2011年4月15日金曜日

連載コラム166 from 台湾

3月11日14時46分に三陸沖を震源とした
日本国内観測史上最大マグニチュード9.0の
大地震が発生。

未曽有の被害をもたらした大震災から
1ヶ月が経った4月11日の時点で、
犠牲者は1万3116人、行方不明者は1万4377人、
そして約15万人が今だに避難生活を強いられていると
大手新聞で報じられている。

福島第一原発の状態も相変わらずで
現状維持するのがやっと。
実際は、現状維持すら出来ていない状態らく、
1ヶ月経っても余談を許さない状態が続いている。

政府は原発ばかりを対応
日本のニュースを聞いていると、
連日「一日も早い救援が待たれる」
「一日も早い解決が望まれる」という言葉が
流れる。

被災地も場所によってマシであったり、そうでなかったり
差が激しいようで、その差は今も狭まらないらしい。

誰の責任なのか。
それは、国の頂点に立つ政府の責任なのである。

しかし、政府は原発問題ばかりにやっきになり
「被災地など、自治体に任せておけば何とかなる」と
丸投げ。

普通、首相たるもの、すぐに最も被害が大きい場所に
行き、現場を視察し、何が問題なのかを見極めるもの。

なのに、被災者に対する対応は雑用作業だと、
いわんばかりの態度であった。

きっと世界の目が原発に向いており、
こちらを日本だけで早くおさめなければと焦っていたのだろう。

世界のメディアは、天皇陛下が国民に向けて流した
ビデオメッセージを、大々的に報じたが、
菅総理のメッセージなど数行ふれるだけで写真などナシ。

天皇の言葉は、アメリカ大統領の言葉と同じくらい、
国民に勇気と希望を与えるものだと伝えた。

世界中が今の日本政府を「無能」だと見下しているのだ。

信頼度ゼロ
現首相の信頼を下げるエピソードは山ほどあるが、
福島第一原発一号機と三号機が水素爆発した後の
3月15日に東電本社を急襲し、
「絶対に現場から撤退するな」と怒鳴ったことだろう。

筆者は東電の肩を持つわけでなく、
逆に事実をきちんと公表せず、ごまかしている部分が多い
典型的な悪い日本企業だと思っている。

しかし、怒鳴り込みはよくなかった。
首相は威厳を見せたつもりだったのだろうが、
事態を全くコントロールできていないことを
世界中にばらしてしまったのである。

ごまかしに加担せず、事態収束にむけ頑張っている社員も
いきなり怒鳴られたのではテンションも下がるだろう。

その後、原発に関する様々なことで、
世界中のメディアは「日本政府は全てを発表しない。
真実を出さない。日本のメディアもいいなり」と批判。

日本人に対しても、
「被災地で日本人がパニックにならず、
こんな事態でもきちんと並ぶことは素晴らしいと尊敬したが、
原発に対しても、文句を言わず政府のうさんくさい言葉を
鵜呑みにしている。
日本人はただ集団行動をとっているだけなのだろう」と
見下すように伝える海外メディアも出ている。

