クリスマスまであと1週間あまりといった12月14日。
アメリカで背筋が凍るような銃乱射事件が発生した。
事件が起こったのはコネティカット州郊外にあるニュータウン。
地元のどこにでもあるような小学校に若い男が武装して押し入り、
銃を乱射し10歳以下の子供20人を含む26人を殺害したのだ。
男はその場で自殺したと見られており、
自宅からは母親の銃殺遺体も発見されたとのこと。
動機などまだ詳しいことは分かっていないのだが、
凶器となった複数の銃は母親が「子供を守るため」「自衛のため」
購入していたものだと伝えられている。
■なくならない銃事件
今年はアメリカでは、
コロラド州デンバー郊外の映画館での銃乱射事件、
ウィスコンシン州のシーク教寺院での銃乱射事件、
ニューヨーク州エンパイアステートビルでの銃乱射事件など、
銃による大量殺人事件がとても多かった。
もちろんこのほかにも銃による殺人事件は
毎日のように発生している。
毎年3万人を軽く超える人たちが銃殺されているのである。
今回のような乱射事件が起こるたびに
「銃を規制した方がよいのではないか」という声が
一部で上がってきた。
しかし、これには強い反対もでている。
不法所持している人が多いため、自己防衛に銃を持つことは
必要だというのだ。
■銃社会アメリカ
アメリカが銃社会になったのは、訳がある。
警察が地区をきちんと取り締まれていなかった
230年前は、自分の身を守るために銃が必要だったのだ。
銃は人を傷つけるためではく、自分や家族を守るため
そういう名目で市民の間に広まっていったのである。
現代のアメリカではほとんどの州で、
銃を購入する際、身分証明を提示させることを義務づけている。
銃もシリアルナンバーをつけ、銃弾も登録されたものを
販売している。
約8000万人の人が正規ルートで銃を購入していると
報告されている。
■銃を持つ権利
銃を正規に所持する人たちは、口をそろえて
「銃を持つのは自分を守る権利があるからだ」
と主張する。
登録されていない銃は山ほどあるし、
不法に銃を手に入れた者も把握できないほど多くいる。
登録されている銃でも今回のように武器になることはある。
銃を規制してしまったら、自分の身が守れなくなる。
だから、彼らは銃規制を反対しているのである。
■難しい銃規制
オバマ大統領は今回の銃乱射事件を受け、
銃暴力の対策に取り組みたいと発言した。
しかし、アメリカではクリントンの二の舞になるだけだと
覚めた目で見ている。
1990年代に、日本の服部青年が射殺された事件などを受け、
クリントン政権が銃規制に動き出したことがあった。
しかし、この銃規制は「10年の時限立法」であったため、
ブッシュ政権だった2004年に失効。
ブッシュ政権率いる共和党議会は、
銃規制賛成派が少なかったため、このまま流れてしまった。
今回オバマ大統領が銃規制に動き出したとしても、
全ての銃を規制できるわけはなく、
おまけに10年後には流れてしまうというのである。
アメリカに住む友人の中には銃を所持してるものが
少なくない。
最近得に銃事件が多いということと、
帰還兵が精神的なトラウマを抱え銃事件を起こす
そんな可能性を考えてしまうからだという。
銃をどこまできちんと管理できるのかが
大きなカギになるとみられているのだが、
問題は山積みであり、アメリカは諦めムードさえ流れている。
写真は台湾の美しい蘭の花です。
コラムニスト●プロフィール
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岩城 えり(いわき えり)
1971年12月東京生
オーストラリアで学生時代を過ごし
アラブ首長国連邦・シンガポールで就職
結婚し帰国したものの夫の転勤のためすぐに渡米
2005年12月より台湾在住
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