2011年4月1日金曜日

連載コラム165 from 台湾

3月11日、11時46分。
平和な日本で信じられないことが起きた。
東北地方太平洋沖に大地震が発生したのだ。

震度7という強震だけでなく大津波が押し寄せた
東日本大震災は、未曾有の災害となった。

海外のメディアも一斉に速報で震災を報道。
ほとんどがNHKの画像を借りたもので、
情報も少ないにも関わらず、繰り返し、繰り返し
日本を襲っている自然災害を伝えた。

CNNやBBCはノンストップで報道していたが、
それは恐らく、発展途上国ではなく、
アメリカやイギリスと同じく発展国であり
世界のトップの国として数えられる先進国日本が、
このような恐ろしい状況になってしまったからであろう。

CNNは、繰り返し
「地震対策、津波対策を世界で最もしていた日本なのに、
このようなことになってしまった」 
「幼稚園の頃から地震批難訓練をしている日本。
チリ大地震の津波を経験しているこの地区は
津波からの批難訓練もしていたのに。
自然災害とは本当に恐ろしいものだ」
と言っていた。

台湾の反応
日本に近く、同じく地震国である台湾。
台湾人の多くが親日家で、日本に旅行する人が多く
また日本に留学している人も多い。

日本に住んでいる台湾人も少なくないし
日本の友人がいる人も多い。

そんな台湾も地震発生後間もなくして全ニュースチャンネルが
地震・津波報道へと切り替わった。

最初はNHKの映像だけでなく映画「日本沈没」の映像まで
放送し「未曾有の大惨事だ!」と報じていたが、
ことの深刻さを察知したのか、映画の映像は流れなくなった。

そして「あの日本が、こんなことになるとは!」と驚愕し
「これはなんとしてでも力にならなければ!」と、
台湾全土から集められたエリートたちでなる
連合特殊捜索救助チームを日本へ出発させる準備をした。

最初、日本は待ったをかけ、14日にやっと日本入りできたのだが
彼らは政治的なことで愚痴ることなく、日本に力に!と
意気込んでいた。

台湾で広まる支援の輪
台湾人は、これまで自然災害で大きな被害を受けたとき
「いつも日本が助けてくれた」
「誰よりも早く大勢で来て、支援金も誰よりも多く出してくれた」
と、日本に対する感謝の気持ちを持ち続けている。

気質も日本に似ていると親近感を抱いており、
隣国というよりも、親戚に近い感覚を抱いている。

今回の日本の姿を見て「日本の経済はこれからさらに苦しむ」と
報じる欧米のメディアとは対照的に「日本は必ず短期間で復興する」と
信じている。

可哀想だから募金ではなく、これまでの恩返しと、
被災者の生活を支える手助けをしたいというのが台湾人の思いであり、
だから、誰もが張り切って募金をしてくれるのである。

募金の輪は台湾全土に広がっており
国民小学校でも行われている。

チャリティー番組も多いに盛り上がり
日本が立ち上がるために、支えになる手の指1本くらいになれれば
光栄だと皆がおもっているのだ。

欧米の原発に対する冷ややかな目
一方で、欧米ではチリ大地震ほどの寄付金が集まらないといわれている。

直後はTwitterでお見舞いツイートしていたセレブたちも
今ではさっぱりだ。

支援アルバムなどが作られ、ナンバーワンになっているが
正直「先進国なのだし、それほど支援しなくても大丈夫なのでは」
というのが本音なのかもしれない。

そしてもう一つ。原発の問題が彼らのチャリティー精神を
冷めさせる原因になっている。

日本でもようやく「東電や政府の情報が遅い」
「全てを公開していないのでは」と不信の目で見られるようになったが
欧米では、早くから決断力の鈍さによる対応の遅さが指摘されていた。
世界一安全と言われていた日本の原発は
今や最低最悪とまで見られるようになってしまったのだ。

何年も続くだろうといわれている原発の問題。
一体、日本はこれからどうなってしまうのだろうか。


▼写真は、1999年9月21日に台湾中部で発生した921大地震により、崩壊したお寺です。10年ほど、このままの姿で、地震の恐ろしさを伝えていました。


















コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

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