2010年12月1日水曜日

連載コラム157 from 台湾

11月23日、北朝鮮が韓国の延坪島を砲撃した。

全世界にニュースを発信している
CNNやBBCは速報で砲撃ニュースを報道。
日本を始めとするアジア各国も大きく伝えた。

むろん台湾でも砲撃のニュースは大きく取り上げられ
特集を組み報じている。

しかし、実は今台湾では反韓が高まっており
淡々と事実のみ報道する機関が多いのが現状である。

台湾で巻き起こる反韓の理由
中国の広州で開催されているアジア大会。
台湾はさほどスポーツに力を入れている国ではないが
とても人気がある種目がある。

バトミントンや卓球、野球などがそうなのだが
中でもテコンドーは国をあげて応援される種目。

台湾選手は世界タイトルも取っており
国民的アスリートと呼ばれる選手も多いのである。

今回のアジア大会でも、当然テコンドーは金メダルを
期待されていた。

しかし、美人で礼儀正しく絶大的な人気を誇る
女子49キロの楊淑君選手が、1回戦目で
まさかの「失格」。

審判団は「失格の理由はいえない」と述べたが、
失格の理由は「センサー」だとされている。

「センサー」は正確な判定を行うため必要なもので
各選手靴下などに入れているのだが、
楊選手にはつま先とかかとの2箇所に入れており
これが、どうやら「失格」と判断されたようなのだ。

テコンドーには韓国人の審判員が多く、
「金メダル欲しさに楊選手を失格にした」と
台湾人が激怒したのだ。

許せないことは許せない
台湾人の気質は日本人に似ており
穏やかであいまいなことをよしとする傾向がある。

しかし、今回の失格事件だけはどうしても許せなかったようだ。

実は問題の試合の審判員には中国本土の人間がいた。

10月の東京国際映画祭開幕イベントで
中国代表団が台湾代表団に対して
「台湾」から「中国台湾」と名称を変えろと言い出し
「あなたたちは中国人だろう!」「我々は台湾人だ!」と
大いにもめる姿がニュースで繰り返し流れていたばかり。

中国も韓国もずるい、勝つために最低のマナー違反をすると
大激怒したのである。

台湾では韓国の旗が燃やされるだけでなく
人気韓国人歌手の来台もキャンセルするなど
反韓感情は今ピークに達しているのである。

これには韓国人がびっくりしており、
どうにかしなければという動きが出ているほどでなのだ。

存在感が下がり続ける日本
そんな中起こった北朝鮮による韓国への砲撃。
台湾では淡々と報道している局が多いが、
それでも「反韓」と今回の事件はしっかり別けている。

台湾は、11月27日に5大市長選が行われたため、
ダントツ的に選挙関連のニュースが多かったのだが、
砲撃の件は各国首相、大統領の対応なども
特集で報道。

日本は最後の方にチラッとだけ紹介されており
ここまで存在感が下がってしまったのかと
がっかりしてしまった。
今後、北朝鮮と韓国だけでなく、アジアで起こる紛争で
日本がどこまで発言権を持つことが出来るのか。
お金ばかり出しているという印象をもたれている日本は
これからどうなっていくのだろうか。不安になってくる。


▼写真は、選挙活動中の台北市長の様子です。

















コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

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