2010年9月1日水曜日

連載コラム151 from 台湾

連日報道されている「所在不明の高齢者」ニュース。

事の始まりは7月。
東京都足立区で生存すれば111歳になる男性が
自宅で白骨遺体として見つかり、
実は何十年も前に死んでいたことが発覚した事件。

家族は年金目当てに男性の死を隠していた疑いが
生じ、他にも所在不明の高齢者がいないか
調査したところ、ボロボロ出てきたのである。

高齢者が家族と住んでおらず
誰もどこに居るのか分からないケースが続出。
役所のいい加減さをむき出しにしたようなニュースが
連日続いている。

問題すり替え
今回の「所在不明の高齢者」ニュース。

足立区の場合は男性が家族が住む自宅で亡くなり
長期に渡り放置されていたという特殊なケースであるが、
ほとんどが家族と離れて高齢者が一人暮らしをしている、
そのため所在が分からなくなったというケースである。

このためメディアは「今の日本は家族の絆が弱い」
「もっとお年寄りを大事にすべき」と報道。

ワイドショーのコメンテイターは
「昔の家長制度を復活させるべき」
「何世代に渡り暮らすべき」
と声たからかに意見し、同居を勧めだした。

しかし問題はそこではない。

何度も言うが、足立区のケースは同居していたわけだし、
所在が分からないケースは、死んでいるが年金目当てに
家族がだまっている。
生死が分からないわけでなく、分かっていながらお金目当てに
知らぬ存ぜぬを突き通しているのである。

110歳以上の高齢者の子供といえば80~90代。
役所や警察も強く詰問できないのであろう。

嫌な風潮
問題を摩り替えたメディアは
孤独死を引き合いに出し、特殊掃除人の特集まで出し、
お年寄りや高齢者独身者の不安を煽る。

その結果、まともの生活してる者へ皺寄せがくる。

良好な関係を築き上げているのなら、
遠距離に住んでいても週に最低1度は電話連絡するものだ。
それすらないのは関係が良好でない、
お互いに問題があるのだろう。

それなのにメディアに煽られ同居を迫られるケールが
最近増えているという。

高齢独身者も兄弟だけでなく甥や姪を当てにし始める、
そんな嫌な風潮が強まっているそうだ。

もともとお金があれば、手厚く面倒見てくれる施設に入れ、
不安などない。
親子関係が良好ならば孤独死の心配などまずない。

そもそも家族が機能していないから、今回のような問題が
生じるのである。

厳しい処罰を
アメリカによって無くされた家長制度を復活させろという声が
メディアで大きくなってきているが
今回問題を起こした家族たちは、家長制度を知っている
世代である。

足立区の件は年金詐取容疑で立件されるそうだが
厳しい処罰を下して欲しい。
もちろん手を抜きまくっている役所も責任を取るべきである。

そしてメディアには事実と本当の問題点を
きちんとピックアップして報道して欲しい。

もう二度とこのような事件が起こらないためにも。


▼写真は、映画「海角七号」の舞台になった台湾南部の美しい海辺です。














コラムニスト●プロフィール
…………………………………
岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住

0 件のコメント:

コメントを投稿