーライです。
















コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住 from 台湾

連載コラム286 from北海道●ビンラディン殺害に思うこと

オバマ米大統領が、国民向けの緊急テレビ演説を行い、ウサマ・ビ
ンラディン容疑者をパキスタンで殺害したと発表した。
このニュースは、世界を駆けめぐり、日本でも報道の扱いは大きかった。
ビンラディンが潜伏していたといわれる地区は、パキスタンの首都
イスラマバードから北へ60キロのアボッダバード、いわゆる富裕
層が集まる地区だという。
ビンラディンは、この地区にある建物に潜伏していたという話である。
2001年9月の米同時多発テロの首謀者として指名手配されてい
た国際テロ組織アルカイダの最高指導者であるビンラディンを殺害
したことに、歓喜わくアメリカ国民の姿に、私個人としては、なに
か複雑な感情をいだいてしまったのも事実である。

米特殊部隊が殺害した国際テロ組織アルカイダの最高指導者ビンラ
ディン容疑者は、射殺された時、武装していなかった。
つまり丸腰だったのだ。
その丸腰の相手を捕らえることをせずに、射殺したのは、計画の段
階で、最初から殺すことを目的としていたからである。
では、なぜ殺す必要があったのだろうか?
遺体を海に流したと発表された今では、これが本当にウサマ・ビン
ラディンだったかどうかも確認することはできない。
だいいち彼は射殺された時に、頭を打ち抜かれている。
遺体を晒したとしても、私たちには顔の判別などできない。
イラクで、身柄を捕獲されたサダム・フセインの時とは、まるで違う。
殺したという出来事だけ公表されたことに、どうしても違和感を感
じてしまうのは、真実は別なところにあるのではないかという気持
ちになるからだ。

9・11の被害者の遺族の中には、「容疑者が死んだからといっ
て、息子が帰ってくるわけではない。特別な感情はわかない」とい
う意見もあるし、「殺すよりも、逮捕して、なぜ事件を起こしたの
か、明らかにしてほしかった」という意見もあるが、「ほっとし
た」という遺族の意見もある。

これまでも、ビンラディンはすでに死亡したという話も何度も浮上
しているが、彼は、重い腎臓病をわずらっていて、透析治療を受け
ていたことについても、その真実については、判然としない。
そもそも、本当に米同時多発テロの首謀者は、ビンラディンだった
のだろうか?
10年前の9・11テロ実行犯を、アルカイダの最高主導者である
ビンラディンと名指ししたのは、ブッシュ前米大統領だったが、ビ
ンラディンは、当時この事件への関与は否定している。
その後、3年後の2004年になってから、ビンラディン本人によ
るビデオテープにより、アルカイダによる犯行声明がおおやけに
なったが、彼の犯行声明といわれるテープには、それまでも、偽物
だったという話もあり、CIAが、本物だと断定しただけで、替
え玉による録音だったともいわれているのだ。
それに、国際テロ組織アルカイダについても、未だ不透明だ。
アルカイダという組織が実際に存在するのかどうかも、議論はわか
れるところだが、ある説によると、アルカイダは、上下階層関係に
整序されたピラミッド型の秩序や、指揮命令系統をもたない組織
で、反米過激思想を持つ者が勝手にグループをつくり、それぞれが
アルカイダを名乗り、自発的にテロ行為を行っているにすぎないという。
そう考えると、国際テロ組織アルカイダの最高指導者とされるビン
ラディンは、組織的な象徴にすぎないわけで、アルカイダには、も
とから中心となる総本部も最高指導者も存在しないということになる。

9・11のテロ実行犯である首謀者のビンラディンを殺したこと
は、オバマ米大統領にとって大きな功績となる。
つまり、オバマ大統領にとっては、このことがきっかけで、国民の
支持率を取り返し、国の指導者としてもやりやすくなるのだろう。
だが、すでにこのことへの報復は始まっている。
パキスタンでは、2件の爆破テロが、発生しているからだ。
イスラム社会で巻き起こった国民による自発的な民主化で、イスラ
ム社会は変わろうしているさなかに、どうしてアメリカは、世界に
自分らの権力を振りかざそうとするのか。
彼らの社会は、彼らの手によって変わらなければ、何も生まれない
し、何も育たない。
ビンラディンを殺害したとされる不透明な出来事は、テロと名乗る
過激派を怒らせ、彼らの自爆テロを引き起こすだけではないのか。