一日も早い交替を
4月10日、統一地方選が行われた。
今回は前半選となるが、民主党は敗北。

4選を果たした石原慎太郎東京都知事は
民主党の敗北を「しょうがないでしょうね。
もともと未熟な人たちの集まりだから」と批判したが、
まさにその通りである。

震災の被災者たちのケアはまだまだ十分でなく、
原発による被害者も増える一方。

農業、酪農、漁業。生計がたてられない被害者も多く、
きちんと東電をコントロールできない上に、
被害者に対する保障も打ち出せない政府に
怒りは爆発寸前である。

放射能の被害は「ただちに影響ない」というが、
この1ヶ月で空気、水、食べ物、
どれだけの人がどれだけ被爆したのだろうか。

最悪の場合、これから被害が明らかになる。

国民の安全を守れる政府に、一日も早く交替することを
祈るのみである。




▼写真は、台北市にある陽明山のてっぺんで咲いていた桜の花です。とても美しかったです。


















コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住 from 台湾

連載コラム284 from北海道●日本の再生を信じて

この度の大規模な震災には、自衛隊のみならず、海外からも支援救
援に多くの方々が駆けつけてくれた。
日本在住の外国人も、ピンポイントで被災地入りし、炊き出しを行った。
何人もの芸能人が、みずから足を運んで、物資を被災地に届けている。
被災地に駆けつけられなくとも、何だかのかたちで、ボランティア
に加わる人々もいるし、企業側の支援も多い。
それぞれが、被災地のことを思い、自分にできることを行っている。
この度の大地震と大津波、それに加えて福島の原発事故は、あまり
にも被害の規模が大きすぎて、途方もない気持ちになるけれど、そ
れでも、この惨い震災から、私たちは確かなことに気づかされた。
人としての心を、私たちは一番に取り戻したのだと思う。
海外から救援のために被災地入りした人は、倒壊した店の中から出
てきた店主に、「なにもありませんが」とせんべいを差し出された
という。
また、通りがかりの住民に、「遠くからわざわざありがとう」と声
をかけられ、アメや菓子を手渡された救援隊もいる。
現地のコンビニで、「救援隊なら」と代金の受け取りを拒まれ、
カップ麺やおにぎりの提供を受けた話もある。
苦しく辛い状況の中でも、他人を思いやる心に、諸外国のみなら
ず、私たち日本人も、涙がこぼれるほど、温かい気持ちになった。
海外からも絶賛された秩序ある被災者の行動は、日本の村落共同体
の精神である。
暴動はおきず、支援物資は並んで受け取り、避難所でもそれぞれに
リーダーが生まれて、秩序が保たれている。
それなのに、心ある支援とは裏腹に、被災地では風評被害にさいな
まれ、被災地のみならず、近隣の自治体にまで、その被害は及んでいる。
風評被害に及んだ原因は、やはり政府の発表だろう。
言葉運びを慎重に選んだつもりでも、含みをもつ言い回しには、不
安をかき立てられて当然なのだ。
それでも、「風評被害に負けないで」と、福島や茨城のアンテナ
ショップでは、産地の物を一つでも多く買おうとする客であふれた。
被災地の物産展でも、同じくだ。
「せっかく農家の方が、大事につくった野菜なのに」と、野菜や果
物を手に取る人々は多かった。
私も同じ気持ちです。
スーパーに並ぶ被災地の食品を手にとり、積極的に買うように努め
ています。
私たち消費者に出来ることは、こんな小さな応援もあるのだという
気持ちだからです。
前を向いて、元気を出さねばと思います。
日本の再生のために、そう思います。




コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

2011年4月1日金曜日

連載コラム283 from北海道●東日本の震災に思い、願うこと

東日本を襲った地震と津波は、いまだに信じがたい。
途方もない規模の震災。
仙台も宮城も、津波に対する警戒はもとから強い地域
だった。
にも関わらず、その被害は壊滅的だ。
死者、行方不明者の数は膨大で、奇跡的に助かった
人々も、避難所では、やっと命を繫いでいる。
支援物資は、ようやく順々に人々の手に届いている
が、それでもガソリン不足や道路が寸断された地域や
孤島では、支援すら届いていない人々が、いまだ多く
いることも現状である。
それでも、この度の震災の痛みに、多くの人々が寄り
添おうとした。
被災された方々に、エールや寄付をおくり、支援の輪
はひろがり続けている。
震災後、自粛気味だった歌や芸能、スポーツ観戦に
は、癒しや温かさ、元気をもらった。
やはりこういう時だからこそ、日本を元気にする活動
は必要なのだろう。
しかし、震災の規模を考えると、復興にどれだけの歳
月が必要か、途方もない気持ちになる。
被災された方々は、また自分たちの土地に戻ってこら
れるだろうか。
新しい街を、本当に再建できるだろうか。
それでもだ。
私は日本人の底力を信じてみたい。
そして、そのことは、みんなが願っているはずなので
す。

福島第一原子力発電所の事故が、なかなか収束に向か
わない中、日々伝わる情報には不安をかき立てられる
が、それでも、現場の最前線で、身をていして頑張っ
てくださっている方々には、心から感謝の気持ちで
す。
震災とはいえ、今回の原発事故では、国民の多くが、
原発の現状を知るきっかけになった。
日本のせまい国土に、55機も原発があるだなんて、
いったいどれだけの国民がそのことを知っていただろ
うか。
事故があってから、福島原発で、東京の電力の大半を
補っていることもはじめて知ったし、福島原発から、
あまりにも近い距離に住民たちが暮らしていた事実も
知った。
福島第一原発の三号機は、通常の使用済みになったウ
ランにプルトニウムを混ぜて、燃料を再利用している
ことも聞かされた。
オール電化は、いまやクリーンエネルギーの代表でも
あるけれど、そのエネルギーも、原発に支えられての
ことだ。
この度の事故で、原発の安全神話はいっきに疑われ、
放射能汚染に対する国民の不安はひろがっている。
だが、闇雲に恐れるのは、よくない。
北海道のローカルテレビ番組に、「放射能がこわく
て、子供を外で遊ばせられない」という視聴者からの
投稿があったが、これはあまりにも極端な発想だ。
放射能は、もともと自然界に存在するエネルギー。
ラドン温泉からも放射能は放出されているし、レント
ゲンを受ければ被曝もある。
放射能の量を、人は目で確認することができないか
ら、つい不安を覚えるのだろうが、まずは冷静に受け
止めるべきなのです。
ただ、それとは別に、日本中にある原子力発電所の安
全点検は、ただちに行うべきである。
今後、福島の原発事故が収束したのちに、先のビジョ
ンを見据えて、日本は原発とどう向き合うべきか、問
われる時が必ずくるだろうが、それでも、忘れてはい
けないのは、私たち国民のみんなが、原発の恩恵を受
けているということだ。
日本のせまい国土に、55機もの原発が稼働している
ことは、恐るべき事実であるが、原子力発電所の恩恵
によって、私たちの豊かな暮らしは守られてきた。
原発に反対することは簡単である。
しかし、当たり前のように存在している豊かさを、い
まさら私たちは本当に手放すことが出来るだろうか?
誰もが緩やかに暮らすことができるならば、それにこ
したことはない。
だが、それには相当の覚悟がいる。
原発問題は、行くも戻るも、それなりの覚悟が必要。
けれども、国民自らがこの問題に真剣に向き合うこと
で、きっとより良い答えは見つかるように思います。



