2010年10月1日金曜日

連載コラム153 from 台湾

9月7日に沖縄・尖閣諸島沖で起きた
中国漁船衝突事件。

この事件は、中国漁船が尖閣諸島付近で
操業していたところをパトロール中の日本の
海上保安庁の巡視船に発見され、
停船勧告を無視し逃走。

逃走のさい、巡視船2隻に衝突を繰り返し
破損させたとして公務執行妨害で逮捕
したものである。

これまでにも中国だけでなく台湾の魚船が
尖閣諸島沖に侵入しているが、
ここまで大事になることはなかった。

ここまで悪質な例はなかったこともあるのだが。

台湾のメディアの反応
この事件をうけて台湾メディアは早い段階から
特集を組み報じてきた。

時に日本大使を休日の真夜中に呼び出し
抗議をするという点は、
華僑にとって「この上なく侮辱的」なことになるため
繰り返し伝えられてきた。

日本でも「わざわざ夜中に呼び出したのか」と
報じられていたが、なにぶん残業好きな日本人。
それほど「侮辱」とは受け止めなかったように感じる。

しかし、台湾は「休日の真夜中に呼び出した」ことで
中国がこれからかなり強硬な態度に出ると
予測していたのだ。

驚くシンガポールメディア
比較的冷静な目で中国の動向を伝える
シンガポールメディアは、
今回の事件を「驚いた」と表現。

何に驚いたのかというと、
この1年でここまで中国と日本の間が
悪化したということに、である。

確かに、昨年まだ自民党が政権を握っていたとき、
麻生太郎元首相が訪中し、とても友好的なムードが
全世界に向けて報じられてきた。
麻生元首相のあの笑顔の効果もあり
日本と中国は、これからよきパートナーとなると言われ
事実、その後急速に間が縮まったかのように
見受けられた。

シンガポールは南シナ海の領域問題を抱えており
今回の日本と中国の件は決して人事ではない。

良いケーススタディとして注目しているのである。

中国人と真の友人関係を結ぶ難しさ
以前、シンガポールの友人がこう話してくれた。
彼の両親は中国から来た移民であり、
数年に1回、中国の故郷に山ほどの土産を持ち
訪れるのだという。

土産とは最新の電子機器など。
それを故郷の人々、親戚でない人にも配るのだという。

そして、驚いたことに、
彼らはそれを当然のように受け取るのだという。

インドでもお金持ちが貧しい者へ色々恵み、
それを彼らは当然のように受け取るが、
それは「それが良いこと」という宗教的な教えがあるから。

中国人はプライドが高い気質があるため
与えてあげる、受け取ってあげる、と、
両者が当然のようにふるまうのだという。

与えるもののプライドをどこまでくすぐり吸い上げるかも
ポイントらしく、シンガポール人の友人は
両親が彼らに使われていると憤慨していた。

同じ華僑であっても、こうなのである。
<次回も、中国人気質の難しさについて執筆していきます>


▼写真は、台北最古の関渡宮にある美しい石の狛犬です。
















コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

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