私たち人類は、いつも一筋縄ではいかない。
長い歴史を振り返ると、世の中は確実に良い方向に向かっているの
だと思いたいが、どうしても苦難にぶつかってしまう。

『世界は、不思議な形で動く。
変わらぬものはないが、その変わり方は誰にも読めない。
誰がいつこの流れに巻き込まれるかもわからない。
心して日々を生きよ、ということだろうか。』
これは、曽野綾子さんがレポートエッセイ集でつづった言葉だ。

それでも、この世界に、光を見つけたいものだ。
先にある未来に、きっと光はあると、私は信じたい。


コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

2011年5月1日日曜日

連載コラム285 from北海道●日本の再生を信じて 2

第二次世界大戦末期、日本のヒロシマやナガサキは、原爆の投下を
受けた。
原子爆弾の威力はすさまじく、一瞬のうちに、すべてを奪い去った
出来事は、今日の私たちにとっても悪夢のような出来事で、その哀
しみは深い。
戦争だったとはいえ、それまで存在していた街のすべてが、瓦礫と
なり、焼け野原となった。
一瞬にして変わり果てた景色と同じように、一瞬にして奪われた命
も多かった。
悲鳴すらあげる間もなく、何事かわからずに、死んでしまった者たち。
まだ命の灯火は消え失せなくとも、すでにその肉体はしたたり、腐
敗している者たち。
黒い染みとなって、地面に痕跡と思える影だけを残して去った人々。
あのおぞましい出来事は、ほんの少し前までそこに存在していた
人々の命を吹き飛ばすようにむしり取り、死の街へと追いやった。
これは、私たち日本人にとって、けっして消し去ることの出来ない
おぞましい記憶である。
しかし、そうした恐ろしい状況に巻き込まれながらも、かろうじて
助かった人々もいた。
ヒロシマやナガサキが、今日築き上げた美しい街並みには、そうし
た深い悲しみと人々の思いが込められている。
あの原爆で、生き残った人々は必死にその後を生き抜き、街を再建
したのだ。
情報がなかった時代である。
被曝そのものの知識もないに等しかった。
アメリカは、戦争を終わらせるための手段だったと言っているが、
原爆投下は、ある種、手にした原子力兵器の実験でもあった。
それでも。
あの惨劇の中から、命はきちんと受け継がれてきた。
原爆を投下された街が、見事な復興をとげ、人々にも暮らしが戻っ
ていったことは、本当はとてつもなく凄いことなのだ。
そしてこの凄さこそ、日本人の底力であり、強さなのだと思う。

日本は、原爆を投下された世界でも唯一の被曝国である。
だけれども、その唯一の被曝国である日本は、いつの頃からか、
「平和のための原子力」の声に自分らも賛同し、原子力政策をこの
国で推し進めてきた。
原子力は安全であるをうたい文句に。
その言葉を私たち国民のすべてが鵜呑みにしていたわけではないと
思うが、しかし、日本の豊かな電力供給を前に、私たちは原発のあ
り方も、安全についても、考えることを後回しにしてきたのではな
いだろうか。
原発の問題は、原子力発電所を抱える街だけの問題ではない。
福島のように、遠く離れた都会に電力供給をしている発電所も多い
ことを考えても、これはこの国の人々、みんなの問題である。
だが、原発を抱えない自治体や県からみれば、それはどこか自分た
ちとは遠い事だったのではないだろうか。
私を含め、今回のような原発事故が起こらなければ、日本の原発の
あり方を考えることもしない人達が、この国にはふつうに多かった
のではなかろうか。

東電がこの度ひきおこした福島原発事故は、もちろん東電の甘い体
質によるものだ。
2004年に発生した新潟県中越地震による東電柏崎刈羽原発の被
災後、東電側は、じゅうぶんに原発の安全を検証し、安全策を引き
上げる義務があったからだ。
それを今日まで怠ってきたために、この度の地震と津波によって、
福島原発は、取り返しのつかない事態を招いた。
東電に、どんな事情があったにせよ、その点から言えば、これはあ
きらかな人災だ。
自然災害の多い日本で、原子力発電所を稼働させる安全策に甘えが
あることは、許されることではない。
福島原発は、今回の事故の前にも、何度も稼働中に危うかった出来
事があったという話がある。
そのことを思うと、やはり今回の事故責任は非情に重かろう。