コラムニスト●プロフィール
……………………………………
赤松亜美(あかまつあみ)
北海道在住

連載コラム165 from 台湾

3月11日、11時46分。
平和な日本で信じられないことが起きた。
東北地方太平洋沖に大地震が発生したのだ。

震度7という強震だけでなく大津波が押し寄せた
東日本大震災は、未曾有の災害となった。

海外のメディアも一斉に速報で震災を報道。
ほとんどがNHKの画像を借りたもので、
情報も少ないにも関わらず、繰り返し、繰り返し
日本を襲っている自然災害を伝えた。

CNNやBBCはノンストップで報道していたが、
それは恐らく、発展途上国ではなく、
アメリカやイギリスと同じく発展国であり
世界のトップの国として数えられる先進国日本が、
このような恐ろしい状況になってしまったからであろう。

CNNは、繰り返し
「地震対策、津波対策を世界で最もしていた日本なのに、
このようなことになってしまった」 
「幼稚園の頃から地震批難訓練をしている日本。
チリ大地震の津波を経験しているこの地区は
津波からの批難訓練もしていたのに。
自然災害とは本当に恐ろしいものだ」
と言っていた。

台湾の反応
日本に近く、同じく地震国である台湾。
台湾人の多くが親日家で、日本に旅行する人が多く
また日本に留学している人も多い。

日本に住んでいる台湾人も少なくないし
日本の友人がいる人も多い。

そんな台湾も地震発生後間もなくして全ニュースチャンネルが
地震・津波報道へと切り替わった。

最初はNHKの映像だけでなく映画「日本沈没」の映像まで
放送し「未曾有の大惨事だ!」と報じていたが、
ことの深刻さを察知したのか、映画の映像は流れなくなった。

そして「あの日本が、こんなことになるとは!」と驚愕し
「これはなんとしてでも力にならなければ!」と、
台湾全土から集められたエリートたちでなる
連合特殊捜索救助チームを日本へ出発させる準備をした。

最初、日本は待ったをかけ、14日にやっと日本入りできたのだが
彼らは政治的なことで愚痴ることなく、日本に力に!と
意気込んでいた。

台湾で広まる支援の輪
台湾人は、これまで自然災害で大きな被害を受けたとき
「いつも日本が助けてくれた」
「誰よりも早く大勢で来て、支援金も誰よりも多く出してくれた」
と、日本に対する感謝の気持ちを持ち続けている。

気質も日本に似ていると親近感を抱いており、
隣国というよりも、親戚に近い感覚を抱いている。

今回の日本の姿を見て「日本の経済はこれからさらに苦しむ」と
報じる欧米のメディアとは対照的に「日本は必ず短期間で復興する」と
信じている。

可哀想だから募金ではなく、これまでの恩返しと、
被災者の生活を支える手助けをしたいというのが台湾人の思いであり、
だから、誰もが張り切って募金をしてくれるのである。

募金の輪は台湾全土に広がっており
国民小学校でも行われている。

チャリティー番組も多いに盛り上がり
日本が立ち上がるために、支えになる手の指1本くらいになれれば
光栄だと皆がおもっているのだ。

欧米の原発に対する冷ややかな目
一方で、欧米ではチリ大地震ほどの寄付金が集まらないといわれている。

直後はTwitterでお見舞いツイートしていたセレブたちも
今ではさっぱりだ。

支援アルバムなどが作られ、ナンバーワンになっているが
正直「先進国なのだし、それほど支援しなくても大丈夫なのでは」
というのが本音なのかもしれない。

そしてもう一つ。原発の問題が彼らのチャリティー精神を
冷めさせる原因になっている。

日本でもようやく「東電や政府の情報が遅い」
「全てを公開していないのでは」と不信の目で見られるようになったが
欧米では、早くから決断力の鈍さによる対応の遅さが指摘されていた。
世界一安全と言われていた日本の原発は
今や最低最悪とまで見られるようになってしまったのだ。

何年も続くだろうといわれている原発の問題。
一体、日本はこれからどうなってしまうのだろうか。


▼写真は、1999年9月21日に台湾中部で発生した921大地震により、崩壊したお寺です。10年ほど、このままの姿で、地震の恐ろしさを伝えていました。


















コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住