2011年3月15日火曜日

連載コラム282 from北海道●負けないで

壊滅的な東北地方の惨いありさまに、言葉を失うばかりです。
私は、ちょうど国会中継を見ていた最中だったのですが、とつぜ
ん、画面に見慣れぬ地震警告が映し出され、それから間をおかず
に、参議院委員会が開かれていた閣議室が揺れていました。
天井から吊り下げられたシャンデリアが、音を立てて揺れる光景に
驚いていたら、わが家も揺れ出したので、とにかくじっと絶えました。
わが家は、アパートの10階ということもあり、地震にはまま敏感です。
横揺れの振動は、ガクンガクンと強い衝撃が伝わりながらも、円を
描くように揺さぶられる状態でした。

東北の惨劇に、まったく言葉を失うばかりです。
9.0という想像を絶する規模の地震に見舞われたあと、津波に襲
われた東北は、家屋や車がみるみる凄い勢いで押し流され、津波が
生き物のように街を飲み込んでいく姿には、本当に恐ろしい気持ち
でした。
炎上する気仙沼は、地獄絵図そのもので、他の街の惨劇も、まるで
空襲を受けたようなありさま。
こういう時は、ハイテクな機械ほど、役に立たなくなるものなのですね。
ライフラインが見事にパンクしてしまうことを、今回はしっかりと
思い知らされた感じがします。
時間が経過するにつれて被害が拡大しています。
津軽海峡を越えて、北海道からわずかな距離に暮らす人々の暮らし
が、根こそぎ奪われてしまったことに身震いさえします。
頭では解っていたはずなのに、身近でこんなことが起こってしまう
と、天変地異に人間はひとたまりもないと思い知らされます。
たくさんの人々が一度に亡くなりました。
家族とかろうじて再会できた人々。
大切な家族や友人、知人を亡くしてしまった人々。
国は、震災に見舞われた人々の命を一人でも多く救うために全力を
尽くすと、宣言しました。
いろいろ問題がある我が国ですが、いまは心を一つにして、私たち
一人ひとりも自分に出来ることを探しましょう。
日本人は、がんらい心の強い民族です。
私たち国民は、これまでも何度も荒波を乗り越えてきました。
復興してきました。
街を再建し、人々は生活を取り戻し、しっかりと強く生きてきたのです。
阪神淡路大震災の時には、人々が団結して復興に取り組む中、略奪
や強奪は一つもなかったそうです。
それは、本当に凄いことなのです。
火事場の泥棒は恥だということを、私たち国民は、感覚的に知っている。
ですから皆さんも、チェーンメールの募金詐欺には決して引っかか
ることなく、被災地への募金は、安全で必ず信用できるところへ募
金をしましょう。

「命が助かっただけで、じゅうぶん」と涙ながらに語った被災者の
言葉に、ぐっとなりました。
このような時に、とても不謹慎な発言なのかもしれませんが、私た
ちの暮らしに、保証や絶対に確かなことなんて、本当は何もないの
でしょう。
国の経済に甘んじて、私たちは今の生活も安全もすべて保証されて
いるような気になっているけれど、本当はそんなものなんてどこに
もない。
そのことを、惨い形ではあるけれど、災害は教えてくれる。
そして、そういう時にこそ、私たちは試されているのでしょう。

福島の原発で、被曝した方々、亡くなられた方たち。
被曝を心配しておられる方々のことを思うと、胸が痛みます。
この先、この被災地が復興した後に、これは日本が抱える一番の問
題になるように感じました。
経済成長より人々の安全を優先するか、選ぶか、国は、きっとその
ことで必ず岐路に立たされるでしょう。
世界もそのことを見守り、注目しています。
この度の東北の震災に、世界も心を痛め、手を差し延べてくれています。
震災に見舞われた皆さん、どうか今は、力を振り絞ってください。
そして、頑張って生き抜いてほしい。
どうか、負けないで。



コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

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