原発は、なぜ安全と国民にすりこまれてきたのか。
普通に素人のアタマで考えても、安全であることに疑問を感じる
が、そこには、絶対に安全でなければならない、国策として推進す
る以上、安全と言い切らなければならない専門家たちの愚かなこだ
わりがあったように思う。
安全であると宣言してきた物について、いまさら安全対策を引き上
げるなんて、原発は安全ではないと言ってるようなものだと、耳を
かさない姿勢を固持してきたのだと思う。
東電だけに限らず、国策として今日まで走ってきた原子力政策の裏
側に秘めた政治がらみの癒着や天下りともいえる組織的な腐敗もある。
原発の安全を自信を持って推し進めてきた以上、それが現実的には
自転車操業的な部分が大いにあったとしても、今更、引き返すこと
など出来ない事情についても、彼らは多くを国民に語らず、また国
民のほとんどもみずからそのことを知ろうとせずに、無頓着だった。
この度の原発事故によって、巻き起こされる風評被害に、世界はと
もかく、私たち国民まで振り回され、疑心暗鬼にかかり、すでに風
評被害によって人々に差別意識が生まれていることには、許せない
気持ちになる。
放射能物質の汚染という言葉が勝手に一人歩きし、これがまるで伝
染病のような解釈までもたれている。
なぜ、被災地から避難した人々が、このような差別を受けなければ
ならないのか。
彼らは、すでに震災で十分すぎるほど、傷ついているのに。
避難地の学校へ通い出した子供が、「福島から来た」と言ったら、
まわりの子ども達が逃げていったという話があったが、もう愕然とする。
これでは、ヒロシマやナガサキの原爆で、差別を受けてきた人々と
なんら変わりはない。
放射能がこわい、被曝がこわい、癌になる。
まったく、いい加減にしろと言いたい。
放射能をあびれば、そくざに癌になるのですか?
ならないでしょう?
もう少し落ち着いてほしい。
政府の発表にも、落ち度はあるのです。
非情に、理解しにくい。
不安をあおるような言い方は謹んでほしい。

今回、福島原発から20キロ圏内の住民に対して、強制退去という
勧告と、それに違反した者への罰金を政府が言い渡しましたが、な
ぜこのような罰則規定を設けなければならないのか、非情に理解に
苦しみます。
これまで、避難所で過ごしてきた人々はともかく、避難所へすら、
避難できない体の弱いお年寄りも多いのです。
酪農を営んでいた方々もそうです。
国は、福島をどうするつもりなのでしょうか?
原発事故は、いっこくも早い収束が望まれますが、それだからと
いって、全ての住民にこんな規制を言い渡すのは、あまりにも情がない。

こんな意見があります。
お年寄りには、ムリな退去は取りやめにするべきだと。
退去させて、ストレスを与えるほうが、よっぽど彼らの命を縮めて
しまう結果になると。
原発事故が収束に向かわない以上、放射能物質の汚染を受けるかも
しれないが、例えそうだとしても、癌が発生する確率はどれくらい
でしょうか?
そして、それは何年後のことなのでしょうか?
20年、いや30年後でしょうか?
放射能物質の汚染の除去についても、畑では今まで通り作物を作り
続けてもらい、それを国が買い上げ、畑の土を循環させて汚染を取
り除いていく方が、データーも取れるし、復興には近道なのでは?
これは、ある方の意見ですが、私も同じ気持ちです。

最近、中国は、トリウム溶融塩原子炉の研究開発を行うと公式に発
表しました。
現在、日本を含めて世界の原子力エネルギーのシステムは、ウラン
235を燃料としていますが、ウランを燃料とする原子力政策に
は、アメリカが推し進めてきた原発からでる核廃棄物の軍事転用と
いう思惑もあります。
それこそが、プルトニウム239です。
福島原発で水素爆発した三号機は、このプルトニウムを再利用した
発電所でした。
しかし、トリウムには、核廃棄物すら出ないし、非情に安全だと言
われています。
日本でも、原子力の専門家たちの中には、この考えを推し進めよう
とした人達がいたのだと思いますが、なんだかの政治的な理由で、
彼らの考えは潰されてきたのではないでしょうか?

