2011年2月15日火曜日

連載コラム280 from北海道●大相撲の八百長疑惑

大相撲の八百長疑惑の報道が過熱して、メールの内容が事細かに露
見してしまうと、これはもう、これまでのように、うやむやにした
まま終わるというわけにはいかなくなってしまったようだ。
今回の八百長問題は、相撲の歴史において最大の汚点などと、記者
会見で日本相撲協会側は謝罪していたが、なんとも白々しい感じがする。
今まで公には認めなくとも、そういうはったりが全くなかったと
は、信じがたいからだ。
けれども、仮にあったとしても、これまでは、協会として認められ
ない、認めたくないという建前の姿勢もそれなりに理解できたか
ら、今回の疑惑騒動も、特別過剰に驚いたわけではない。
そもそも古くから神事として発達した日本の相撲は、娯楽時代劇な
どでも、相撲取りの八百長を題材にしたものもあるくらいだから、
こういうことは、証拠はないけれど、まぁあるんだろう程度の解釈
であるけれど、それでも、今回ばかりは、言い訳などいっさいきかない。
現代において、難しいと感じることは、携帯のメールが動かぬ証拠
となってしまうことだ。
例え消去したメールでも、簡単に復元されてしまうのだから、八百
長疑惑に限らず、なんとも恐い世の中である。
露見したメールの内容に、まったくもって、こちらは同情など出来
ないが、非情にイヤな気持ちになったのも事実だった。
それでも、神事である相撲を日本古来から発達した芸能と受け止め
れば、もう少し温かい目で受け止めることは出来ないものだろうか?
十両と幕下の格差は、相撲界ならではのものである。
格差をつけることで、力士達のハングリー精神を養うはずが、逆に
裏目に出たという意見もあり、天と地ほどの待遇こそが、原因であ
ると言われている。
そうであっても、相撲の世界のことは、相撲にたずさわる人々がみ
んなで話し合って解決するべき問題のように感じた。
物事、不正がない方が望ましいけれど、不正を取り締まることばか
りに目がいき、第三者機関が力士達を監視し、チェックするなど、
私はあまり良い案には思えない。
そんなことを行えば、力士達が本来の相撲にも集中できず、力を発
揮できなくるようなことになってしまうのではないかと思ってしま
うからだ。
確かに、親方株の問題や、部屋の閉塞感、協会の体質、問題は山積
している。
でも、できることならば、自分達のことは自分達の手で改革していく。
そんな相撲界であればと思う。

場所再開の無期限延期で、今や力士達は、細々と慈善活動を行っている。
その姿が、なんとも痛々しい感じがした。
八百長の発覚で、たまたま巡ってきた地元の人々との交流に、ファ
ンは嬉しい限りだけど、やっぱりお相撲さんには、相撲で頑張って
ほしい。
そして、今は相撲界の未来のために、お相撲さんひとりひとりが、
踏ん張り時である。

それにしても、元力士の暴露談をあっちでもこっちでもマスコミは
流している。
もう、うんざりだ。
大麻所持で以前解雇されたロシア人元力士の若ノ鵬なんて、マスコ
ミにベラベラと相撲界の八百長についてしゃべっていたが、これに
は相当頭にきた。
今更なんだという気持ちである。
こんなのは力士の風上にも置けない。
だいたいかわいがりが恐くて、自分だって八百長に手を染めた癖
に、自分がそうなったのは、まわりのせいだといわんばかりだ。
相撲界に八百長があったとしても、そんなことには手を染めない力
士達も多いのだ。
実際、相撲界で、八百長でのし上がった力士が、いつまでも同じ不
正を働いて、勝ち進むなんて考えにくい話じゃないか。
気迫のある取り組みからは、そんなことすら微塵も感じさせない勝
負だってあるのだ。
だからこそ、相撲の取り組みに、圧倒されることも多い。
朝青龍や琴光喜が引退してしまってから、私の相撲熱は、いくぶん
か冷めてしまったけれど、それでも、今では白鵬の成長ぶりに目を
細め、大相撲の場所中継は、私にとっても楽しみの一つだ。
いちファンとして、この問題がおさまるところにおさまり、一日も
早く本場所の再開がはじまることを待つのみである。



コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

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