2011年4月1日金曜日

連載コラム283 from北海道●東日本の震災に思い、願うこと

東日本を襲った地震と津波は、いまだに信じがたい。
途方もない規模の震災。
仙台も宮城も、津波に対する警戒はもとから強い地域
だった。
にも関わらず、その被害は壊滅的だ。
死者、行方不明者の数は膨大で、奇跡的に助かった
人々も、避難所では、やっと命を繫いでいる。
支援物資は、ようやく順々に人々の手に届いている
が、それでもガソリン不足や道路が寸断された地域や
孤島では、支援すら届いていない人々が、いまだ多く
いることも現状である。
それでも、この度の震災の痛みに、多くの人々が寄り
添おうとした。
被災された方々に、エールや寄付をおくり、支援の輪
はひろがり続けている。
震災後、自粛気味だった歌や芸能、スポーツ観戦に
は、癒しや温かさ、元気をもらった。
やはりこういう時だからこそ、日本を元気にする活動
は必要なのだろう。
しかし、震災の規模を考えると、復興にどれだけの歳
月が必要か、途方もない気持ちになる。
被災された方々は、また自分たちの土地に戻ってこら
れるだろうか。
新しい街を、本当に再建できるだろうか。
それでもだ。
私は日本人の底力を信じてみたい。
そして、そのことは、みんなが願っているはずなので
す。

福島第一原子力発電所の事故が、なかなか収束に向か
わない中、日々伝わる情報には不安をかき立てられる
が、それでも、現場の最前線で、身をていして頑張っ
てくださっている方々には、心から感謝の気持ちで
す。
震災とはいえ、今回の原発事故では、国民の多くが、
原発の現状を知るきっかけになった。
日本のせまい国土に、55機も原発があるだなんて、
いったいどれだけの国民がそのことを知っていただろ
うか。
事故があってから、福島原発で、東京の電力の大半を
補っていることもはじめて知ったし、福島原発から、
あまりにも近い距離に住民たちが暮らしていた事実も
知った。
福島第一原発の三号機は、通常の使用済みになったウ
ランにプルトニウムを混ぜて、燃料を再利用している
ことも聞かされた。
オール電化は、いまやクリーンエネルギーの代表でも
あるけれど、そのエネルギーも、原発に支えられての
ことだ。
この度の事故で、原発の安全神話はいっきに疑われ、
放射能汚染に対する国民の不安はひろがっている。
だが、闇雲に恐れるのは、よくない。
北海道のローカルテレビ番組に、「放射能がこわく
て、子供を外で遊ばせられない」という視聴者からの
投稿があったが、これはあまりにも極端な発想だ。
放射能は、もともと自然界に存在するエネルギー。
ラドン温泉からも放射能は放出されているし、レント
ゲンを受ければ被曝もある。
放射能の量を、人は目で確認することができないか
ら、つい不安を覚えるのだろうが、まずは冷静に受け
止めるべきなのです。
ただ、それとは別に、日本中にある原子力発電所の安
全点検は、ただちに行うべきである。
今後、福島の原発事故が収束したのちに、先のビジョ
ンを見据えて、日本は原発とどう向き合うべきか、問
われる時が必ずくるだろうが、それでも、忘れてはい
けないのは、私たち国民のみんなが、原発の恩恵を受
けているということだ。
日本のせまい国土に、55機もの原発が稼働している
ことは、恐るべき事実であるが、原子力発電所の恩恵
によって、私たちの豊かな暮らしは守られてきた。
原発に反対することは簡単である。
しかし、当たり前のように存在している豊かさを、い
まさら私たちは本当に手放すことが出来るだろうか?
誰もが緩やかに暮らすことができるならば、それにこ
したことはない。
だが、それには相当の覚悟がいる。
原発問題は、行くも戻るも、それなりの覚悟が必要。
けれども、国民自らがこの問題に真剣に向き合うこと
で、きっとより良い答えは見つかるように思います。



コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

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