生活スタイルを見直し、節電を心がけ、緩やかな暮らしへの舵取り
は、それはそれでいいと思うのです。
そのような声が多く沸き上がっていることに、私自身異論はありま
せんが、個々の暮らしはそれでよくても、企業にもそのスタイルを
押し付けることに、私はムリがあるのではと思ってしまいます。
被災地の復興に掛かるお金も含め、これからの日本は奮起して働か
なければなりません。
そのためには、電力はやはり必要なのです。
この国の明るい未来のために、その場に流されず、物事の本質を見
通す力が私たちには必要です。
福島の、そして被災された全ての東北に、人々の暮らしが戻るためにも。

被災地で咲く桜の花の映像が心に染みました。
痛々しい情景の中で咲き誇る桜の花に、日本に桜があって良かった
という気持ちです。
桜の花は、日本人の魂のようですね。


コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

連載コラム167 from 台湾

未曾有の大被害をもたらした東日本大震災から
早くも1ヶ月半が過ぎた。

被災地は復興に向けて少しずつ動き出しているが
逆に震災以降、どんどん酷い状況に追い込まれている
そんな人たちもいる。
福島第一原発の事故により
強制的に避難するよう強いられたり、
生計をたてていた農業、酪農、漁業を止めるよう
指示された人たちである。

出荷を止められた酪農家は、
乳牛を生かすために餌を与え、毎日乳をしぼって
捨てているという。

お金は飛ぶ一方で、労力も半端ないのに
原乳を売ることができないため収入は入ってこない。

そんな人たちが、26日に東京電力へのデモを行った。
東電の本社に入り、直接訴えたが
満足のいく対応や保障に関する答えは
得られなかったそうだ。

うやむや、あいまい
日本政府は福島第一原発事故により
大気や海に流れ出ている放射能に関して
「ただちに健康に被害をおよぼすものではない」と
一貫して発言してきた。

東京電力、保安院、政府の連結は、
今なおスムーズに取れているようには見えないが、
政府の作戦はあながち間違いではなかったと思う。

なぜなら国民はこの政府の言葉を信じ
今では原発事故にさほど強い関心を示さなくなったからだ。

政治的な指示を受けているからか、
東京電力に恩や借りがあるからか、
日本のメディアも原発についてあまり報じなくなってきた。

海外メディア向けの東電や保安院の発表には、
今や誰も来ない。真実を明かさないと分かっているからだ。
日本のメディアも酷い。加害者だ。

その結果、原発周辺に住んでいない人たちにとっては
何事もなかったかのような日常に戻っている。

風評被害の怖さ
福島第一原発事故により福島県・茨城県の人たちの、
農作物、酪農物、魚などが風評被害を受けている。

これを助けようと積極的に購入する活動も広がっている。

しかし放射能というのは目に見えるものではないし、
食べてすぐに被害が出るものではない。

小さい子供がいるなど、食に気をつけている人たちにとって
東電や政府が出す後出し情報はあまりにも酷いものばかりで
到底、今出ている発表を信じる気にはなれない。

千葉県の水道水にしても、
「数日前に出ていたものは大人の基準値も超えていた」と
発表していたくらいなのだ。

彼らからしてみれば、風評被害を受けているという人たちが
本当に被害者なのか分かったものではない。
売ろうとしているものが危害を与えるものであれば
被害者ではなく加害者になるのである。

風評被害の真の怖さはここにあるのだ。

政府は、「ただちに」「すぐには」という表現は一切やめるべきだ。
そして、もっちきっちりと検査をし、ここからここまではダメで、
ここからここまではグレー、ここからは安全と分けるべきである。

苦しいのは日本だけではない
福島第一原発事故から漏れ続けいてる放射能は
日本だけでなく世界中を漂っている。

韓国では「放射能がきた!」と休校する騒ぎとなった
と伝えられた。
これはあまりにも大げさだと韓国政府がたしなめていたが
同時に日本に対しても強く批難している。

世界で一番日本への義援金を集めた台湾にも
福島第一原発事故の被害は及んでいる。

高雄の漁師たちの魚の売れ行きが悪くなっていると
伝えられているのだ。
理由は、放射能に汚染されていると懸念されているから。

台湾では今なお日本の被災者に対する
募金活動が行われているが、放射能問題には敏感に
なっている。

今月の初めには、台湾にも放射能が来たと言われ、
小さな子供たちは外に出ないほうがいいのではと
噂された。

しかし、台湾は漁師たちを含め日本を批難する声は
あがらない。

台湾も地震国であり、いくつもの原発を持つため、
「自然災害によりもたらされたのだ。わざとではない。
仕方ない」と考えているのだ。

耐えているのは日本人だけではない。
被災者、被害者のためにも日本は全ての情報を公開し
真実を明かすべきである。


▼写真は、台北市内にある大安森林公園です。広々とした公園で101も見えます。
















コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住 from 台湾